注 この原稿を書いたのが三年前なので、語られている心室細動は六年前。このとき上梓したと書いている『臨死体験であの世がわかった著者が訳した 超簡単訳 歎異抄・般若心経』は売り切れ絶版、アマゾンマーケットプレイスでは高値がついています。ご入り用の方は私に連絡いただければ、手元の残部を定価でお頒けできます。
三年前、コンサートの鑑賞中に私は原因不明の心室細動に見舞われ会場で倒れた。救急車の電気ショックで心拍が再生するまで13分間。通常ならそのまま死んでいる長さらしい。
私は意識不明、人口呼吸のまま病院に搬送された。家族は「このまま亡くなるか、植物人間を覚悟してください」と言われていたそうだ。10日目、私は奇跡的に意識を回復し、自発呼吸を始めた。
そんな私には「臨死体験」の記憶があった。果てしなく広がる覚醒が、宇宙の隅々にまで染み渡っていたという感触である。それは完全に解放された世界であった。ただこの世に具体的に働きかけられないというのだけが、「彼岸」の寂しいところだった。
私はみるみる回復したが、低酸素脳症の後遺症のため、車椅子がないと外出できなくなった。だが、 障碍者となった自分を受容することに殆ど抵抗はなかった。失うはずだった命を取り戻し、この世に投げ返された自分にはしなければならないことがあるという使命感のようなものが心身に漲ってた。
そのうちのーつとして今回『臨死体験であの世がわかった著者が訳した 超簡単訳 歎異抄・般若心経』を上梓したのである。