2011年3月11日は東日本大震災が起きた日であり、あれから8年がたった。今では平穏となり忘れてしまった人もいるだろうし、あの悲劇から立ち直れない人もいるだろうし、震災の傷跡から復興できていない地域の人もいるだろう。あの日を忘れないため、よりよく知るための本を3つ紹介したい。
【僕のお父さんは東電の社員です】
毎日新聞に寄せられた、ある小学生の投書について議論された本である。この投書は「僕のお父さんは東電の社員です」から始まっている。内容は私の下手な要約では表現できないのでここでは書かないが、非常に理性的で理路整然としており、民主主義の責任について本質をついている。
ただその内容自体よりも、このような投書を小学生が書かなければならなかったことに、非常な悲しみと恥ずかしさを覚えた。彼は東電社員である父親が責められることに憤りや悔しさを覚えたのだと思う。彼が投書したのには非常な勇気が必要だっただろう。そんな彼の悲痛な叫びを感じると、日本人の大人として情けなく思う。
冒頭のゆうだい君の手紙の部分だけでもぜひ読んでいただきたい(数ページ程度)。というより、手紙の部分以外は大人の言い訳のようで、読むほどでもない。
【震災後 福井 晴敏】
震災に被災したある家族の祖父、父、息子の姿を描いた作品である。祖父は自分たちが日本を戦後から復興したと考えつつ、政治や経済、環境問題を次の世代に負の遺産として残してしまったと考えていた。父は原発事故によって不安定な社会だが、明るい未来を息子たちに残したいと考えているが、どうしたらいいのかはわからなkった。息子は自分たちの未来はどうしよもなく暗いものだと考えていた。
多くの人たちは同じことを考えていると思う。祖父母ら先人たちはきっとこれが正しい道だと考えて経済発展をさせたが、結果として環境問題や経済的課題を残してしまった。ほとんどの人は子孫たちが幸せになることを望んでいたと思う。
今の親や大人は今こうすることがベストであり、問題の解決に尽力しており、子供達に負の遺産を少しでも減らそうと考えていると思う。
しかし子供達はその未来を信じることはできない。実際に明るい未来があるかはわからない。
全ての問題はトレードオフで善悪両面がある。最悪なのは何もしないことである。だから悪い面があっても進歩しなければ未来はないと思う。
【そして、星の輝く夜がくる 真山仁】
震災直後の被災地の現実を描いた本です。阪神淡路大震災を経験した教師が転任してきて、子どもや仕事を失った大人、ボランティアとの関係など、被災地の様々な現実を見て奮闘しています。
被災地の問題が非常にリアルに描かれており、マスコミで伝えられる内容とは大きく異なります。表面的な支援はかえって人々を苦しめたり混乱を起こすことがあります。むしろ何もしない方がいいくらいの、身勝手な善意もあります。
間違いなく今後も大きな自然災害は起こります。そのときに何をすべきかを考える上で、この本を読んで学べると思います。過去の教訓を生かせなければ未来はないと思います。