子どものとき、建て直し前の須磨水族館に、おじいさんの古時計に似合いそうな木造のガラスケースがあった。
ワックスを塗った木は艶があり、ガラスもよく磨かれていた。その中には僕の背より高い白い角のようなものがあり、白い髭が生えていた。
じっと見ていると、あんまり見るなと父が言った。
クジラのペニスと書いてあった。気のあかん男だなと思った。
あの鯨の陰茎はどこ行ったん?
永平寺の見学をしたとき、門前の土産物筋に、盃があり、見ると底に浮き世絵の男女が交わっていた。
片目を押しあて、顕微鏡のようにじっと覗きこんでいると、あんまり見るなと父が言った。
やはり、気のあかん男に間違いない。しかし、永平寺の門前に売っていた理由は未だによくわからない。
生駒の宝山寺なら、深く納得だ。