花の都とか、伝統とかいろいろ言われるが、要するにこの国首都の表から少し外れた歓楽街の裏通りに一人の少女がいた。 ゴミゴミとしたある意味猥雑な雑踏の中で、突然意識が芽生えた。 とりあえず、「おはようございます」
わたしは、誰にともなく?それとも世界に挨拶をしたかったのか。そして、周りにいた有象無象を無造作に蹴散らした。
「はは、なかなか面白すぎるぞ。こやつは・・・」 漆黒のマントを羽織った、整った顔立ちの男が笑う。
三十分程して、この街の人口の三分の一が終焉を迎えた頃、マント姿の男が少女に呼び掛けた。 「よし、ソローン。テストは終わった、そいつは放してやれ。それほど価値があるものじゃない。それよりもどうだ、外の世界は?」
少女は、ソローンと呼ばれたのが自分であると、また、漆黒のマントを纏った男が何者であるかも自然と何故だかわかってしまった。 「マスター、仰せのままに」
ソローンは、長い髪をなびかせて右手で宙吊りにしていた若い男を無造作にゴミ捨て場に放り投げると、漆黒のマントを纏った男に恭しきお辞儀をした。
「では、館に帰るか。ソローン、どうだ身体の調子は?」 少女の首には武骨な首輪が嵌められ、その衣装は元の色が判らぬほど、幾千人もの返り血を浴びて赤黒く艶めかしく陶磁器のような白い肌に良く映えていた。
「マスター、何も問題ありません。コンディションは、生体及び霊体共に正常値内です。急激なストレス及び物理的負荷による筋肉の発達も順調です」
漆黒のマントに連れられ、ソローンは館に帰ってきた。男の魔法により身体中にこびり付いた返り血は瞬時に除去され、水晶で出来た|保育器《インキュベータ》に満たされた青く輝く液体の中でソローンは漂っていた。
なるほど、ここまで凄まじいとは、ソローンの指輪も伊達ではなかったということか?マントの男は、満足げに少女ソローンが行った大量虐殺の一部始終を大型ディスプレイに投影しながら、脳波及び生体反応を逐一確認していった。
「くっく、暇つぶしに錬金術もどきを試してみたが自分の才能が恐ろしいほどに、よくできた生体人形が誕生したな」
漆黒のマントを纏った男は、保育器の設定を十数分ほど弄ったあと満足したのか錬金術の工房を後にし、大きなベッドに身を委ねた。 「ふん、どうせ眠れぬだろうが。人としての習慣はなかなか捨てられぬものよ。もう少し鍛えたら、ソローンに魔術の手ほどきでもしてやろうか。それにしても、ここまで成功するとは!古臭い錬金術も、捨てたものではないなあ」
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HIDEで編集すると段落(行頭の一字抑えが出来なくて、結局こっち(alis.to)で
編集する羽目に・・・
トホホなシステムは、ああ~
ネコの手が借りたい(切実に欲しい)w