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Vol.56 ZETAに見る、Eスポーツの未来

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  • gryption
  • 2022/04/16 16:29

来た!見た!勝った!

古代ローマ帝国、かつてのカエサルがゼラの戦いで放った言葉を、まさか2022年に放つとは思わなんだ。

何はともあれ、ここ数日開催されているVALORANTの世界大会において日本代表として出場しているZETA DIVISIONが健闘していることは、日本におけるEスポーツシーンに対する見方をまた新たにしなければならなことを示唆しているように思える。

2020年から2021年は、確かにAPEXというゲームが日本におけるトレンドといえたが、世界ではVALORANTがそれにあたるものであった。では、今ではどうなのか。少なくとも、Eスポーツという文脈で語るならばVALORANT、LOLなどをまとめて運営しているRIOT社が最も勢いのあるシーンに貢献しているといえるだろう。

同時に日本語圏においても、先行した英語圏の後を追うかのようにVALORANTのブームが巻き起ころうとしている。

今大会を見ると、過去に野良連合がシージでたたき出した世界ベスト4という記録を思い返すことがあるが、今回の業績はそれとは異なる見方をする必要がある。なぜなら、先ほども言ったようにRIOT社のゲームにおけるベスト8だからだ。

レインボーシックスはUBI社という、異なるディベロッパーが母体となってはいるが、ここはそこまでEスポーツに前のめりになっているわけではない。どちらかというと、カジュアルさを売りにしているところがある。しかし、RIOTはUBIとはわけが異なり、LOLという世界的なEスポーツタイトルの開発に成功している。

そのRIOTが主催するVCTでのベスト8は明らかに、過去の好成績とは異なるインパクトを持つ。

移籍金「100万ドル越え」のVALORANT

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Eスポーツの話をする場合、資金面の話は必ずしも重要になる項目の一つだろう。VALORANTは、過去のどのFPSタイトルよりもEスポーツとして完成したものであるといえる。Eスポーツにおいては、すでに移籍金が1億円を超えるケースも出てきており、すでにスポーツとして数えるに値する規模になりつつある。しかもそれは、VALORANTのプレイヤーが対象のものだ。

また、プロゲーミングチームの出資元も、ビッグテックで知られるアップル社や暗号資産を扱うFTX社など、そうそうたる面々が立ち並びつつある。先に述べたRIOT社も、バックには中国のテンセントがついている。

このような背景からも、VALORANTのような「Eスポーツ特化型タイトル」は今後さらに増えていくことが考えられる。そしてそれは、今話題の「Web3」方面に多大なる影響を受けることも想像に容易である。しかしながら、このようなタイトルが出てくることには、これまでのゲームとしての楽しさが消滅することの危機感もある。

ポストEスポーツ時代のPCゲーム?

ポストEスポーツ時代が到来した場合、その時代におけるHALOでありCODでありBFのような存在は何に代わっていくのか。いや、正しく言えば、電子ゲーム的な娯楽は何に代替されるのか。

Eスポーツがゲームの枠を超えた仕事になり果てた先に、オルタナティブとなるエンタメは存在するのか、考えれば考えるほどにその存在に対して疑念を持つことしか出来なくなる。つまりは、最終的に時間次第でゲームという存在があったことを忘れていくのではないかとも思えるのである。

こう考えるのには理由があり、ひとつはテクノロジーの進化だ。テクノロジーの進化によって生み出されたPCやスマホのゲームは、それ自身によって記憶のかなたに消される可能性は高い。そして、新しいテクノロジーをベースにしたエンタメが再構築されるという感じだ。

もう一つの理由は、エンタメの脱テクノロジー化である。エンタメは現段階においては、何らかのテクノロジー的媒体の上で成り立っているが、蒸気機関車がすでにいなくなったように、テクノロジーそのものが、エンタメの媒体から排除される時が来るかもしれないということだ。どういうことなのかを簡単に言うと、「テクノロジーが手段化する」ということだ。

手段化したテクノロジー

先ほどのVCTの話からは大幅に脱線しているが、テクノロジーが手段化するというのは何も新しい考えではない。もしも朝起きてから、ありとあらゆるところにテクノロジーがあれば、それがエンタメ的媒体になりうるものかどうかなどは、すでに考えないくなるだろう。それよりも、テクノロジーがより手段化して、面白さよりも、目的遂行のための手段として無意識的にとらえられるようになっていくだろうと考える。

つまり、いつまでも盆栽を眺めているほど退屈に耐えられる人類はそこまで多くないという事実が、テックの加速を上回ったときに、それは起こるということで、時間の問題かどうかはわからないが、ありえない話ではないように思える。

テクノロジーを面白いエンタメだととらえていればいいが、それが人知を超えたものになり、理解を十分に得られなくなった場合、テクノロジーはただの道具に過ぎないという現実を再度突きつけられるだろう。

Eスポーツが盛り上がっている一方で、その有害性や規制に関して議論されることがあるが、それは少なくともシンプルな嫌悪感というよりも、テクノロジーとしての効用性に関してみた場合の結果なのではないかと思えてしまうのである。

とはいえ、Eスポーツはサッカーと同じように「誰が」良くて「どのシーンが」良かったかを推すものでもあり、テックの側面ではとらえきれない高揚感をもたらす存在でもある。

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