薩摩藩の南蛮貿易の海商・大迫吉之丞が隠居した惟新公(島津義弘)の命を受けてはるばる呂宋(フィリピン)まで茶壺を探しに行くという旅行記もの。
十蘭の書く船旅は水難だらけと相場が決まっているが、こちらもご多分に漏れず海賊に襲われるわ船に火をかけられるわ難破するわの水難ラッシュ。
途中から同行する大谷吉継の娘が、その気品ある凛々しさでダイ・ハードな冒険譚にひっそり華を添えている。
ラストの無常観も含めて、十蘭の乾いた感性を存分に堪能できる。