どの世界にも洗脳ビジネスというものはある。
が、美容の世界にもそれは確実に浸透してる。
あれはまだ30歳ぐらいのときだったと思うが、ある化粧品会社の無料セミナーに誘われて行ったことがある。
そこで使われているサイコテクノロジーは、アメリカ西海岸の人間性心理学などで開発されたもので、ある意味、人の心を開く優れたものだというのは本当だ。
高額の自己啓発セミナーでも同じようなテクニックが使われる。
心と体をフルに用いるゲームのようなプログラムなのだが、実際感動してしまうのは、無理もない。
その感動はある意味、そのような状況の中で、人間不信が落ち、心が開いたときの真正なものだとさえ言える。
しかし、問題はそうやって心が開いたその隙に「さあ、人類の美と健康のため、この化粧品を広めようではないか」というキャッチコピーが、心の深奥に刻みこまれることにある。
あるいは自己啓発セミナーなら、さあ、この素晴らしいセミナーにあなたの大切な人を勧誘しようではないか。
それが先に知ったものの使命ではないか。・・・・となる。
構造的には一種、宗教的である。
まあ、僕は30歳のときには既にアメリカ、インド、日本で、そのようなサイコテクノロジーについて、百戦錬磨であった。
だから、感動はしたが、さあ、なるほど、だからこの化粧品を広めましょうだなと、そこで冷めるのだった。
これは浄水器でも、健康食品でも、泡風呂の機械でも、マッサージでも、なんでか知らないがタッパーウェアにも、何にでも応用することができる。
あるとき、女友達が、東京にマッサージ会社の研修に行った。
なんか缶詰にされるような研修で、数日後に帰ってきたときには、目が、「あの目」になっていた。
洗脳状態にあるとき特有の、「キラキラと死んでいる目」だ。
「私たちの会社はすごいの」
と彼女は、のたもうた。
このような時は何を言っても無駄だ。
でも、言うだけのことは言っておいた。
だけど、個人事業主にさせられるんやろ。
ノルマの達成のために自己犠牲を強いられるんやろ。
会社が禁止している個人的付き合いなどをして男性顧客を捕まえている子もいるやろ。
会社は禁止したというアリバイがあるから、何があっても責任をとらないよ。
彼女の場合、目が覚めるまで二年ぐらいかかった。
さんざんな目にあってやっと目覚めるのである。
けれども人格的タイプというのは恐ろしいものだ。
そういうのにはまりやすい人は、別のそういうのに誘われたとき、
根本的なパターンは同じで、商品やサービスが違うだけなのに、またはまってしまうのだ。
ギャンブル依存症のようなものだ。
こわいね。(;゜ロ゜)
このエッセイは、真に美や健康によいものを追求している人々まで一緒くたに考えるものでは、けっしてありません。