
こんにちは!こんばんは
6月17日、Lenovo傘下の日系企業「FCNT」が新製品「arrows Alpha」を発表しました。連日、中小含めてのネットメディアが揃って、arrows Alphaを「ハイスペック」「ハイエンド」と謳っています
しかし、このような表現で実際に庶民である私たちの判断の妨げになっていることは事実であり、それを押し売りする中小含めてのネットメディアは、古典的でとても古臭いやり方で理解しがたいです
今回、17日に発表されたばかりの最新スマートフォン「FCNT arrows Alpha」がハイエンドスマホと言えるのか否か。実際にファクトチェックしてみようと存じます
はなしを進めていく前に、FCNT arrows Alphaのスペックをかんたんに見ておきましょう
メーカー:FCNT
機種名:arrows Alpha
OS:Android 15
SoC:MediaTek Dimensity 8350 Extreme
メモリ:12GB
内臓ストレージ:512GB
ディスプレイ:6.4インチ
リフレッシュレート:最大144Hz
アウトカメラ:50MP + 49MPの2眼
インカメラ:49MPの1眼
バッテリー容量:5000mAh
充電速度:最大90Wの急速充電
上記のスペックを元に、FCNT arrows Alphaがハイエンドスマホかどうかをファクトチェックしていきます
arrows Alphaに採用されているSoCは、MediaTek Dimensity 8350 Extremeが使用されています。このSoCは、MediaTekが2024年11月に発表したSoCで、海外では、Motorola edge 60 proのみが搭載されています
そして、MediaTek Dimensity 8350 Extremeは元々、MediaTek Dimensity 8350をパワーアップした高クロックSoCで、MediaTek Dimensity 8350は実際に中華人民共和国・OPPOから発売された『OPPO Reno13シリーズ』に使用されています
さらに、MediaTek Dimensityシリーズには『MediaTek Dimensity 9000シリーズ』が存在することから、MediaTek Dimensity 8000シリーズは9000シリーズの型落ちSoCで、9000シリーズの方がハイエンドであることから、MediaTek Dimensity 8350 Extremeをハイエンドとして表現するのは、かなり問題があるのではないでしょうか
ハイエンドと言っても、その言葉に相応しいスマホかどうかを定義する必要があります。実際に広く知れ渡っている "ハイエンドの定義" は以下のとおりです
ハイエンドスマホの定義
1.SoCの性能
最新世代のフラッグシップSoCを搭載していることが必須です。これにより、高い処理能力、電力効率、AI処理性能が保証されます
2.ディスプレイの品質
高解像度(FHD+以上)、高リフレッシュレート(90Hz以上、特に120Hzが一般的)、有機EL(OLED)パネル、高い輝度、正確な色再現性などが求められます
3.カメラ性能
複数の高性能レンズ(広角、超広角、望遠など)、大きなセンサーサイズ、高度な画像処理技術、光学式手ブレ補正(OIS)、高解像度動画撮影(4K 60fps以上)など、業界をリードする写真・動画撮影能力を備えています
4.メモリとストレージ
十分なRAM(8GB以上、一般的には12GB以上)と高速なストレージ(UFS 3.1以降、256GB以上が主流)を搭載し、快適なマルチタスクと大量のデータ保存に対応します
5.バッテリーと充電
大容量バッテリーに加え、高速充電(有線・無線)、リバースワイヤレス充電など、多様な充電オプションをサポートします
6.ビルドクオリティと素材
高品質な素材(ガラス、金属など)を使用し、高い防水防塵性能(IP68など)、洗練されたデザインを備えています
7.追加機能
5G対応、Wi-Fi 6E/7、高度な生体認証(ディスプレイ内指紋認証や顔認証)、ステレオスピーカー、ハプティクスフィードバックの質なども重要な要素となります。
8.ブランドと価格帯
主要なスマートフォンメーカーの最上位モデルであり、一般的に高価な価格帯(例:10万円以上)で販売されます
これを元に、arrows Alphaをハイエンドスマホかどうかをファクトチェックすると、以下の結果が明らかとなりました
arrows Alphaをファクトチェック
1.SoCの性能
搭載SoCにMediaTek Dimensity 8350 Extremeを採用しています。しかし、最新世代のフラッグシップSoCを搭載していません。これにより、高い処理能力、電力効率、AI処理性能が保証されているとは言えず、arrows Alphaは、ハイエンドスマホではありません
2.ディスプレイの品質
搭載されているディスプレイには、Super HD(1200×2670)の解像度。最大144Hzのリフレッシュレートを誇ります。高解像度ではないものの、高リフレッシュレートとOLEDパネルを採用しているが、arrows Alphaをハイエンドスマホというのは、かなり無理があります
3.カメラ性能
arrows Alphaのアウトカメラには、Sony IMX896が採用され、広角と超広角の2つのアウトカメラが実装されています。センサーサイズは、1/5.6型とSony IMX800番台では一般的なセンサーサイズで大きくありません
ハイエンドスマホというからには、複数の高性能レンズ(広角、超広角、望遠など)、大きなセンサーサイズ、高度な画像処理技術、光学式手ブレ補正(OIS)、高解像度動画撮影(4K 60fps以上)など、業界をリードする写真・動画撮影能力を必要とされていることから、arrows Alphaをハイエンドスマホというのは、かなりおかしいです
4.メモリとストレージ
arrows Alphaに搭載されているメモリとストレージは、12GBのメモリに512GBの内臓ストレージを備えています
メモリの部分だけは、ハイエンドスマホと言ってもおかしくないぐらいの大容量メモリを実装されていることから、この部分だけをハイエンドと名乗っても大丈夫です
しかし、内臓ストレージの性能に関わる「UFS 3.1以降」を対応しているかどうかの表記が見当たらないことから、メモリとストレージを揃って『ハイエンド』と名乗るのは、不確かな部分ではないでしょうか
5.バッテリーと充電
arrows Alphaのバッテリー容量は、5000mAhとしています。しかし、90WのACアダプターからの急速充電にサポートする部分は、ハイエンドスマホと名乗っても問題ありません
しかし、arrows Alphaにワイヤレス充電をサポートするとの表記が見当たらないことから、多様な充電オプションをサポートするハイエンドスマホではないことは、確かです
6.ビルドクオリティと素材
arrows Alphaのボディには、mil-std-810HのMIL規格に批准し、
IPX6・IPX8・IPX9の防水性能、IP6Xの防塵性能を誇ります。さらにFCNT arrowsシリーズで初のエコマーク認定を受けたスマートフォンとなっており、環境配慮材適用率60%、同梱するパッケージには、100%リサイクル可能なモノに仕上げていますこのように、環境を意識したスマートフォンに仕上げたことは、まさにハイエンドスマホと名乗っても構わないです
7.追加機能
arrows Alphaは、5Gと5G+に対応し、顔認証と指紋認証の2つの認証システムを採用。Wi-FiはWi-Fi7にサポートしないものの、Wi-Fi6Eまでは対応。スピーカーはステレオで、ハイレゾ対応の3.5mmヘッドセットやスピーカーやLDACに対応した機器を用意すれば、ハイレゾ音源を楽しめます
この辺りについては、ハイエンドスマホと言ってもおかしくないです
8.ブランドと価格帯
FCNTから発売するスマートフォンの中では、最も上位に君臨するフラグシップモデルで、FCNTからすれば、まさにハイエンドスマホと言ってもおかしくないです
しかし、一般的な高価格帯で発売するスマホではなく、発売時が8万円前後と予想されていることから、価格を見てからハイエンドスマホと決めつけるのは、かなり無理があるのではないでしょうか
ハイエンドスマホに必要な8つの定義を基づいて、arrows Alphaがハイエンドスマホであるかどうかを確認した結果、arrows Alphaは部分的に優れた特徴を持つものの、SoCの性能、カメラの全体的な能力、ワイヤレス充電の欠如、そして価格帯から判断すると、厳格な意味での「ハイエンドスマホ」とは言えないことが分かりました
そのことから、中小含めてのネットメディアが揃って、arrows Alphaを「ハイスペック」「ハイエンド」と謳うのは、流石に筋が通らない表現の仕方で間違いありません
FCNTが6月17日に発表した「arrows Alpha」は、多くのネットメディアで「ハイスペック」「ハイエンド」と紹介されていますが、客観的な基準で検証すると、その評価は必ずしも妥当とは言えません
arrows Alphaに搭載されているSoC「MediaTek Dimensity 8350 Extreme」は最新のフラッグシップモデルではなく、性能面で真のハイエンドとは異なります
ディスプレイは高リフレッシュレートのOLEDパネルを備えるものの、解像度は最高峰とは言い難く、カメラ性能も大型センサーや多様なレンズ構成、光学手ブレ補正などのハイエンド基準を満たしていません
メモリ容量は12GBと十分ですが、ストレージの高速規格対応の明示がなく、バッテリーは大容量で急速充電対応ながらワイヤレス充電には非対応です
一方で、耐久性や防水防塵性能、環境配慮素材の使用などビルドクオリティの面では高い評価が可能であり、5Gや顔・指紋認証などの追加機能も充実しています
価格は8万円前後と、一般的なハイエンドスマホの価格帯を下回ることから、コストパフォーマンス重視のミドルハイレンジモデルと位置付けるのが適切です
arrows Alphaは部分的に優れた特徴を持つものの、厳密なハイエンドスマホの定義には合致しないため、ネットメディアが一律に「ハイスペック」「ハイエンド」と謳うのは誤解を招く表現と言えます
今回は、6月17日にFCNTが発表したフラグシップモデル「arrows Alpha」がハイエンドスマホ、ハイスペックスマホかどうかをファクトチェックしてみました
このように、FCNTの「arrows Alpha」について、客観的な事実に基づいた検証を行った結果、ネットメディアによる「ハイスペック」「ハイエンド」といった評価は、必ずしも正確ではないことが明らかになりました
arrows Alphaは、優れた部分もあるものの、ハイエンドスマホとして必要な要素をすべて満たしているわけではありません
とくに、SoCの性能やカメラ能力、充電機能の充実度など、ハイエンドと呼ばれるにふさわしいスペックを備えていない部分があります
この検証結果から、消費者がスマートフォンを選ぶ際には、メーカーやメディアの宣伝文句だけに頼るのではなく、実際のスペックや性能を自分で確認することが重要であることが分かります
また、メディアの表現には一定の距離を置き、客観的な情報を探して自分で判断することが、賢い消費者になるための第一歩だと言えます
今後、arrows Alphaのようなミドルハイレンジモデルが、特定のユーザーにとっては十分な性能を持つ選択肢となり得ることを念頭に置きつつ、ハイエンドスマホとの違いを理解した上で、自身のニーズに合ったスマートフォンを選ぶことが大切ではないでしょうか
さいごまで読んでいただき、ありがとうございました
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参考サイト