1歳前のうっすらとした記憶
この頃、高島平団地に住んでいた。
当時、俺は赤ちゃん用ベットの上に寝かされていた。
横に、赤い花の造花がたくさん付いていた「ガラガラメリー」があった。
ガラガラメリーとは、造花が沢山垂れ下がった赤ちゃんの玩具。
これは、ひもを引っ張ると回りだして、音楽が出る物だった。
俺は、「ガラガラメリー」が大好きだった。
これが回りだすと凄く心地よかった。
今でもうっすらと覚えている。
何とも言えない安心感と、凄く楽しい気持ちが湧き出てくる。
こんな物が、当時の俺には最高のくつろぎだった。
でもある時からなかなかガラガラメリーを回してくれなくなった。
面倒くさかったのか、俺の気持ちが解らなかったのかは不明。
俺は、ガラガラメリーが回らない事でストレスが溜まっていった。
ガラガラメリーを回したくて自分で紐の方に手を伸ばした。
でも、スイッチの紐には手が届かない。
かといって、まだ言葉も話せない為、母親に言う事も出来ない。
俺は、やっと手が届く造花に手を伸ばして、それを引っ張った。
でも、やっぱり動かない。
全然ガラガラメリーを回してくれないから、俺はストレスが溜まった。
毎日造花を引っ張っても回らない。
しばらくすると、これがスイッチじゃない事が理解できた。
その先にある紐がスイッチなんだと解った。
でも、その紐には手が届かない。
そこで俺は、造花の紐を引っ張り、回してくれアピールをした。
それでも全然回してくれなかった。
俺は、ガラガラメリーを回してほしくて仕方が無かった。
あのガラガラメリーが回る心地良さと安心感を、どうしても味わいたかった。
その為に俺は、毎日必死に造花を引っ張り、回してと訴えた。
そうしてやっと、たまに回してくれるようになった。
俺は、造花を引っ張れば回してくれるかもしれない事が解った。
俺は、回してほしい時、造花の紐を引っ張る事にした。
それでもなかなか回してくれなくて、結構ストレスだった。
そうしている内に、とうとう造花はボロボロになってしまった。
それでも、回してくれると凄く嬉しい。
でも、ついに壊れて回らなくなってしまった。
俺が、造花の紐を引っ張り過ぎた為だろう。
その頃の俺は、もう立てるようになっていた。
そのお陰で、ガラガラメリーが無くてもストレスを発散できた。
色々な、いらずらをしまくって…。
家のふすまは全部ボロボロに破けていたが、多分俺の仕業だろう。
赤ちゃんは、無反応に見えて結構感情があるのかもしれない。
その証拠に、俺はストレスで泣いていた記憶がある。
目が見えなかった頃の記憶はないけど。
俺の一番昔の記憶は、このガラガラメリーの事かもしれない。
それ以前の記憶は、前世の記憶になってしまうと思う。
前世の記憶なんてもうないけどね。
前世の記憶は、6歳位まで残っていると聞いた事がある。
俺は、子供たちの記憶にある前世の事を聞いて見たい。
なんだかすごく興味がある。
そして、自分の前世の記憶も知りたい。