狂おしい程に、求めた。金が、金がいる。俺に、金を寄こせ!
ふと、目を覚ますと俺は妙な渦巻く光の世界にぽつりと漂っていた。
な、ん、だ。
確か、俺は両親をはじめ妹などの家族、愛する恋人、友人、知人、そして国を。
俺は、全てを奪われた。
なのに、俺は復讐することも出来ずに、こんな訳のわからない空間に漂い、ただ朽ち果てていくのか。な、何故だ。俺には、復讐のチャンスすらないのか?
「ふっ、それは坊やだからよ。ま、是非もない。力も無い、親の七光りで生きてきたリューラン王国の皇太子、貴様の無様は、他でも無いお前自身が招いたことだよ」
な、何者?俺を皇太子と知っていて嘲弄するとは。奴の仲間なのか、ならばまだ復讐の機会があるかも知れない。
「まあ、よい。坊やの望み叶えてやっても良いぞ。ただし、すぐにという訳にはいかぬが。まあ、それは坊やの働き次第で早くも、遅くも、永遠に叶わぬこともあるがな」
何時の間にやら、胸を強調するかのように開いた赤いドレスを着た女が俺の前に、浮かんでいた。
「俺の望みを、国を奪い返し、復讐する。これができるなら、何だってやってやる。さあ、言え、俺に何をさせたい!」
俺は、叫んだ。理屈などどうでもいい、結果がすべてだ。
「ふ、ならば。問おう、金儲けに命を掛けられるか?それも、祖国から遠く離れた、この地球という惑星でだ」
「やる、阿漕な商売だろうと、遠い星に追放されようとも。俺は俺の国を取り戻し、復讐するためなら、闇の商人だろうとやってやる!俺は、仮想通貨で兆利人を目指す!!」
「ふふ。威勢の良いことだ。よかろう、ならば我が使徒として行け、銭の道は厳しいぞ。あと、いくつか能力はサービスで付けてやったが、無駄遣いするなよ。何しろ我は、富豪の神だから、ケチなんだよ」
「う、うわー」
俺は、急激に身体の位置が上下左右に変化し、身体が重くなったり、軽くなったりの衝撃で気を失った。
「我が名を気安く呼んでくれるなよ。エンドロ・ペニー、私の名前だよ、これが」