13歳の時、ボーイスカウトに入団していた。
このボーイスカウトで、登山に出掛けてきた。
場所は奥多摩。
登山コースは、「御前山」~「鋸山」~「大岳山」~「御岳山」の登山のコース。
俺は、このボーイスカウトの登山はただ疲れるだけで大っ嫌いだった。
でも、行くというのだから仕方なく行ってきた。
バスで、「御前山」のふもとに行き、そこから登り始めた。
荷物の量は、少なめに持って行き15㎏位だった。
出だしから、登山が嫌過ぎて吐き気がしてくる。
俺は、景色など楽しむ余裕が無く、ただひたすら歩き続けた。
最初は車道を歩いていたが、途中から本格的な山道に入っていった。
もう山臭い匂いで、最初から気持ちがうんざりしてしまっていた。
俺は、ずっと下を向きながら山を登って行った。
そして、4時間位歩いた所で休憩をする事にした。
俺は、休憩しながら周りを見渡した。
そしたらここは、「御前山」の頂上だった。
ずっと下を向いて歩いていたから分からなかった。
ただ、頂上というだけで、ちょっとめでたい気持ちになれた。
でもこれから、今日中に山を3つ超えなくてはならない。
俺は、疲れた体を起こし、またイヤイヤ歩き出した。
「鋸山」を登り始めてしばらくすると、なんだかコースとは違う獣道を歩いていた。
でも、木には矢印が付いた表札がある。
コンパスでコースを確認しても、これで正しいようだった。
我々は、違和感を感じながらもこのコースを上り続けた。
そして休憩から3間位上った所で、急に辺りが開けて岩だらけのコースになった。
我々は、休憩をする為に平らな場所まで歩く事にした。
でも、行けども行けども、永遠に登りが続き、休憩出来そうな場所が無い。
道の先の方を見ても、ずっと更に高い山が続いていた。
隊長も、もうキリが無いからここで休憩しようと言ってくれた。
ここの休憩中、俺は今どの位置にいるのか地図で確かめてみた。
そうしたら、ここは「鋸山」を超え、もう「大岳山」の頂上御付近にいた。
でも、周りを見渡しても頂上らしき場所なんてない。
我々は頂上の目印を見逃していたのだろうか?
未だに不明だ。
休憩も終わり、我々は当時はあった「御岳山」の山小屋へ向かった。
そしてまた永遠に山を歩いて行った。
俺は、もう疲れ切ってしまい、意識がもうろうとしながら歩き続けた。
山小屋までの記憶があまりない。
「御岳山」の山小屋に到着した時は、確か日が暮れて星が見えていた。
何時間歩いたのかも分からない。
でも、ようやく到着して俺は精魂尽き果てた。
ここから、みんなで持ってきた食量で自炊して夕飯を作らなくてはならなかった。
ようやく夕飯を食べ始めたが、疲れすぎて食欲すらなかった。
夕飯を食べ終わった後、みんなは遊び始めていたが、俺はすぐに寝てしまった。
やっぱり山登りは全然楽しくない。
次の日、山小屋を出発する時、余った食料をみんなで分けて持ち帰るのだが。
なぜか俺のリュックにだけ、食料がパンパンに入っている。
みんな重たいのが嫌だから、俺のリュックに詰め込んだに違いない。
仕方なく俺は、みんなより重たいリュックを背負って行く事にした。
下山は、別のルートで行く事になった。
どうも近道があるらしい。
我々は、そのルートへ向けて歩き始めた。
最初は普通の山道だったが、2時間位歩くと車道に出た。
この車道を永遠に下って、バス乗り場まで行くらしい。
俺は下山の時も、疲れで意識がもうろうとしてしまっていた。
しかも、みんなよりリュックが重い!
多分30㎏はあったと思う。
車道に入って、俺の歩くペースがみんなより落ちてきた。
そうしたら、みんな交代で、俺のリュックを後ろから持ち上げて歩いてくれた。
ありがたい事だ。
きっと、俺のリュックを重くした事に責任を感じていたのだろう。
途中で休憩をした時、俺は疲れすぎてそこで寝てしまった。
そうしたら、すぐに起こされてしまった。
眠ると、体温が下がり、余計疲れが出るから寝るなと言われてしまった。
そしてまた、車道を永遠に歩き続けてようやくバスが待つ場所まで到着した。
俺はこの下山の時覚えていたのは、奇麗な夕日が遠くに見えた事だけだった。
我々は、このバスに乗り帰って行った。
バスの中では、もうずっと寝ているだけだった。
みんなと話をする余力も無く、早く家に帰って寝たいだけだった。
俺は、今でも山登りが大っ嫌いだ。
この頃の山登りの辛さを、今でも忘れられない。