皆様こんにちは、お盆休みの日を勘違いしていたMALISことマリ、私のALIS夏休みは来週です。
さて、今日取り上げたいのはこのニュース。
"モロッコに、ブロックチェーン会社がマイニング用の超大型風力発電所設置へ"
へぇー、マイニングって電力使うしね、
環境によさげだし、いいんじゃない?
はい、
マイニングのデータセンターの横に再エネを置くのは極めて合理的。
でも、ちょっと気になる点も。
見ていきましょう!
再生可能エネルギーにとっても積極的なモロッコ。
現在は電力の50%以上を石炭で賄っているモロッコですが、2030年には50%以上を太陽光発電と風力発電に置き換えると発表し、海外企業を積極的に誘致しています。
モロッコ、ここね↓
北アフリカかつ大西洋に面するモロッコは、日差しが強いし風も沢山吹くので、再生可能エネルギーにはピッタリなんです。
今回は、Solunaという会社が900MW(メガワット)の風力発電所を設置するとのこと。2019年着工、一年で完成予定。
900MW って?って方、
これ、めっちゃでかいです。すごい。
しかし、今回気になるのはサイズじゃない。
その設置場所です。
記事によると、設置場所は
西サハラ砂漠にあるDakhla
となっています。
実はこのエリア、領土問題を抱えているんです。
西サハラとは、北アフリカの西沿岸部に位置する一帯。
地図でみると↓
モロッコの下の方ですね。
一体ここで何があったのでしょうか?
ことは、1975年までさかのぼります。
もともとスペインの植民地だった西サハラ、モロッコ主導の独立運動により、スペインは領有権を手放します。
が、ややこしいのはスペイン、モロッコ、モーリタニアの3か国で結ばれた秘密協定。西サハラの北のほうはモロッコが、南はモーリタニアがもらう、というものでした。
しかし、西サハラには西サハラとしての独立を願う人たちがいました。
ポリサリオ戦線です。
彼らはこの分割統治に猛反対、サハラ・アラブ民主共和国をつくることを宣言し、武装闘争が始まったのです。
その後、ポリサリオ戦線は南の方を支配していたモーリタリアと停戦し、領有権を放棄させることに成功します。
が、ここでモロッコ、この元モーリタリア領の南部まで含めて占領してしまったのです。
事態は泥沼に。
2016年には欧州の国際裁判所で、モロッコは西サハラ支配する権利ないよ、という判決が出たのですが、いまだ実効支配を続けています。
緑のところがモロッコの支配しているとこ。
こういう、ちょっと、いやかなりややこしいところにマイニングと風力発電所を作ろうって話なんですね。
これ、、、大丈夫でしょうか?
さて、
この紛争地帯でよく争いの火種になってきたのがリン鉱石。
モロッコが輸出するリンの10%は西サハラ由来といわれており、2017年には不法採掘したというポリサリオ戦線の訴えで、取り押さえられたりしています。
そこで気になるのが、ブロックチェーンにおける"マイニング"は資源採掘になりうるのか?という問い。
私には何ともわかりません。
これまでもデータセンターが設置されていたことを考えると、採掘対象はいわゆる物理的な鉱物なのでしょう。しかし、その土地で手に入る風力を生かしてマイニングすること、そしてマイニング会社からモロッコには何らかの利益が入ることを考えると、問題は未だ残されている気がします。
それにしても、、、
この風力発電に出資したのはブルックストーン社。
ニューヨークに本社をかまえるプライベート・エクイティ・ファンドです。
彼らとしては、政治的要因を民間ビジネスに盛り込んで投資決定をするのは困難だ、ということなのでしょう。
しかし、その判断が西サハラに新たな火種を生まなければいいのですが。
今後も状況を追ってみたいと思います。
というわけで、最近私が大変興味をもっているモロッコの話題でした!
モロッコ政府は仮想通貨についてはネガティブな態度を示していましたが、マイニング事業に関しては特に規制していません。
また、先日はブロックチェーンサミットがモロッコで開催されたようです。
徐々にブロックチェーンに積極的になってきているモロッコ。上記の動画では、この新しい技術が地域の発展に貢献すると強調されています。
しかし、
リン鉱石、石油、ガス、、、
過去、発展をもたらすと期待された資源は、
この地域に紛争という呪いをかけてきました。
ブロックチェーンが、西サハラにとっての新たな"資源の呪い"とならぬよう、平和裏に経済が発展することを願ってやみません。
MALIS