中世のヨーロッパでは王に仕える『宮廷道化師』と呼ばれる人々がいた。王や貴族の前で曲芸をするというだけではなく、『愚者』として唯一、王に対してずけずけと遠慮なくものを言えるのが宮廷道化師だった。
各国の歴史や政治に精通し、民衆の声を理解し、冗談や風刺を交えて、王に対して警告、批判をし、アドバイザーとして活躍した。
中世の王達は敢えてこういった者達を側に置いて、己が『裸の王様』にならないようにしていた。
会社にも、こういう存在が居ても良いのではないかと思う。
経営、マーケティング、営業、技術に精通し、社員の声を理解し、冗談や風刺を交えて、社長に対して警告、批判をするアドバイザー。
社長に対してタメ口で、
『でも、あの新規事業ショボいじゃん、負けるよ絶対に』とか、
『社員はあんたらの事をバカだと思ってるよ』とか、
『そのシステム、20世紀の遺産だよね笑』とか。
経営陣に遠慮なくものを言うという意味においては、コンサルタントや相談役、あるいは株式会社では株主がその役割を果たしているのだが、株主は冗談は言わないので笑えない笑。やはり身内の社員にそういう存在がいた方がいい。
まあ、それが『相談役』なのかもしれないが、自分の会社員経験に照らし合わせて言うと、大抵は相談役というものは、どこかから天下りしてきたじいさんで、ただの人脈要員に成り果てている。
エヴァンジェリスト(伝道師)がいるのだから、ジョーカー(道化師)が居たって良いではないか。