僕は体罰絶対反対論者です。
しかし、次の場面を見たときは、これはありだと思いました。
それは卒業式の日でした。
在日韓国人のKくんは卒業すればもう何をしてもいいんだと思ったのか、
とある先生の自家用車をボコボコに蹴ってへこませて、学校を出ていきました。
車をボコボコにされたO先生は、Kくんとは深い関わりのなかった別の学年の先生で、完全にとばっちり。
かんかんに怒っています。
僕はその話を聞いてKくんを追いかけ、つかまえて、生活指導室につれて戻りました。
なんであんなことしたんや?
と話しているところに、T先生が入ってきました。
T先生の奥さんは在日韓国人で、息子さんはアイデンティティの揺れの中での生い立ちを過ごしています。
T先生は特にKくんの在学中には目をかけて、じっくり話したり、ダメなことはダメと厳しく言ってきました。
Kくんのお父さんが亡くなったときも寄り添って支えていました。
そのT先生が生活指導室に入ってくるなり、
いきなりKくんを泣きながら、殴り始めました。(時効)
「おれは、お前をずっと見てきた。ずっと見てきた。そやけど、お前は、父ちゃん死んでから、根性、腐ってしもたんかー!」
と叫びながら、T先生はKくんをなぐりました。
殴りながら、ぼろぼろ泣いています。
Kくんは喧嘩が弱くありませんが、一切抵抗せず、棒立ちになったまま、
殴られています。
そして
「おおおお。痛いのう。痛いのう」と言って泣いています。
それからそのまま「痛いのう。痛いのう」と言いながら、T先生に抱きついていきました。
そしたらT先生はそのKくんを抱きしめて、ふたりで抱き合ったまま、おいおい泣いていました。
これは体罰です。
教育委員会に報告したら、アウトです。
親にT先生への信頼がない場合もアウトです。
しかし、僕はもらい泣きするほど感動していたし、これはありだと思いました。
僕の教員時代の数少ない「体罰」の例を下記の記事に書いたので、思い出しました。