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ブロックチェーンゲームについて考える

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  • 彩音夕
  • 2019/02/09 12:06
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まず初めに言葉の定義を書いておく。

(既存)ゲームとは娯楽の一種であり、時間・お金・労力を消費し、対価に楽しさを得るものである。本稿ではスマホゲームを念頭に置いている。

ブロックチェーンゲームとはその名の通りブロックチェーンを利用したゲームのことだが、必ずしも自律分散性を重要視しない。ブロックチェーンを通してゲーム内の価値を外に出したり、別のゲームに持っていけることが最大の特徴である。包括的には上記既存ゲームの定義に加えて、投資性が加わったとも言える。

自律分散性を重要視しないと書いたが、あくまで「現時点では」の話だ。現在の多くのブロックチェーンゲームには運営主体が存在するが、いずれはそこを離れ永続性のあるDAOとして運営されることが理想である。

まず既存ゲームから考えよう。
永続性のある理想の既存ゲームでは富の再配分が実現される。

例えばスマホゲームは往々にして重課金者が存在し、そして売上の大半が重課金者のお金で占められている。そして(ここは運営の采配次第だが)完全無課金でも課金者とほぼ同じサービスを受けられる。

ここでいうサービスとは操作性の向上やアイテム配布、イベント追加、次シリーズへの展開等を指すが、総じて言えばコンテンツを発展させるためにお金が使われることである。あるいは、ゲームの対価にあたる「楽しさ」を提供するものと言い換えることもできる。

課金者のお金が無課金者を含むユーザに平等に還元され、課金者がそれを不満に思っていないという状況を作り出すことが永続性のあるゲームとして必要なことである。しかし運営主体が時にユーザの意にそぐわないアップデートを行ってしまう可能性は完全に排除できず、トラストに対する不安定性は常に存在する。

現状のブロックチェーンゲームはどうだろうか。正直に言って富の再配分がうまく機能してるとは言い難い。先行者優位があるのは仕方ないにしても、課金した人がより多くのアイテム等を得られるような状況にある。これはブロックチェーンゲームに特有の投資性にばかり注目されているとも言える。

従ってブロックチェーンゲームの運営主体はまず「理想の既存ゲーム」を目指すべきである。投資性に付け込んだPay to Winのサービス設計では永続性を獲得することはできない。(もちろん、投資性を否定してもいけないのが難しいところだが。)

まずは課金者のお金が無課金者を含む全ユーザに還元されること。それを課金者が納得できる形で提供すること。この構造を運営主体へのトラストのもとに作り上げた後、それを自律化させることで永続性のあるDAOとしての「理想のブロックチェーンゲーム」が誕生するだろう。


おまけの余談

【#1】本稿におけるゲームの定義は多分に個人の主観が入った定義である。そもそも「ゲーム」とは何だろうか。ゲームの定義について調べてみると、ウィトゲンシュタインの家族的類似性という概念に遭遇する。これは要するに、全てのゲームに共通するような特徴は無いが、ある限定的な範囲では共通項があり全体としてゆるく繋がっているというものだ。もっと雑に言うなら、ゲームといっても色々ありすぎて一言では言い表せねーよ! である。

【#2】そんな都合の良い「理想の既存ゲーム」が存在するのかと疑問に思う人もいるかもしれなが、私はミリシタやデレステはそれに該当すると考えている。(鶏が先か卵が先かの話ではあるが)完全無課金で十分遊べるにも関わらず、毎日「納税」し「3000円払って無料で10連回す」人が多くいるのは、結局のところ運営が課金したお金で楽曲の追加毎に最高のMVやコミュを提供し、記念日には最高の演出でユーザを楽しませてくれているからに他ならない。ただもちろんこれはアイマスおじさんの戯言かもしれない。

【#3】昔はコンシューマ向けのゲームが主流だった。ハードに対して初期投資が必要だったし、ハードによって遊べるゲームも変わってきた。最近ではスマホを持ってさえいればアプリをダウンロードして遊べるし、多くの場合は基本無料だ。ある意味ゲームへのパーミッションレス性は向上していると言える。Web3.0時代の到来により、その傾向はより加速すると思われる。また、AR/VRが普及し始めるとゲームの主戦場もそちらに移るだろう。VRとブロックチェーンの相性が良いのは自明だし、ブロックチェーンゲームもその中に組み込まれていくだろう。ゲームは娯楽であり本来必ずしも生きる上で必要なものではないが、ゲーム内の価値を外に持ち出せるブロックチェーンゲームにおいてはゲームに参加すること自体がひとつの経済圏に所属することと同義になりうる。人間がVR上で身体性を獲得し、VR上での活動でお金を稼ぐとするならば、そこに現実とのギャップはない。そうなればゲームは生活の一部として組み込まれていくだろう。本稿で永続性に拘っている理由はこの辺りにある。


事実と異なる点がありましたら、コメント欄かTwitter(@YouAyane_)にてご指摘いただければ幸いです。

公開日:2019/02/09
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