ALIS初投稿です。自分のMediumにもかなり記事が蓄積されているので、使い分けどうしようかな~と思っていますが、ブロックチェーン系の記事はこちらにまとめていこうかなと思っています。
さて、初回ですが、分散型取引所がなんで重要なんだったっけ?という話をします。
なぜか?
多くの人にとっては集権的な取引所と分散型の取引所が同じように認識されていることが多いと思うからです。そもそもユーザーインターフェース的な視点では、集権的なものも、分散的なものもあんまり変わりません。(もちろん玄人が見れば違いはありますが 笑)でも、この両者の違いは極めて大事です。
まず、明らかな違いは、資産に対するコントロール権です。分散型取引所ではプライベートキーを自分で管理し、ウォレット to ウォレットで取引を実行するので、集権的取引所で起きているようなハッキングが起きません。完全に安全か?と言われると、フロントランニングが起こる可能性が有るという点で安全ではないですが、起こったとしても少額の被害となるので一般的に中央集権的な取引所に比べ安全といっていいでしょう。
そしてこれは現時点で軽視されていると思いますが、DAppsの流動性をシームレスに共有できるのも大きな違いです。今の段階ではEthereum上に走る多くのDAppsはDAU(Daily Active User)が少なく、ERC20を用いたDAppsはいかにしてEtherを独自のERC20トークンにしてもらうか?に頭を使っています。今後様々なプロジェクトが起動に乗るに連れてDAppsを動かすためにERC20トークンを持つユーザーが増えていくでしょう。
例えばAugurのアプリケーションをREPではなくDAIで使えるようにするとか、OmiseGoのサービスをOMGではなくREPで使えると言ったUXになると思います。
これは明らかに大事です。OmiseGoのサービスをユーザーがOMGを持っていないと使用できないようではユーザーの参入障壁が高すぎます。ユーザー側はDAIで支払っているのだけど裏側で分散型取引所が当時のレートでOMGに変えているからOmiseGo側はOMGで受け取るといったことが可能になります。これによってDApps間に流動性が生まれます。
これは既存の集権的な取引所ではできません、まず審査された上場という概念があり、今後上場するERC20トークンの数は増えるでしょうが限界はあります。比較先としてはBancorが参考になるでしょう。また、取引所のデータベースではなくスマートコントラクトで交換を行うことが重要です。これは、スマートコントラクトがwebのAPIを呼び出すのは面倒ですが、スマートコントラクトがスマートコントラクトを呼び出すのは簡単です。つまり、スマートコントラクトから集権的な取引所に直接アクセスすることはできないですが、スマートコントラクトから分散型取引所には直接的にアクセスすることが可能です。これは大きく見過ごされている点だと思います。
その他のメリットとしては、スマートコントラクトでの交換なので、ボーダレスに世界中だれとでも取引ができる。サインアップなどが必要無い点でユーザビリティが高いなどのメリットがあります。これはCoinbase Walletで0xインスタントを使ってみるとよくわかります。
分散型取引所がなぜ大事なのか?という話しを基にメリットに焦点を当ててきました。もちろん、分散型取引所には問題点も多くあります。たとえば、流動性やスケーリングです。オーダーマッチングモデルをとっている分散取引所(0xとか)ではAとBを変えたい人と、BとAを変えたい人をマッチングする必要があります。オーダーがマッチングするためにはある程度多くのオーダーが共有されていることが前提にあります。スケーリングも問題になるかもしれません、集権的な取引所では取引をオフチェーンで行うことが多いのでその分スケーリングしますが、分散型取引所では、オンチェーンで取引を行うことが多くなるので(Kyberとか)スケーリングの問題が発生するかもしれません。
なのでそれがどのタイミングで起こるか?というのを判断する目が大事になってくるなと思っています。
ここまで分散型取引所の話をしてきましたが、UXに対する意識が高まるに連れて、もっと重要になってくるのは分散取引所のプロトコルとプロトコルのインテグレーションだと考えます。(例えば0x.js)まあ、だから僕は0xをやっているわけですが 笑
ConsenSysのファウンダーであるJoe Lubinも言っていましたが、次のキラーアプリはキラーエコシステムである。というのは結構同意で、アプリケーションが閉じた系ではなくデフォルトで開いた系になるのでエコシステムを創るというのは非常に大事になってくるでしょう。そう言った点で、インテグレーションの容易さと公共財を作りに行くというのが非常に大事であり注目しているところでもあります。
ただ、分散化取引所しかりDeFi(Decentralized Finance)がマスアダプション来るのはまだ早いでしょう。どちらにしてもタイミング命です。
書いた人:渡辺創太