青空文庫。
原題は「The Mad Moon」。
相変わらず書き出しがいい。
〈グラント・カルソープがわめいた。「まぬけ、たわけ、ばか、あほう」〉。
強心草が栽培できる以外何も良いところがない、狂気の衛星イオ。
ペットのバカ猫オリバーはまだ可愛げがあるが、イオの固有種らしきべらぼうと学名『ムス・サピエンス』のスリネズミは両方とも厄介者。
白熱病の幻覚に悩まされるグラントの下に現れたのは、現実らしき女性リー・ニーラン。
向こうもグラントを幻覚と思い込んでる辺りが読んでいて心楽しく、急転直下のラストに配された一言もいい。