「イザヤ書を読む」より。
民は少数派であること、弱者の立場にあることを誇りとし、そこに両足を踏まえて戦えばよかったのです。国家としての体面、繁栄、力を維持しようという思いからではなく、民の中の最も小さい者、弱い者を守るために、どうすればよいかという視点に立って、外圧(アッシリア)に対して対応すればよかったのです。
(中略)
修道会も活動グループも、数が増えて組織が完備されないと不安で落ち着かず、人材と資金獲得に勢力を注ぎます。しかし、福音の価値観から見れば、小さく、貧しいグループの精一杯の働きのほうが、ゆとりのある大きな団体の物量活動よりも、はるかに力強く、人々への影響も大きいというのが実感です。自然発生的な草の根の無数の小さな活動グループが、その小ささゆえに弱者との共感が得られることを認め、その微力さを積極的に肯定し、組織としてではなく、ネットワークとして横に連帯していくことこそ、最も福音的であり、神の救いの業に協力しやすい状態を保つことになるのです。