20歳の時生まれて初めて全身麻酔の手術をした事がある。
手術した場所は、歯の手術。
歯の手術ごときで全身麻酔かけられるとは、夢にも思わなかった。
でも、相応の大手術だった。
その手術の内容は、頭蓋骨の鼻の下には空洞がある。
その空洞に歯が押し込まれてしまっていたのだった
押し込まれた歯は、右奥歯4本。
この衝撃的な事実が発覚したのは、虫歯の治療の為に歯医者に行った時。
行った歯医者は、小学校から行きつけの「久田デンタルクリニック」
この時、歯医者に昔治療した歯が無いと言われた。
抜けた痕跡もない、行方不明だった。
普通奥歯が4文もなくなれば自分で気が付く。
でも、俺は何故か気が付かずに生活していた。
あほか俺。
歯が行方不明なので歯医者は、まさかと感じレントゲンを撮る事にした。
そうしたら案の定、鼻の下の空洞に歯が4本埋まってる。
歯科医の人も、この状況に驚きが隠せなかった。
初めての事なので原因も全く解らない。
歯科医の先生が「もしかして顔を強く殴られた事ある?」と聞いてきた。
俺は喧嘩もしないから殴られた事は、特にないと伝えた。
でもこの時、ある事を思い出した。
あの口より手が先に出る父親の事だった。
俺は、この事を思い出し歯医者に伝えた。
「そういえば、父親にならしょっ中殴られてる」と。
そうしたら歯医者の先生と歯科助手のお姉さんに大爆笑されてしまった。
何かとんでもなく恥ずかしい思いをした気分だ。
そしたら歯医者に「殴られそうな事をする顔しているもんな」と言われた。
顔は、関係ないと思うのだが。
多分そんな雰囲気を出していたのだろう。
奥歯4本が鼻の下の空洞に入ってしまったこの異常事態。
おれが通っている歯医者では、この状況にに対応できないらしい。
そこで御茶ノ水の口腔外科を紹介された。
おれは、そこで手術を受ける事となった。
行った初日に、検査ができて結果を聞く事が出来た。
その結果、原因不明だが上に押し込まれた歯は取らないと腐るらしい。
なので、原因不明のまま手術をする事になってしまった。
この時は、部分麻酔で行けるだろうという話だった。
でも、3日入院する事になるらしい。
そして手術当日。
やっぱり相当な痛みを伴う手術なので全身麻酔にしようと言う事になった。
そして、全身麻酔を受け凄く気持ち良くなり眠ってしまった。
俺は全身麻酔なんて生まれて初めてなので、凄く効きが良かった。
でも目が覚めたのは、手術中だった。
この時、痛みは感じなかったが、あまりの痛みで体が反応している。
俺は、足をばたつかせて痛がっているようだった。
俺は、先生に足を抑えてくれと言ったが、またすぐに寝るよと言われた。
そして、本当にすぐに眠ってしまった。
手術が無事に終わり、目が覚めたらもの凄い激痛が走った。
歯の痛みに加え、頭痛もする。
ふと横を見ると、母親と父親がいた。
母親は、俺の目が覚めたので担当医の人を呼んでくれた。
俺は、担当医の人が来たのであまりの痛みに、痛み止めが欲しいと頼んだ。
でも痛み止めは、もらえなかった。
すぐに痛みがなくなるから、そのまま寝ててくれと言う事だった。
そして俺は、痛すぎて、ふてくされ寝してしまった。
また目が覚めたら、痛みがだいぶ無くなっていた。
そして隣をのベッドを見たら、同い年位の男の人が寝ている。
俺はその人に話しかけてみた。
そうしたら、バイクの事故であごの骨にひびが入ったらしい。
その子は、その手術の難しさの為、かなりの数の病院に断られたみたいだ。
そしてやっとこの病院で手術をやってくれる事になったらしい。
どうやらこの病院には、相当凄腕の先生がいるみたいだ。
俺は、こんな病院で手術を受けられて本当に良かった。
手術する人の腕が悪かったら、一生残る傷跡だったかもしれない。
俺は、この後1日何も食事が出来ず点滴のみだった。
トイレに行こうとベッドから起きると、異常にめまいがする。
奥歯を一気に4本も抜いたから、平行感覚が悪くなっていた。
まっずぐ歩けず、体が斜めになりなが、らやっとの思いでトイレに行った。
この感覚に慣れるまで、しばらくかかりそうだ。
次の日の朝、目が覚めると隣にいた男の子の頭が丸坊主にされていた。
どうやら、頭蓋骨の頭部の方まで手術しなくてはならないらしい。
相当重症みたいだ。
その男の子は、凄く不安な顔をしていた。
そして麻酔を打たれて眠り、手術室に向かって行った。
昼過ぎ、手術から3時間位ち、その子は戻ってきた。
顔全体に包帯が巻かれて寝ているが、手術は成功したらしい。
俺は、こんな難しい手術も成功させられるなんて凄い病院だと感心した。
この後無事に退院できて、いつもの歯医者で入れ歯を作ってもらった。
この入れ歯をすると、平衡感覚の狂いが無くなる。
今では、この入れ歯は凄く大切な物になっている。
でも、最近この入れ歯が壊れてしまい歯医者通いをし始めてしまった。