2013年の退院後日記
僕は3月初めころ、意識が回復してまだ朦朧としていたときに「僕には世界平和のためにまだまだやらなければいけないことがたくさんある。まだ死ぬわけにはいかない」とうわ言で言ったらしい。
意識の深いところで本当にそう思っていたので、そんな言葉が出たのだろうか。
しかし、今、はっきりした意識で考えてみるに、僕がそのようなことを中心に考えて生きているとは、断言しづらい。
もっと個人的な欲望や希望のために生きている気がする。
5月初め、退院したばかりのころ、僕は「完全に元の体になって世界じゅうに旅もする」と目標を立てた。そしてそうできると信じていた。
しかし、症状は一進一退し、自信をもってひとりで行動することで転倒し、顎を打って脳神経を傷め、手のしびれという新しい症状まで加わった。
今は、足にせよ、手のしびれにせよ、低酸素脳症にせよ、症状が固定するかもしれないという考えが、忍び寄ってくる。障碍が残るということだ。
最近、今度はそれでもいいという気持ちも出てきた。
「完全に復活してやる」という気持ちと「障碍が残ってもいい」という気持ちは併存している。
そしてそのどちらの気持ちも今の僕を支えている。