皆さまこんにちは。
昨日はイランのお話でしたが今日はカタール。
ここね。サウジのお隣の半島。
カタールといえば?
昨日発表されたOPEC離脱宣言、ですね?
MALIS的トップニュースでした。
そもそもOPECって何?離脱したから何なの?というあなた、詳しくかつ簡単に解説しますので最後まで読んでいってね。
それでは見ていきましょう!
では、OPECとは何か?から説明しましょう。
OPEC(Organization of the Petroleum Exporting Countries)とは、石油輸出国機構のこと。
読んで字のごとく、石油を輸出する国々が、協力して自分たちの利益を守るために作られた組織で、1960年から存続しています。初期メンバーはイラン、イラク、クウェート、サウジアラビア、ベネズエラ。そのあとすぐにカタールが加入しました。
ちなみにOPECの日本語読みはオペック。
普通に読んだらオーペックだろ?とずっと疑問だったのですが、いまだ賛同者に出会ったことがありません。英語読みは"オーペック"に近いのでさらに混乱しますね。
はい、話を戻します。
OPECとは不思議な組織で、中東の度重なる戦争の間でも同じ会議室に集い、合意形成をしてきたのです。それだけ重要でパワフルな組織だったわけですね。
そんなOPECの中で、カタールは設立当初から約60年にわたりメンバーであり続けたのです。
ところで、カタールは石油輸出国機構にもかかわらず、あんまり石油が採れません。(下の図の赤いのがカタール)
代わりに天然ガスが大量に採れます。
そんなカタールの一番の輸出先は?
日本、です。
カタールにとって、日本は世界で初めて液化天然ガスを輸入してくれた国。現在も最大の貿易国で、関係はとても良いです。実際、日本のアニメが浸透していたり、日本の歴史に詳しい方が多かったりと、親日の方が多いんですよね。
日本にとっても、カタールは長年にわたり天然ガスの供給を支えてくれている大切な国なのです。
そんなカタールがなぜOPECから離脱してしまったのでしょうか?
カタール側は離脱理由について
「今後は天然ガスに集中するんで、OPECにいる意味なくなりました。うちが抜けても他のメンバー国に影響少ないよね。」
と話しています。
が、そんな綺麗な話なわけがありません。
背景にあるのはカタール危機でしょう。
2017年にサウジアラビアが引き起こしたこの危機、
「みんな!カタールと断交な!」
と周辺諸国に呼び掛け、湾岸諸国が軒並み国交断絶、陸路も空路も防いでしまったのです。市民は生鮮食品を入手できず生命維持の危機にさらされました。
現代版、兵糧攻めです。
主導したのは、そう、サウジアラビアの若き皇子、モハンマド・ビン・サルマーン皇子、略してMBS。
MBS、若いからかやることが派手。
とはいえ、この兵糧攻めは即時にイラン、トルコが物資の空輸にまわり、事なきを得ています。つまりMBS、大失敗です。
では、なぜサウジは喧嘩を売ったのか
1つは、カタールの外交姿勢。
中東は、サウジアラビアvsイランの2大覇権国家が延々と対立を続ける世界。その中で、カタールはサウジアラビアやUAEが大嫌いなムスリム同胞団を保護してきました。
さらに、イランともうまく外交しており、よく言えばバランサー、悪く言えばどっちつかずだったわけです。
しかも!サウジアラビアと同じ宗派でありながら女性は運転していいし戒律ゆるゆるやしなんやねんお前の国!?(怒)という宗教・文化的背景もあります。
というのが、よく日本のメディアで報道される理由。
もう一つの理由とされているのは、カタールの持つ天然ガス。なんとかしてカタールを言うこと聞かせて天然ガスの利権でも手に入れるか!という魂胆があった、という話はよく囁かれています。
石油王イメージの強いサウジアラビアですが、実は
2080年前後には石油が枯渇する
と言われています。
2080年?まだまだやん?と思うかもしれませんが、この国は石油がなきゃ存続不可能なのです。急進的な動きを見せてもおかしくありません。ちなみに、対するカタールの天然ガスはあと800年くらい持ちます。
真実は分かりません。
が、どっちにせよ急な国交断絶は無茶苦茶な話ではあるわけです。
こういった最近のサウジアラビアおよびその仲間たちとの関係が、カタールのOPEC離脱につながったとみるのは自然でしょう。
てか、離脱したくもなるよね?
OPECから離脱となると、石油価格はどうなるのでしょうか?
現在OPECは石油の価格を上げるために、生産をわざと減らしています。
ということは?
カタールが抜ける
→カタールは思う存分増産できる
→石油が市場にあふれて価格が下がる
というのが自然に思えますよね?
でも、思い出してください。
カタールはもともと石油が多い国ではありません。抜けたからって、すぐに価格に影響が出るわけではないのです。
じゃあ、何も影響はないのか?
短期的にはないでしょう。
しかし、長期的にはOPECの影響力低下につながるのではないかと言われています。そもそも、最近のOPECはアメリカのシェールガスのせいで価格調整力を失いつつあったのです。
市場への影響力を維持するために、ずっと仲の悪かったロシアにすり寄るサウジアラビア。
そんな最中のカタール離脱。
カタールの離脱の影響をうけて、他の国も離脱を決断するかもしれません。サウジアラビアは、さらなるロシア依存、そしてアメリカお友達路線を強めざるを得なくなっていくのではないでしょうか? それは、サウジアラビアの交渉力のさらなる低下を意味します。
この残念すぎる状況が、サウジアラビアをさらに過激な政策に向かわせはしないか?それこそが、今回の離脱からひきおこされる一番のリスクでしょう。
サウジが意味不明攻撃をしかけてカタールが天然ガス輸出ストップに、、、なんてことになったら、世界、なかでも日本は大打撃です。
今日のニュースで、サウジアラビアがカタールを12月9日に開催される湾岸諸国協力会談へ招待したとの速報が流れています。
話し合いの場で穏便に事がはこんでほしいものです。
というわけで、カタールのOPEC離脱ニュースについて解説してみました!
複雑な話ですので書き漏れていることもたくさんありますが、できるだけシンプルに解説するとこうなるかなと、、、
楽しんでいただけたなら幸いです♪
MALIS