= 航海日誌補足 記入者 副長 = 太古より、文明が栄えた場所には不可思議なエネルギーの集中が観測されることが多くある。この惑星にもそういった特異点が複数存在する。その一つは大きな石を積み上げて建造された正四角錘のモニュメントであり、もう一つは、数人の者がただ居住するには大きすぎる館であった。
「何をもたもたしているの、早くしなさい!」
「固いだけが取り柄の、うすのろね。これじゃないだろ」
く、俺様がなぜに。何故、このような場所で、なんの取り柄もない魔界の貴族とは言え最底辺の者にこき使われなくてはならないのだ!
キュルソンはアンやソローンに、いいようにあしらわれていた。
「くっ、魔界序列二十位のこの私がこのような者たちに、いいようにされるとは」「ふっ、いまだにそのようなことを言うとは。この世に魔界の序列など関係ないわ、強いか弱いかそれだけよ。悔しかったら私に勝ちなさい、そうしたら私を好きに嬲ってもいいわよ」
ソローンが挑発する。
「ここだ!」
「ふふ」
「ははは」
「うっ、また、負けてしまった」
なぜに、あの勝負で我はまた負けてしまうのか?
「さあて、今夜もキュルソンの一人負けね。私に一時間奉仕しなさい!」
「アンはもう休んでいいわ」
「はい、ご主人様、おやすみなさい」
「くっ、わかりました」
アンは笑顔で、キュルソンは苦笑いで夜の挨拶を終えた。
「ふふーん、じゃあがんばって私を楽しませてね」
「く、わかりました」
キュルソンの奉仕が続く。
「うーん、いいわ。上手になったわね」
「くっ」
次こそは、あのカードゲームで勝ってこの下克上の世界を正常な世界に戻す、いいえ変えて見せる!
ふうむ、おかしい?なぜ魔界に住まう者どもがこうも人間界に出てきておるのか? 「おい、誰かおらぬか?」
「は、神様。'座消える'、この場に控えております、なんなりとお申し付けください」 「そうか、'座消える'。では、地上に降りて今魔界から出てきおる魔神どもの動向を探って参れ」
はあ、人間界へ。左遷ですか、私なんかしくじりましたかね?それとも、'がぶリ得る'とか'売り来る'とかの陰謀で陥れられたのか?これは、どんな罠が潜んでいるのか?
「か、神様!私にどんな落ち度があったのでしょうか?不出来なわたしにわかるように教えてください!」
「ふふ、心配するでない。本当にお前の力が必要だから人間界を探って来るのだ。よいな、'座消える'、必ず魔界の陰謀の根を探ってくるのだぞ」
「ははあ、神様」
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フォーカードで負けるって、キュルソンもツキがないですねw
ていうか、ポーカーは相手を見て勝つもので自分のハンド(役)を見て勝負するものではないらしい。