なんでもできるは、大したことがないことの裏返し・・・・・・
「御心のままにお借りしますよ、特大の神の雷《サンダー》!」
轟音を伴って天にも届くかのような極太の雷が炎の檻をホムンクルスたちを葬るために落ちて来た。
『いやー、ご主人様ぁー』
凄まじい轟音が鳴り響いた。
大量の霧が吹きはらわれると炎の檻はおろかあたりすべての物が無に帰してしまったと思われたが・・・・・・
『ふう、急場凌ぎで作った氷の壁で熱と雷の力を地に流すことができて助かったわ。アン、みっともないから早く立ちなさい!まだ、お仕置きが残っているわよ』
「な、何と神様からお借りした力を受けてもまだ、立ち上がってくるとは。いい根性していますね、相変わらず」
『そろそろ罰を受けて貰いましょうか。ザキエルとか言う神の使い風情がこの私の手を煩わせた報いをね』
「ははは、あは。面白いことを言いますね。少しばかり持ちこたえたとしても、神の力は無尽蔵で強大ですよ。いつまで、耐えられるのかな?」
『ふん、たかだか借り物の力を振りかざして偉そうに! ご主人様がきっと?やっつけてくれるんだから・・・・・・
たぶん、今日は駄目かも知れないけど今度会ったらその時は・・・・・・』
「ふふっ、下僕の方が判ってるみたいですね。彼我の戦力差が圧倒的ではないですか、神の御力は!」
神の偉を借りてふんぞり返る、ザキエルの指が小刻みに震えているのを見逃すほど今のホムンクルスは甘ちゃんでは無かった。
如何に神の力が無尽蔵であろうとも、所詮借り物の力。どれほど大海の水が大量に有れど、汲み出す器が小さければ威力を出せない。こうしてみると、ザキエルの許容量もそろそろ限界を迎える頃らしい・・・・・・
『とは言っても、こちらもそうそう何度も奴の繰り出す神の力を跳ね返す余力も暇も無いし。えっ、ブルッた。キールのくれたスマートフォンが?』
スマートフォンの画面を見ると文字が光っていた。
《新しいアプリがダウンロードされました。 使用しますか?
「Yes」 or 「No」
警告 使用には多少の危険が伴いますので自己責任でお願いします 》
『ふう、キール驚かせてくれる。まあ、どの道超えねばならない障害は排除するしかないか。
もちろん、答えは!』
ホムンクルスは、「Yes」をタップした。
眩しい光がスマートフォンから迸り、謎のアプリが開始されたがその名をを知る者はいなかった。即座に影響を受けた下僕の一人を除いて・・・・・・
『え?ご主人様ぁー!』
「な、何の悪足掻きですか?虚仮威しにもほどが・・・・・・」