短編。
冒頭の情景描写が既に神がかっている。
書き出しのお手本のよう。
交通事故で死んだ女性と霊媒を通じて無為な逢瀬を重ねている男・白川。
飛行機内で女性の継娘と再会した彼は、彼女も霊媒体質であると知るが……その後は同じ事故に巻き込まれた男性が何故か操縦席から出てくるなど奇妙な方向に進みかけるが、場面は変わって行方を晦ました霊媒と改めて相対することに。
筋書きの論理整合性よりも、ラストの落ちを含めて深き雲の海に迷い込んだが如き不思議な感触を味わうための一編。