割とそこそこ聞いたことがある話題だと思います。
お互い経験者はこっちの方が痛いだとか、何だとか言ったりしていますが、性別が異なる以上、どちらも経験しようがないので言い合うだけで納得するのも難しいです。
正直な所、とてもくだらなくてしょーもないと思いますが、実際の所はどうなのかと考える人もいるでしょう。
ちょっと調べてみたら、解説している動画があったので、軽く紹介してみたいと思います。古めの動画なので、もしかしたら知ってる人もいるかもしれませんね。
Childbirth vs Getting Kicked in the Balls
まず、痛みの数値を表す要素にはdel(デル)というものが使われており、人間が耐えることのできる限界の痛みを数値化すると『45del』になるそうです。
しかし、出産時に発生する痛みは『57del』だそうで、軽く限界を超えています。これは20本の骨が同時に折れてしまうほどの痛みで、それほど辛いということを表しているのでしょう。
ただ、それに対して金的の数値を表すと57どころか『9000del』になっていました。
これを実際に表現すると、160人の子供を同時に生んだり、3200本の骨が同時に折れるほどの痛みなんだとか。
ということらしいんですけど、なんとなく気付いた方もいると思いますが、上記の話はネット上にあるただの都市伝説であり、そもそも『delという痛みを表す単位は存在していない』んです。
痛みの限界が45delと言っているのに、いきなり57になったり、更にその上を行く9000とか普通に考えてもおかしいですし、まるでドラゴンボールの戦闘値インフレみたいな感じですね。
一応、1940~1950年代に行われた疼痛研究の際、ラテン語で痛みを表すdolorからdolという単位が作られたそうですが、患者に痛みのレベルを何となく説明するくらいで、ちゃんと使われることはなかったようです。
delの話に関しては、dolが変形した結果そうなってしまったのかと思われますが、結局のところ実際に測定可能な痛みの単位自体ありませんでした。
そもそも、痛みを説明する際に重要なものとして、痛覚を司る神経細胞があります。
痛いと感じる刺激は侵害受容器(nociceptors)と呼ばれる神経細胞によって受け取られ、侵害受容器は脊椎または脳に神経信号を送り、その結果痛みを感じます。
この信号には早さの強弱があり、『早く伝達する信号は鋭い痛み』『遅く伝達する信号は鈍い痛み』を発生させます。
ちなみに内臓には痛みのある物と無い物があるようで、例えば肝臓は痛みを感じませんが、睾丸の周りには、鈍痛を与える神経細胞が非常に多いです。
そのため、金的などの強い刺激が加わると周囲の神経が強烈に反応してしまい、吐き気、心拍および血圧の上昇、発汗が発生します。特に吐き気は睾丸からダイレクトに脳へ吐き気を催させるセンサーを動作させます。
出産も同じく、子宮にも痛みを伴う侵害受容器が多くあり、8時間くらいかけて痛みが大きくなります。ただ、それは主に筋肉の激しい収縮による鋭い痛みであり、金的のように内臓への作用が働いた事による鈍痛ではありません。
しかし、分娩中は何時間もの緊張状態が続くため、疲労やストレスなど、別の要因で吐き気や痛みが発生することがあります。
つまり出産は鋭痛+αと言ったところでしょうか。
ただ、どちらも全く同じ作用による痛みではないため、甲乙つけがたい状態です。
人によって感じる痛みレベルは異なりますし(足つぼとかは分かりやすい)、その時の雰囲気、これまでの経験でも変化します。
記憶や意識による痛みは、幻肢痛という存在しない部位に痛みを感じる現象で証明されていますね。鏡で失った部位を存在しているように映し出す、ミラーセラピーで痛みが緩和する事もあることから、自身の考えによる影響は大きいです。
などなど、痛みの申告は主観的なものになってしまうため、ただでさえ別モノの痛みなのに、今回の題材を専門的に判定するのはかなり難しいでしょう。
紹介した動画でも出産VS金的は『引き分け』として結論付けており、痛みなんて人それぞれだから判定出来ませんという感じです。
と言っても、同じ領域で考えるとしたら、個人的に金的の痛みは生理痛と似ているかなと素人目線では思います。どちらも鈍痛ですし、酷いものだと立てなくなったり冷や汗酷かったりしますし。
ただ出産で考えると、数時間も金的の痛みを我慢するのは気が狂いそうになりますね。そんな激痛を耐え抜いた世のママ達マジやべぇわって思います。
2019/05/02 少し文章改定
2019/06/10 アイキャッチ追加