タイトルの赤ペリとは?
原文見たら〈THE RED PERI〉。
ペリは音訳かい。
舞台は近年準惑星に格下げされた冥王星。
ハムとパットはお役御免、今回は放射物理技士のキーンが主役だ。
海賊赤ペリ号との初遭遇はあっさり終わり、一年後の歓迎せざる再会がメイン。
同行者ソロモン翁(御年55歳に翁って……)はパートナーとしての魅力にやや欠けるが、ペルシャ風の名を持つ赤毛海賊の意外な正体が明かされ、部下エルザを仲間に引き入れる辺りから話に求心力が加わり俄然面白くなってくる。
ソロモン翁も途中からいい味出してくるし。
終盤、宇宙服も着ずに冥王星平原に降り立ち、地獄の苦痛に喘ぎながらも生きて三百メートル歩く。
窒素のない血液云々の理屈にそんなバカなと言いたくなる気持ちを抑え、ふと思い出す。
褌一丁で宇宙遊泳を果たした、江田島平八という男を。
もう一点。
ワインバウムの描くSFはどれも根底にラブロマンスが横たわっているのだ。
たとえそれが結ばれない悲恋に終わるとしても。
ゆっくり読んでいたら次の衛星シリーズがその2まで青空文庫に公開されていたので、あまり短編に時間かけすぎてもなあと慌てて読んだ。
今までの短編に比べると少々長め。