DeFiとDataの互助関係の構築
注:ロゴは提携を意味するものではありません
データトークンは、データ資産をDeFiツールと接続するためのインターフェースです。Oceanは、Ethereum上でデータをプールするためのサービスを提供し、データを消費するためサービスを供給します
分散型金融(DeFi)ツールは、その構成の特性から“マネーレゴ”と呼ばれています。Ocean Protocolのデータトークン(現在ベータ版)は、これらのDeFiツールがデータインフラをコントロールすることを可能にし、それによって“データレゴ”を解き放ちます。
datatokens * マネーレゴ = データレゴ
この記事のは以下のように構成されています:
歴史に基づいたプロトコルと再利用の概念について
データトークンについての詳しい説明
データトークンを使ってDeFiインフラを再利用し、データウォレット、データ交換、データ証明書、データDAO、Web3データエコノミーのためのツールを利用する方法を説明
データが新しい資産クラスとしてDeFiのパイをどのように成長させるかを説明
新しいデータ資産がDeFiでどのようにリターンを生み出し最適化できるかの説明
“アメリカの鉄道の線路幅はローマ戦車がベース?”
これは2001年にスノープスの記事により記された質問で、同様のタイトルが付けられています。これは、迷信のように聞こえるかもしれませんが、おそらく真実です。 電車の線路は、相互接続性を考慮して、標準規格(4フィート、8.5インチ)に従っています。
最初の鉄道建設者は、彼らが鉄道インフラの建築前に路面電車のレールを構築する際に使用していた幅を保持しました
路面電車の建設業者は、それ以前にワゴンの工具を活用できるように、ワゴンと同じ幅を使用していました
轍の深い道路では、間隔が合わないと車輪が折れてしまうためワゴン車のインフラ建設業者は標準的な轍の幅を採用していました。
道路にある轍の歴史はローマの戦車にまでさかのぼります。
[Image: Richard Webb CC-BY-SA 2.0]
つまり、ローマの戦車の幅→線路の幅なのです。面白いことにローマの戦車が走りやすいようにできた轍の幅に合わせて馬車が作られ、それに合わせて路面電車が作られ、列車が作られたのです。このプロセスがなければ人々は車輪を発明したものの、それをうまく使うことまではできなかったかもしれません。
これは、「規格」の有用性と持続力を浮き彫りにするものです。ブロックチェーンの世界では、私たちはこれを「プロトコル」と呼びます。コンピュータ間で交換されるフォーマットと順序を表すものです。
レール幅を標準規格化しても、物流には他にも多くの課題があります。その中でも特に大きなものは船舶です。
[Image: Buonasera, CC BY-SA 3.0]
この画像は、かつての船の積み込み方法を表す写真です。作業員はトラックから袋を取り出し、背負って吊り上げ、ガンプランクを登り、階段を下り、船倉に袋を落とします。これは、船の中にある何千もの袋に対して繰り返されます。これは列車、トラック、船など、旅の各段階で行われていました。袋だけではなく、樽や箱、ケージなどの場合もあります。しかし、この作業は非常に手間がかかり、面倒です。このため送料は、製品コストの20%から50%にまで及んでいました[ref]。
これは何世紀にもわたって続けられ、人々のほとんどは、もっと良い方法があるとは考えもしませんでした。しかし、振り返ってみれば非常に単純である良いアイデアが生まれました:
1956年4月26日、…アメリカのトラック運送会社の起業家マクリーンは、改造されたタンカー船、SS Ideal Xに58個のコンテナを積み込み、ニュージャージー州ニューアークからテキサス州ヒューストンまで航海しました。 … マクリーンは、輸送中に開くことなく一貫して到着地まで運べる手段として、インターモーダルベースで移動可能な大型コンテナを使用するというアイデアを持っていたのです。-ウィキペディア
今では、輸送用コンテナは、幅、高さ、奥行き、最小強度、最大重量、コンテナの標準的な開閉方法、列車、トラック、船舶、クレーンなどの標準的な規格が設定されています。これはまさにプロトコルであり、物流のためのAPIなのです。
輸送用コンテナは輸送に革命をもたらしました。輸送がより簡単に、信頼性を向上させ、より安価になりました。それは世界貿易の触媒となって国際的に定着したのです。
[Image: best-wallpaper.net]
輸送用コンテナは単なるプロトコルではなく、オーバーレイプロトコルです。 これはインフラストラクチャブロックをより簡単に結合できるようにする標準化されたインターフェースであり、既存のインフラストラクチャ(鉄道、トラック、船、配送ルートなど)をラップできます。 輸送用コンテナは、物流インフラを「物流レゴブロック」に変えたのです。
1940年代には、MIT放射線研究所のWilliam Higinbothamによりブラウン管(CRT)が研究され、航空機搭載、船舶搭載、および陸上レーダーのディスプレイとして使用されました。
[彼]は、高空飛行のB-28飛行機から見た地上ターゲットのレーダーリターンを示すイーグルレーダーディスプレイシステムに取り組みました。 ターゲットに向かって操縦している間の航空機の動向にかかわらず、ターゲット領域の画像はディスプレイ上に静止していました。 -ブルックヘブン国立研究所
下図が、彼がレーダーアプリケーションで使用したCRTです。
レーダー用に開発された1940年代のCRTディスプレイ [link]
Higinbothamは気まぐれで、「人が遊べるゲームを作れば、この場所を盛り上げられるかもしれない」と考え、世界初のビデオゲーム「Tennis for Two」を作りました。その結果、何百人もの来場者が遊びに並びました。電源はアナログコンピューターとブラウン管であり、ブラウン管はレーダー用に開発され、調整されていたものです。彼の取り組みにはブラウン管自体の設計・製作を行う必要はなく、むしろ、彼は元から存在していたレーダー用のCRTを再利用して、世界初のビデオゲームを開発したのです。
私はこの話が大好きです。なぜなら、Higinbothamは人々が真剣に考えて作成していたブラウン管やレーダーについて追求するのではなく、笑顔を生むツールとして再利用したからです。これが発端となり、ビデオゲームの時代が誕生し、何百万人もの人々の未来の喜びに貢献したわけです。
“リパーポージングとは、ツールを別のツールに再利用することであり、通常は元のツールメーカーが意図しない目的のために使用されることをいいます。”-ウィキペディア
デュシャンが小便器をアートとして再利用したことから、心臓発作のリスクを下げるためにアスピリンを再利用したことまで、再利用によって生まれた発明は数多くあり、長い歴史があります。
オーバーレイプロトコルや再利用は、現代の課題を解決するために使用できるのでしょうか?
はい、絶対に可能です。その方法を説明します。
この10年間でデータの重要性はますます高まりました。残念なことにデータに関連した痛みも同時に増大しています。個人はFacebookやGoogleにデータをマイニングされ、AI研究者は開発競争に十分な品質のデータを保有することに苦労し、企業はEquifax規模のイベントでハッキングされ、国家はデジタル主権の維持に苦労しています。
基本的には、個人レベルでのデータ主権(自治)を達成することが目標であり、家族、会社、都市国家、国家、地域など、これまで以上に大きなグループでのデータ主権を達成することが求められています。この時代、データ主権は全体の主権の前提条件となっています。
データ主権は、個人と国家、そしてその間のすべてのものにとって、全体的な主権の前提条件である。[左の画像ソース][右の画像ソース]
一般的に、基礎となるのはデータ交換のための手段です。その上で、安全なデータ保管/データ管理、データ・マーケットプレイス、データの証跡/データ監査証跡、データに関する団体交渉などの必要性が生じています。また、プライバシーを保持しつつ、プライベートデータから価値を引き出す能力とのバランスの必要性も強調すべき部分です。そこではデータをオープンソースで共有するだけではなく、経済的な要素、データエコノミー(オープンなもの)が必要となります。
うまくいけば、上記の問題に対処するだけでなく、オープンなデータエコノミーの成長と繁栄に必要な、個人レベルでのデータコントロールのロックを解除することができるでしょう。これは、データとAIが更に力を持つこれからの時代において、全ての人の機会を均等にするために必須となります。
OceanProtocolプロジェクトを開始するにあたって、私たちはこれらの課題と機会に関することを強く心に留めました。2016年には、ビッグデータとAIの観点からのニーズを概説しました。2017年には初期設計を作成し、初期資金の調達も果たしました。2018年、2019年、2020年には本格的に構築を進め、バージョン1とその後バージョン2を出荷しました。
私たちはこれまでの進歩を誇りに思っています。(a) データの安全な保管・管理、(b) データ・マーケットプレイス、(c) データの証明・監査証跡、(d) データに関する団体交渉(データ・コープ、データ・ユニオン)などのためのアプリケーションです。これらのアプリはそれぞれ1つのソフトウェア製品であり、膨大な量の開発作業を経て誕生しました。
私たちは自問自答しました:Ocean Protocolのアーキテクチャを修正して、上記のアプリ(a)(b)©(d)などのブロックチェーンインフラストラクチャをアンロックすることはできるのだろうか?と。答えはイエスでした。既存の機能を維持しつつ、Oceanのコードベースをシンプルにするという付加的な利点をももたらしました。以下にレシピを紹介します:
既存のデータサービスをERC20のデータトークン、つまりデータ資産に変える。データトークンはオーバーレイ・プロトコルとして機能します。Oceanデータトークンは、データサービスの出荷コンテナです。
(a)(b)(c)(d)を実装したアプリを、新しいデータ資産で使用するためにDeFiツールを再利用する。メタマスクはデータウォレットになり、バランサーはデータ交換機能になる。CRTはレーダー→ゲームと再利用され、Oceanはマネーエコノミー→データエコノミーとDeFiツールを再利用するのです。
次の2つのセクションでは、それぞれを順番に詳しく説明し、データがどのようにDeFiのパイを大きくし、DeFiによるリターンを最適化するかを説明します。
従来のアクセストークンとしてOAuth 2.0などが存在します。トークンを提示すれば、サービスへのアクセスを得ることができる形のものです。これはブロックチェーン分野で一般的に考えられているトークンとは違います。ここでいうトークンは単に文字列であり、転送は基本的にその文字列のコピペすることでおこなわれます。つまり、トークンは簡単に二重使用される可能性が生じます。一人がアクセスした場合にそのアクセスが自分の為だけのものであったとしても、無数の人と共有することができてしまうのです。
二重使用の問題にどう対処するのか?ここでブロックチェーン技術の出番となります。要するに、誰が何を所有しているかを追跡する単一の共有グローバル・データベースがあり、人々が同じトークンの二重使用を簡単に防ぐことができます。
ERC20は、ブロックチェーンのトークン保有の標準規格となるものとして開発されました。Ethereumが誕生して以降広く採用されており、完全に交換可能なFungible Tokenです。
アクセスの考え方を、ERC20トークン規格と結びつけることができます。具体的には、1.0トークンを保有していればデータセットにアクセスできるERC20トークンが存在する場合として考えてみましょう。データセットにアクセスするには、1.0データトークンをデータ提供者に送る必要があり、少なくとも1.0トークンを持っていれば、あなたがデータを保管していることの証明になります。他の人にアクセス権を与えるには、1.0のデータトークンを送ればよいのです。
データトークンは、データサービスにアクセスするためのERC20トークンであり、各データサービスは独自のデータトークンを取得することになります。
データトークンを保有することは、データにアクセスする権利を持つことを意味します。この権利を形式化すると、データトークンは通常、そのデータを使用するためのライセンスを自動的に持つことと同意になります。具体的には、データは、物理的な記憶装置上のビットを表現したものとして、著作権で保護されています(知的財産権の一形態またはIPとして)。ライセンスは、その特定表現でIPを使用するための契約として存在します。一般的な法では、著作権はIPの作成時に自動的に発生します。あるいは、暗号化データやファイアウォールに守られたデータは、企業秘密とみなされることもあります。
“ 所有権 ”とは権利の集合体です。トークンを所有するということは、トークンの秘密鍵を保持していることを意味し、そのトークンを他人に譲渡する権利を有していることを意味します。
“あなたが持っている鍵にあるビットコインは、あなたのビットコインであり、あなたの鍵にないビットコインは、あなたのビットコインでは無いことを意味します” という言葉があります。つまり、自分のビットコインを所有するためには、その鍵を保持している必要があります。
これはデータにも当てはまります。
“あなたの鍵であれば、あなたのデータ。あなたの鍵でなければ、あなたのデータではない ”ということです。
つまり、自分のデータを真に所有するためには、そのデータの鍵を持つ必要があるのです。
OceanProtocolのデータトークンは、データ資産をDeFiツールと接続するためのインターフェースとなります。Oceanは、Ethereum上のERC20データトークンのデータ資産へのデータのオンランプであり、データ資産を消費するためのオフランプです。その間にはERC20ベースの任意のアプリケーションがあります。下図がそれを示しています。
Oceanデータトークンのメンタルモデルを上から順に並べてみました。注:ロゴの表示はパートナーシップを意味するものではありません。
ChainlinkやBandのようなオラクルは、データ自体をオンチェーンで取得するのに役立ちます。Oceanは補完的で、オンランプとオフランプのデータ資産にツールを提供します。データ自体がオンチェーンである必要がないため、DeFiでデータを活用する機会が広がります。
データトークンには多くのバリエーションが考えられます。スマートコントラクトレベルでは、データトークンに違いは生じません。バリアントは、1つ上のレベルのデータプロバイダによって実行されるライブラリによるセマンティックの解釈中に出現し、ここに複数のバリエーションが生じます:
アクセスは、永久(何度でもアクセス可能)時間制限(特定の日時範囲内でアクセス可能)1回限り(アクセスした後にトークンがバーンされる)のいずれかである可能性があります
データアクセスは常にデータサービスとして扱われます。これは、静的なデータセット(単一のファイル)や動的なデータセット(ストリーム)にアクセスするためのサービスであったり、コンピュートサービスのためのサービスである可能性があります
様々なスタイル:Unixスタイル(読み取り、書き込み、実行、個人、グループ、すべて)、データベーススタイル(CRUD: create, read, update, delete)、ブロックチェーンデータベーススタイル(CRAB: create, read, append, burn)などが存在します
DeFi分野は爆発的に拡大し、成熟しつつあります。Ocean V3は、臆することなくDeFiツールを “ 流用 ”しています。Metamaskをデータウォレットとして利用し、Balancerはデータ交換として使われます。この部分を詳しく説明していきましょう。
データの保管とは、データへのアクセスの保持を表すものであり、Oceanでは単にデータトークンをWalletに入れておくことを指します。データ管理にはデータへのアクセス共有も含まれており、Oceanではデータトークンを他の人に譲渡することになります。
データトークンをERC20トークンにすることで、既存のERC20ウォレットを活用することができます。これにはブラウザウォレット(例:Metamask)モバイルウォレット(例:Argent、Pillar)ハードウェアウォレット(例:Trezor、Ledger)マルチシグウォレット(例:Gnosis Safe)インスティテューショングレードのウォレット(例:Riddle & Code)カストディアンウォレット(例:Coinbase Custody)などが含まれます。
データトークンが銀行級のセキュリティを持つクリプトウォレットをデータウォレットに変身させる[Image: CC-SA-3.0]
ERC20ウォレットは、データセットの可視化やロングテールのトークン管理(1万種類のデータトークン資産を保有するなど)など、データトークン専用にチューニングされる可能性もあります。
既存のソフトウェアは、データウォレットを含むよう拡張することもできます。例えば、Braveブラウザにはデータトークンを保持できるウォレットが内蔵されています。データトークンに特化したブラウザ・フォークを用意して、ユーザーのブラウジング・データに直接接続することも考えられます。Azure ML StudioのようなAIのための統合開発環境(IDE)には、トレーニングデータやデータとしてのモデルなどのデータトークンを保持したり転送したりするためのウォレットが組み込むことができます。グラフィカルではないAIツールは、Web3ウォレット(OceanのPythonライブラリを使った)を使って、scikit-learnやTensorFlow Pythonライブラリなどを統合することができます。
トークンのカストディが改善され続けると、データのカストディはこれらの改善を継承していくことになります。
ERC20データトークンは、膨大な種類のデータマーケットプレイスをアンロックします。ここにいくつかのバリエーションを上げます:
AMM DEXes:これはデータトークンをDAI、ETH、OCEANと交換するためのUniswapやBalancerのようなウェブアプリとして成り立ちます。pools.balancer.exchangeのような形で多くのデータトークンプールを閲覧することもできます
オーダーブックDEX:0x、Binance DEX、Kyberを流用して使用できます。0xのマーケットプレイス間での流動性共有などプラットフォーム固有の機能を活用できます
オーダーブックCEX:BinanceやCoinbaseのような中央集権型の取引所は、独自のデータトークンベースのマーケットプレイスを簡単に作成することができ、利用開始のために内部で作成したデータセットを販売することができます
AIツールのマーケットプレイス:これは、Azure ML StudioやAnaconda CloudのようなAIプラットフォームやウェブアプリに直接埋め込まれたAI指向のデータ・マーケットプレイス・アプリとして利用される可能性があります
Nocodeデータマーケットプレイスビルダー:データマーケットプレイスのためのShopifyのようなものと考えてください
データ・マーケットプレイスは様々な形で登場することが予想されます[Image CC0]
データの監査可能性と証明性は、データ管理におけるもう一つの目標となります。データトークンの存在によって、Etherscanのようなブロックチェーンエクスプローラーは、データ監査証跡のエクスプローラーとしても活用できます。
CoinGeckoやCoinMarketCapが新しいトークンを発見し、価格や取引所などのデータ追跡サービスを提供しているように、私たちはデータトークンについても同様のサービスが登場すると予想しています。CoinGeckoやCoinmarketcapはDeFiトークンで行われたように、これを自ら行うこともあるかもしれません。
分散型自律組織(DAO)は、人々がリソースを管理するための調整機能として支援していくものです。これは、マルチシグ・ウォレットのようなものであり、より多くの人が利用でき、より柔軟性を持ちます。DAOテクノロジーは順調に成熟を続けています。データDAOは、メンバーに代わりデータトークンを所有または管理します。DAOは、どのようなデータトークンを取得し、保持し、販売し、ライセンスするかなどのガバナンスプロセスを持つことができます。
ここではデータDAOの応用例をいくつか紹介します:
CooPと組合:1900年代初頭から、カナダの農村部の何千人もの農民が、穀物価格の交渉、マーケティング、分配に影響力を及ぼすためにSWPとしてグループを組みました。労働組合は、工場労働者、教師、その他多くの職業のために同様の成り立ちが成されてきました。データDAOは、データCooPまたはデータ組合(ユニオン)として、団体交渉権を有するデータ管理組織として設置される可能性があります。例えば、FOAMの位置情報証明サービスを利用して、数千人の組合員で位置情報データを扱うデータCooPが誕生するかもしれません。
何千マイルも離れた消費者に穀物を販売・流通させるために、農家はサスカチュワン小麦プール(SWP)のような協同組合に組織されました。SWPは穀物のエレベーター、列車、船などのシステムを管理していました[Image: CC-BY]
単一のデータアセットの管理: 1つのデータアセットをDAOが管理する為の方法として、そのデータセット専用のTelegramチャンネルを作成することが挙げられます。対応するデータトークンの1.0を持っている場合にのみ、Telegramチャンネルに入ることができるという形です。DiscordやSlackなどにも対応できるでしょう。
データトークンのプール管理:Balancer Configurable Rights Pools を利用して、データトークンプールとして総合的に管理するデータDAOが考えられます。
データ投資のためのインデックスファンド:Melonなどを使って、データ資産のバスケットを購入するための投資商品を構築する形です。
ここまで、DeFiツールがどのようにデータエコノミーのために再利用できるかを説明しました。データは非常に巨大な産業であるため、データエコノミーはDeFiの成長に大きく寄与することとなるでしょう。データエコノミーは欧州だけですでに377億ユーロに到達し、今も成長を続けています。これは、DeFiの運用資産残高(AUM)の30倍に相当します。
“データの経済的影響は巨大であり、 ほとんどの経済活動は数年以内にデータに依存するようになるだろう。28の加盟国における欧州のデータエコノミーの換算価値は、適切な条件が整っていることを前提とした高度成長シナリオでは、2018年の3770億ユーロから2020年には4470億ユーロ、2025年には10億5,400万ユーロに成長すると予想されています。”-欧州委員会「データ経済の構築」パンフレット
データは新しい資産クラスであることは間違いありません。これは証券化や担保として使用することが可能です。例としては、デビッド・ボウイのIP(知的財産)ライセンス収入の一部が社債権者に支払われたボウイ債が存在します。データはIPです。それを金融資産として利用するためには、それに価格がつけられます。ボウイの場合は、前年のライセンス収入から換算価値を確立しました。あるいは、データマーケットプレイスでデータ資産を販売することで適正価格を確定することもできるでしょう。
データトークンを使えば、データ資産を主要なDeFiサービスの種類ごとにデータ資産をオンボードすることができます:
データ資産は、ステーブルコインやローンの担保として利用して担保総額を増やすことができます
DEXとCEXで売買されたデータ資産は、そのボリュームとAUMに貢献してます
データ資産に保険をかけることができます。前述のように、データDAOやデータバスケットなどが考えられます
要するに、データトークンは、DeFiの規模をボリュームとAUMの面で飛躍的に成長させる大きな可能性を秘めています。
データはリターンを最適化するためにDeFiの意思決定を改善することができます。これによってDeFiの更なる成長に拍車をかけることになります。
いくつかの例を紹介します:
イールドファーミング:データは、年率(APR)を最大化するための自動化戦略を改善
保険:低リスクをもたらすためのより正確なモデルの構築
ローン:低担保ローンのデフォルト予測を改善
アービトラージボット:より高いリターンのボットを設定する為により多くのデータを付与
ステーブルコイン:ステーブルコインに関連する資産の評価
データを源動力とするループ:DeFiループテクノロジーは、リターンをさらに向上させることができます。上記の各例では、より良いリターンを得るために、より多くのデータを購入し、より多くの利用を促すというループを想定しています。さらに掘り下げると、これをデータ資産自体に適用することもできます。
Ocean V3用のデータトークンを構築しました。コードはOcean上で構築しているチームのプライベートベータ版で、現在セキュリティ監査を受けています。近日中にGitHubのリポジトリを公開し更新されたドキュメントをリリースする予定です。
今回の記事では、OceanProtocolのデータトークンについて説明しました。データトークンは、データインフラストラクチャの断片を組み合わせるためのオーバーレイプロトコルとして機能します。DeFiツールを再利用することでデータウォレット、データ交換、データ証明書、データDAO、Web3データエコノミーのために既存のツールを迅速に利用可能にすることができます。
また、データがDeFi全体のパイを成長させるための新たな資産クラスとなり、データがどのようにDeFiのリターンを最適化するのに役立つのかについても説明しました。
さあ、これからデータレゴが世に出ていきます!
以下の方々のレビューに感謝します。Bruce Pon、Simon de la Rouviere、Sarah Vallon、Monica Botez。そしてOcean Protocolの優秀な同僚たちの協力にも感謝します。特にAhmed Aliには、データトークンのコンセプトを洗練させるのに役立つ議論をしてくれたことに感謝します。最後に、継続的なサポートをしてくれた幅広いOceanコミュニティに感謝します。
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