テクノロジー

考察:ブロックチェーンの運用時に生じる致命的な問題点(【いま、ブロックチェーンが危ない:④】)

METEORASYSTEM's icon'
  • METEORASYSTEM
  • 2021/03/18 01:54

METEORA SYSTEM Co., Ltd. は,渡邊の[非可換algorithmによるBlockchain耐量子化技術] について, License partner の募集を開始しました. Cryptography の歴史を変えてくださる方との出会いを心待ちにするとともに, 候補者の方との積極的な discussion を歓迎しております.

ブロックチェーン運用時に生じる2つの問題点の整理

問題点1:「公開鍵」には量子耐性がない

つまり、秘密鍵データの計算が可能。

量子コンピュータの計算力なら他人の暗号資産を盗み、自分の財産にすることができる。

Satoshi Nakamotoは匿名の公開鍵を「情報の流れを断ち切る手段にした」。

これがこの問題点の背景にある。

問題点2:「秘密鍵」の管理運用手法の限界

たとえば、腕の良いハッカー(クラッカー)であれば巨大な計算力を使わずともオンライン上の秘密鍵を盗むことが可能であり、流出事件が現実に起こっている。

パスワードはアクセス制限をするが、オンライン秘密鍵の情報の流れを断ち切ることはできない、というシステム上の限界がこの問題点の背景にある。

問題点1の検証

Satoshi Nakamoto は X.509 証明書を持たない公開鍵を用い、受取人が所有権のチェーンを検証 できるようにしました。彼の論文から(10. Privacy)を引用します。

Content image

さらに下図Fig.1は「10. Privacy」の項から引用したNew Privacy Modelです。なお図中のブルーの文章や線は渡邊が書き加えたものです。

公開鍵を匿名にすることに依って、“Identities”から“Public”に至る情報の 流れが境界防衛線(ビットコインアドレス)で断ち切られることが示されています。

Content image

X.509 証明書付き公開鍵の“Identities”は認証局であり、X.509 証明書を持たない公開鍵の“Identities”は秘密鍵データであることがわかります。この“Identities”で受取人は署名を検証して、所有権チェーンを確認できる(電子コインの所有権)という設計です(Fig.2)。

Content image

この設計から、電子コインの所有権が先述した二つの要因で盗まれることがわかります。もう少し詳しく考察してみましょう。

「可換アルゴリズム型の公開鍵」には量子耐性が無いことから、Fig.2 は Fig.3 になります。

Content image

さらに問題点2についてもみてみます。

問題点2の検証

暗号資産などブロックチェーンの運用時には一般的にIDとパスワードが用いられています。パスワードは元々情報へのアクセスを制限するものであり、情報の流れを切るものではありません。これが深刻なのは、「パスワードはその定義 自体から情報が洩れる」という点です(Fig.4)。

Content image

問題点1、2の重なる部分

Fig.3とFig.4は「“Private keys”から“Public”に至る情報の流れを断ち切れない」ことにおいて同一であることを表現しています。すなわち、Fig.3=Fig.4です。

ちょっと待ってください。ということは、公開鍵を量子耐性にしたとしても Key データが”Public”の手に落ちることに変わりない。

真なる課題は何か?

この答えに辿り着くために、「アカウント」について考えてみたいと思います。

私たちは長年、ユーザのアカウントはサービス提供者が管理するものと考えて来ました。ここではパスワード登録をサービス提供者が管理します。ブロックチェーンにおいても、取引所や証券会社がユーザのアカウントを管理し、署名用の鍵ヘのアクセス制限を「パスワード」が行うことになっています。

しかし、パスワードを用いる限り鍵の情報の流れを断ち切れないことは先述の通りです。このことから「真なる課題」とは、パスワードを用いないで署名用の鍵を運用することである点が浮かび上がってきます。

この要件を論理的に突き詰めると、システムはオンラインにもオフラインにも鍵データを持たない一方、署名をするときには鍵データを利用できるという運用方法が想像されます。

何とも不思議なシナリオですが、決して想像ではありません。

多変数暗号アルゴリズムの基礎である「非可換アルゴリズム」がこのシナリオの実行を可能にしました。

次回の記事では、この非可換アルゴリズムがどのようにブロックチェーン運用時の問題点を克服しているかについてご紹介したいと思います。

 

©︎2021 METEORA SYSTEM Co., Ltd. and Kosaka advisory office

Article tip 0人がサポートしています
獲得ALIS: Article like 21.91 ALIS Article tip 0.00 ALIS
METEORASYSTEM's icon'
  • METEORASYSTEM
  • @METEORASYSTEM
非可換アルゴリズムによるブロックチェーン耐量子化技術 https://meteora-system.com/

投稿者の人気記事
コメントする
コメントする
こちらもおすすめ!
Eye catch
他カテゴリ

ALISのシステム概観

Like token Tip token
5.00 ALIS
Eye catch
クリプト

Bitcoin史 〜0.00076ドルから6万ドルへの歩み〜

Like token Tip token
947.13 ALIS
Eye catch
テクノロジー

なぜ、素人エンジニアの私が60日間でブロックチェーンゲームを制作できたのか、について語ってみた

Like token Tip token
270.93 ALIS
Eye catch
クリプト

ジョークコインとして出発したDogecoin(ドージコイン)の誕生から現在まで。注目される非証券性🐶

Like token Tip token
38.31 ALIS
Eye catch
テクノロジー

iOS15 配信開始!!

Like token Tip token
7.20 ALIS
Eye catch
クリプト

Bitcoinの価値の源泉は、PoWによる電気代ではなくて"競争原理"だった。

Like token Tip token
159.32 ALIS
Eye catch
クリプト

Uniswap v3を完全に理解した

Like token Tip token
18.92 ALIS
Eye catch
クリプト

約2年間ブロックチェ-ンゲームをして

Like token Tip token
61.20 ALIS
Eye catch
クリプト

17万円のPCでTwitterやってるのはもったいないのでETHマイニングを始めた話

Like token Tip token
46.60 ALIS
Eye catch
他カテゴリ

機械学習を体験してみよう!(難易度低)

Like token Tip token
124.82 ALIS
Eye catch
クリプト

NFT解体新書・デジタルデータをNFTで販売するときのすべて【実証実験・共有レポート】

Like token Tip token
121.79 ALIS
Eye catch
テクノロジー

オープンソースプロジェクトに参加して自己肯定感を高める

Like token Tip token
85.05 ALIS