テクノロジー

北朝鮮は何を飛ばしたか?(わからん時は教え子に聞け!)

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  • あび(abhisheka)
  • 2020/02/09 06:17

先日、教え子のこの著書を紹介しました。

 

 

その彼と2016年の2月9日に交わしたやりとりが、facebookから出てきたのでシェアします。

 

話題は、北朝鮮が飛ばしたのは正確に言うと何か?です。

 

(以下引用)

知り合いの宇宙物理学者に質問したものとその答を公開します。
あくまで科学者としてのフラットな回答をお願いしてみました。
 

あび

素人として考えた場合、弾道ミサイルという場合、弾道をまっしぐらにいくと思います。そして弾道には着弾点があると思います。着弾点がないと弾道とは言わないと思います。

 

回答

その通りで、弾道飛行(途中から慣性で目的地まで到達する飛行)するミサイルのことですね。

 

あび

また人間の打ち上げたもので、地球の周回軌道に乗ったものは、ふつう人工衛星というと思います。だから北米航空宇宙防衛司令部(NORADO)は衛星カタログ番号をつけたのでしょう。

 

回答

こちらもその通りで、地球の周回軌道にのったものは宇宙ゴミ(スペースデブリ)だとしても一応は“人工衛星”ですね。カタログをつけたのも人工の地球周回物をすべて監視対象としているからです。

ミサイルとロケットの違いですが、
ミサイル…何らかの方法で兵器を飛ばして相手に攻撃する兵器の名称
ロケット…ガスを噴出して荷物を運ぶ装置の名称。
というところになるでしょうか。
なので、弾道ミサイルは、ミサイルを積んだロケット、という言い方が出来ると思います。

で、今回の一件。兵器が搭載されていることを確認できなければ「ミサイル」と断言することはできません。なのに「ミサイルを搭載できる能力をもったロケット」と言わず「事実上の弾道ミサイル」という冠がついているのは、おそらく偵察衛星や組織間の情報などから
・軍事目的でミサイルを搭載できるポテンシャルをもったロケットの開発が北朝鮮で進められている。
・今回はそのロケットの試験打ち上げだった
という2点の確実性が強かったため、あくまでも開発が軍事目的である色が強いということで「事実上の弾道ミサイル」という言い方をしているのではと推察します。

この点について報道が偏っているかどうか、という部分については情報が少ないことから私には推し量ることができませんが、今回の報道が科学的にクリアかと問われると、グレーだと感じています。(そもそもロケットとミサイルの違いなどを各社が報じない点)

次に、周回軌道のことですが、90°に近い軌道というのは地球をほぼ縦に一周する「極軌道」と呼ばれるものに近く、これは偵察衛星やリモートセンシング衛星などによく使われる軌道です。しかし、少し傾いているので実用的かと問われると少々疑問は残ります。
また、今回モニターされた物体が衛星かどうかですが、こちらも電波を受信したという情報がないので、ロケットの残骸(先端部分?)という可能性もあります。落下するかどうかは物体のスピードと高度がどのくらいかによりますね。これは落下すると大気圏で燃え尽きる可能性があるので、地上に落ちてくる可能性は限りなく低いと思います。

 

あび

韓国国防省の発表した「射程は1万2000キロほどの能力を持つと推定している。」というのは、もし弾道ミサイルとして使っていたら着弾点までの距離の能力はこうだという意味? そんなこと、実際には衛星の打ち上げに使われたロケットから推測できるの?

 

回答

そうですね、このロケットの打ち上げ能力から推測して、このくらいの射程距離の弾道ミサイルにすることができるという意味です。打ち上げの際のスピードや燃焼時間などから、噴射終了後自由落下させた場合…という概算で推測できます。

(彼とのやりとりは以上)

 

(以下はコメント欄での別の友人とのやりとり)

 

S

今読んでたんですが、このページがわかり易かったです。

『 人工衛星とミサイルは目的は異なるが、基礎技術は共通している。今回のケースでは、荷物を積んだ3段目のエンジンに着火して分離し、軌道投入すれば人工衛星となり、着火せずに大気圏に再突入させ、弾道軌道を描いて目標地点に落とせばミサイルになる。両者はいわば表裏一体であり、国際社会が明確な国連安保理決議違反と非難する理由はここにある。

 2012年に続いて2度目の「衛星」に成功し、技術力を誇示した北朝鮮。ミサイル開発への脅威は高まっているが、開発のハードルは高いと元防衛庁技術研究本部第3研究所長の久保田浪之介氏は話す。

 「弾道ミサイルは、大気圏に再突入させて核弾頭を落とすターミナルフェーズと呼ばれる最終段階がある。その技術を北朝鮮が確立するのは難しい」

 鍵を握る技術は2つある。衛星は真空の宇宙空間を飛んでいくが、弾道ミサイルはいったん宇宙に到達した後、落下時に大気と衝突して高温にさらされる。この熱から核弾頭を保護する断熱技術がまず必要だ。

 さらに核弾頭の方位や速度を修正し、目的地に正確に着弾させる誘導技術も欠かせない。的川氏によると誘導は地上からの指令なしで自動的に行うため、高度な技術力が求められる。

 「再突入の技術獲得には広い海洋などの場所が必要で、北朝鮮は確保が困難だ」。久保田氏は現状をこう指摘するが、ターミナルフェーズに必要な技術と、核弾頭をミサイルに搭載するための小型化技術を確立したとき、北朝鮮は真の脅威となるだろう。暴走をどう阻止するのか。国際社会の対応力が問われる。

 

あび

うーむ。産経か。

 

S

まあ産経だけど、僕の知識と同じです。大気圏外へ出る技術は出来たので、「どこまで軌道を正確に制御できたのか」というのが今のポイントで、このあと、「大気圏に再突入」して、「人工衛星や核弾頭を標的に正確にガイドする技術」が今のところテストされていない。

このあと、再突入させて、衛星を回収するような、ロケット・人工衛星の実験が来るのかもね。

 

あび

日本のはやぶさは、固形燃料使用という悪条件で、小惑星に着陸して、帰ってきたのだから、液体燃料も許可されている今ならなおさら、ペンタゴンに正確にミサイルを落とすことも、可能だと思います。が、外交的に見て、米国にとって脅威じゃないんですね。逆にいうと、どの国も外交的にお互いに脅威じゃないようにするしかないと思います。技術はいつか追いつく。

 

S

確か、液体燃料のエンジンは米国製か、米国の技術だったように記憶しています。

原発も、米国製で、ブラックボックスになっていて、日本の会社にはわからない部分があるらしいですから、ロケットも同じかも?

---

H1は、ブラックボックスの部分があったそうです。
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-I%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88?wprov=sfla1

H2は、「主要技術が全て国内開発」となってますね。どうなんだろう。
https://ja.wikipedia.org/wiki/H-II%E3%83%AD%E3%82%B1%E3%83%83%E3%83%88?wprov=sfla1

 

あび

とりま、この宇宙物理学者の知人は、日本の宇宙開発に誇りをもって仕事をしていた人なので、ロケットとミサイルは違うという点について、強調しているように感じました。僕はミサイルと人工衛星は違いますよね?ということについて、意見をいろいろ聞こうと質問したのですが、回答は、ロケットとミサイルは違うという点が強調されたものだったという実感です。

はやぶさ計画にも携わっていた彼にしてみれば、そりゃ、万が一、はやぶさがミサイルと報道されたら、怒り心頭に発すると思います。目標物として非常に小さな小惑星に着陸し、物質を採取して帰ってくることが、どれだけ奇跡的な偉業であったか。宇宙というものを知るための人類の努力を、軍事開発と一緒にしないでくれと、心から思う純粋な気持ちをもっていると思います。

(誰かわかっちゃってもいいという許可をもらっているので、いいますが、教え子です。宇宙物理学ではなく、国語を教えただけですが。(;´д`)) 今では、偉くなって、立場逆転。笑。今でも、先生と呼んでくれるが・・・。

ただ彼自身の純粋な思いを僕は信じますが、すべての宇宙開発は軍事開発に繋がりをもっているというのは、それとは別に冷厳な事実だとも思います。

ただ、その次元でいうときは、すべての国家のすべての宇宙開発について「弾道ミサイルの技術にもつながるロケット」と正確にいうべきでしょう。北朝鮮のときだけ、ミサイルミサイルミサイルと洗脳のように繰り返す日本の報道は、僕はグレイではなく、はっきりと偏向していると思います。

 

facebook引用終わり。

 

まあ、日本も北朝鮮も、ロケット技術をミサイルに実戦で使ったことはない。

中東などでめちゃ実戦に使って殺戮の限りを尽くしているのはアメリカとそれにつるんだイスラエルである。

それは確かなことですよね。

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イスラエル軍のミサイル攻撃を受けるガザ
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実は前田耕一さんもあびの知り合い

 

 

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10代より世界放浪。様々なグルと瞑想体験を重ねる。53歳で臨死体験。31年の教員生活を経て現在は専業作家。https://note.mu/abhisheka

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