2014年の日記です。
「美味しんぼ」110巻「福島の真実」①読了。この巻を読む限り、作者雁屋哲は、福島の苦しみにできるだけ寄り添っている。そして安全なものまで福島というだけで敬遠する人たちを批判してもいる。
たとえば同じ福島県でも会津の方では放射性物質の降下が少なく、安全な食べ物もある。それまで一緒くたに否定されてしまうのは、ひどいと登場人物たちに言わせている。
そして様々な努力をし、測定をし、安全な食べ物を作ろうとしている人たちの姿を描いている。原発事故前の最後の食材を用いた、土地土地の名物をごちそうになるシーンなどは、どれほど貴重な文化遺産が、原発事故で失われたのかについての怒りや悲しみがあふれている。
だが、作者の考えた全体像を勝手に忖度するなら、1巻目からずっと心から福島に寄り添いつつも、2巻目「福島の真実②」では苦しくても言わねばならぬことは言う。真実危ないものは危ないと言う。そして休刊になっても仕方がない。そのような構想があったようにも見える。
いずれにしろ改めて感じたのは、雁屋が生半可な気持ちでこの問題に取り組んだのではないということだ。「福島の真実」というタイトルはまさしく、この漫画にふさわしいタイトルである。
漫画家としての、食文化を愛する者としての、誠意と情熱をもって、福島の人々と共に真実に迫ろうとした立派な仕事だと思った。
111巻、「福島の真実②」の刊行が待たれる。110巻をバカ売れさせて、111巻の全国配本が多くなるように協力したいものだ。
(たぶん、しばらくしたら、「福島の真実2」のレビューも出てくると思いますので、またアップします。)