(何が言いたいかというと、関西語にも完全な文法があるのであって、東京語を壊したものではないということです。)
「できる」は、上一段活用の動詞です。
学校文法を忘れている人は、活用の種類の見分け方は、打消しの「ない」につなぐことを思い出してください。
「ない」につないだとき、ア段から、つながれば五段活用。
書かない→kaka nai 「書く」は五段活用
「ない」につないだとき、イ段から、つながれば上一段活用。
できない→deki nai 「できる」は上一段活用
「ない」につないだとき、エ段から、つながれば下一段活用。
食べない→tabe nai 「食べる」は下一段活用
変格活用については今は措く。
さて、関西語の打消し表現は、「ない」のかわりに「へん」につなぐことは、前回解説した。
その際、大阪では「へん」の「へ」のエ段に引っ張られて母音同化が起こり、
たとえ五段動詞であっても、「書かない」は、「書かへん」ではなく「書けへん」になる。
京都ではこの母音同化は生じないので「書かへん」でよい。
同じように、上一段活用でも、大阪では「へん」のエ段に引っ張られて母音同化が起こることがある。
そのため、「できない」は「でけへん」になる。
「できる」の未然形が、イ段からエ段に変化してしまうのである。
ただし、五段活用の母音同化と同様、起こさない口癖の人もいるから、「できへん」でも大阪語として間違っているということは、できへん。
では、京都ではどうか?