7歳の時。
三郷団地にある立花小学校に通っていた。
ここには、どんぐり学童クラブと言う児童の1時預かり施設があった。
ある時この学童クラブで班ごとに分かれて料理を作ろうと言う事になった。
俺は、料理なんて全く興味が無くやる気が起きなかった。
でも、やろうと決まったのだから、仕方なくやる事にした。
作った料理は、ハンバーグ。
俺の班は、食材を買いに行く為に近くにあるスーパーに買い物に行った。
買い出しに行ったスーパーは「ピーコック」と言う所だった。
事前に買う物を決め、メモ書きをした物を持って行った。
そこで、挽肉と野菜をたくさん買ってきた。
買う時、もうメモに書いた物など全く気にせず適当に買ってしまった。
最低限ハンバーグに必要な物は買ったが、お菓子も買ってしまった。
これは、頭の良い班長が戦略的に予算を余らせてくれて買った物だった。
素晴らしい班長だ。
俺は帰り道、予算内で納めても、お菓子はさすがに怒られると感じていた。
学童クラブに戻ったら、買ってきた食材を先生に見せないとならない。
そして到着して、先生に食材を見せたら案の定怒られた。
でも、これでハンバーグをしっかり作れるなら許すと言ってくれた。
我々は、お菓子を買ってしまった為、本気でハンバーグを作る事になった。
全員ハンバーグなんて作った事が無い。
でも、料理本を見ながら作り始めた。
作っている途中、必要な材料がない事に気が付いた。
それは「卵」
ハンバーグを作る為に絶対必要な代名詞の卵が無かったのだ。
この時、班全員の子の顔が「ヤベェ」と青ざめた。
でも、どうする事も出来ない。
遠くでは、先生がこちらを見てニヤついている。
俺は、お菓子を買っても許してくれたのはこう言う事かと思った。
班の子達は、それを見て何かムカついたのか絶対にやってやる気になった。
我々は、卵が無い事態を解決する為に知恵を振り絞った。
そうしたら1人の女子が、挽肉だけでも焼く方法があると言い出した。
その方法は、網を上下から押さえつけて直火で焼く方法。
どうやらこの方法は、テレビでやっていたらしい。
我々は、一途の望みをかけてこの方法でミッションを完遂する事にした。
そして、台所にあった手持ちが付いている網を2枚用意してきた。
我々は、ガスコンロに火をつけ挽肉だけで作ったハンバーグを網に挟んだ。
そのままガスコンロの火で直火焼きをする。
果たして上手くいくかどうか不安だった。
手持ちの網は、すぐに熱くなり持てなくなる。
なので、みんなで交代で持ち換えて焼いた。
コンロに油がぼたぼた落ちたが、そんなの無視。
そして、焦げ目が付き焼きあがった。
この焼き方は、想像以上に上手く行った。
俺達は、もしかして天才かもと確信してきた。
残りも、この方法で全部焼いて行った。
そして試食タイム。
全員の班の料理を、1品ずつお皿に盛り全員で食事した。
他の班の物は、カレー、シチュー、パンケーキ、チャーハンがあった。
他の班の物は、なんか美味しくなかった。
この時、俺の班が焼いたハンバーグが1番美味しいと確信していた。
その中でも、この俺様が焼いたハンバーグが1番美味しい。
そう確信していた。
それもそのはず、あの万事休すの中、死に物狂いで完成させた物だからだ。
食事が終わり、どの班の食事が1番美味しかったのか決める事になった。
決め方は、投票で決める。
そうしたら、我々のハンバーグが1番になってしまった。
先生も、あのハンバーグの作り方は大したものだと言ってくれた。
俺はこの時、お菓子を買った罪パワーは凄い物だなと感じてしまった。
でも最後に、お菓子を買う何てズルはするなよと、念を押されてしまった。
買ったお菓子は、その場で食べる事を許してもらえず、みんなで家に持ち帰った。