インド映画といえばボリウッドという言葉がありますが、ボリウッドはボンベイのハリウッドという意味らしく、ボンベイとは、いまのムンバイを指します。それに対して、トリウッドはタミルのハリウッドということで、南インドがトリウッド、北インドがボリウッドという認識があります。
ことインドに関しては、北と南でいろいろと考えが違うということが多く、日本でいう関東関西のような意味合いがそこにはあります。以下のように、インドには地理ごとに様々な映画産業が乱立しており、ほかにも言語圏ごとにも映画産業を区分けする言い習わしもあるようです。いまでは、映画というソフトパワーはアメリカだけのものではなくなりつつあるようで、今後の「文化」の中心地がインドになる可能性は高いです。
ボリウッド…北インド、ムンバイを中心地とする
コリウッド…南インド、ティルヴァナンタプラムを中心とする(コチ南方)
トリウッド…南インド、テランガーナ州を中心とする(ハイデラバード)
モリウッド…南インド、コダンバッカムを中心とする(チェンナイ)
ゴリウッド…北インド、グジャラート州を中心とする
ロリウッド…パキスタンのラホールを中心とする
その他のナントカウッドは以下を参照
トリウッドの特徴は男性が多いということですが、テランガーナ州を中心とする映画産業で、かのRRRもこのトリウッドに属するといわれています。テランガーナ州はインドの中央部に位置し、最も知られている街はハイデラバードです。
商業スタンスの一貫性
トリウッド映画は、娯楽性と興行収入を重視する商業スタンスが一貫している。アクション、コメディ、ラブストーリーなど、観客の好みに合わせた幅広いジャンルの映画が製作されている。
莫大な収益
トリウッドで莫大な収益を生み出す産業となっており、その割合はテルグ語圏の国内総生産の1%を占めている。
技術水準の向上
デジタル技術や特殊効果などの技術発展に伴い、トリウッド映画の技術水準は格段に向上している。個人的には、ここの要素が最も大きい気がしています。
そんな「テランガーナ、Telugu映画」であるトリウッドですが、RRRのほかにはどのような作品があるのでしょうか。
『ならず者の婿殿』(1992年)
テルグ語映画として初めて1億ルピーの興行収入を記録した作品。コメディとアクションを融合させた娯楽作で、テルグ語映画の商業スタンスの確立に貢献した。
『Bommarillu』(2006年)
テルグ語映画として初めて海外興行収入3500万ルピーを記録した作品。家族愛をテーマにしたラブストーリーで、テルグ語映画の海外進出を促進した。
『マガディーラ 勇者転生』(2009年)
テルグ語映画史上最大の製作費をかけたスペクタクル・アドベンチャー。アクション、ファンタジー、歴史を融合させたエンターテインメント作品で、テルグ語映画の技術水準の向上を示す作品となった。
『バーフバリ 伝説誕生』(2015年)
テルグ語映画史上最大のヒット作。叙事詩的なスケールで描かれたアクション・アドベンチャーで、テルグ語映画の新たな可能性を示す作品となった。
ここではトリウッドを紹介していますが、上述の通り、インドには一つの都市圏に1つのハリウッドがあるレベルで映画産業が盛り上がっており、自分好みの推しウッドがあるといっても過言ではありません。
こちらは映画とは関係ありませんが、インドの音楽事情についてももはやYoutube音楽ランキングチャートの上位を独占するようになってきており、実はインド音楽時代が到来中といえます。
この記事を出した時点でYoutube Music Global Top Chartのランキング1位に位置しているのは、下記のHeeriyeという曲です。
こちらのArijit Singh氏というアーティストは非常に注目されており、ほかにもChaleyaなどの楽曲も多く再生されています。
インド各地にハリウッド級の映画産業がいくつもあり、すでにYoutubeの音楽チャートランキング上位にはいくつものインド音楽がランクインしている…この状況を考えれば、インドが映画業界の最も興隆している地域にあることは明白といえるでしょう。
日本ではかすかにしか聞くことのないインド映画の話題ですが、それは「今までのインド」という響きでは「伝統的」なもので、あまり興味がわかないかもしれません。いや、湧かなかったの間違いでしょう。インドは猛烈な勢いでデジタル社会化が進んでおり、この急進化するテクノロジーと、インド文化の融合が、今でいう「デジタルインディア」の姿を世界中に映し出す日が迫っているのかもしれません。
K-POPは、デジタルテクノロジーを利用して世界的な文化圏を想像しましたが、インドが仕掛けるテクノロジックハイプは何になるのか、映画という窓からのぞくことができるのはすごいことです。