一時間後に、知的生命体の存在する惑星の側を通過しますね。これは、ご主人様に報告した方が良さそうですね。しかし、太陽系を観測している文明人がいれば大騒ぎしているところでしょうか?
ある宇宙船の艦橋《ブリッジ》にて・・・・・・
「艦長、例の惑星の属する恒星系に不規則な動きがあります。光速の二五六倍、つまりワープ六.三五相当で移動していましたが先ほど減速してある惑星の周回軌道で安定しました。明らかに知性を感じさせる動きです」
「そうか副長、マーカーを打ち込んで暫く観測せよ」
「はい、艦長」
「ご主人様、仰せのとおり惑星の周回軌道に間もなく到着します」
「アルド、スクリーンに惑星の様子を表示してくれ」
「はい、ご主人様」
起伏はあるが全体的に茶色っぽい惑星が表示された。データ処理された惑星の全体画像がゆっくりと回転している。ざっと見る限りまとまった水、海や湖いや池すら見当たらない。
「ふーん、こんな水の無さそうな星でも生命がいるのか?」
「ご主人様、熱センサのデータ変化を視覚変換画像に置き換えますね。とても知的な感じがしませんか?あの辺りなんか円形だし、あそこは直線が・・・・・・ それらを繋ぐと驚きの絵が現れませんか?」
何だか悪戯っ子が笑いを堪えている様で少し妙なテンションだが、楽しそうなので乗ってやるか。
「うっ、何じゃこりゃー!巨大な鳥の絵って、まんまナスカの地上絵の様じゃないか。しかもこっちの方が断然でかいし」
「喜んで頂けて嬉しい限りです。ご主人様」
「それにしても、地下にあんな地上絵を描いても通常なら誰も鑑賞できないぞ。それこそ俺たちの様に宇宙空間かかなりの高度で上空から見ないと全体像を把握できない。ま、とりあえず知的生命体が砂の下深くに潜って芸術を残しているみたいだが。何者なんだろうか?」
ばーん、少女がテーブルを思いっきり叩いた。
「いい、竜さっさと上陸させなさいよ。折角の新天地よ、見たことも聞いたことも無いような珍しい素材や使い魔が手に入るかも知れないのよ。それに、貯め込んだ財宝があるかも知れないし。こんな離れた所から監視しているなんて、年寄りのやることよ」
「下僕一号、そうは言うが未知の生命体とのファーストコンタクトは古来から慎重を期すものだろうが」
「そう、竜さんの言うとおりだわ。それに闇雲に地上に降りても、この惑星の知的生命体と上手くコミュニケーションを取る手段も判ってなければ、その姿すら見ていないのよ」 未知の惑星への探検に荒ぶる魂を吼え散らかすホムンクルスの少女を俺とネコさんが理知的に説得している所だった。
ふぅー、にゃーー。
「ご主人、もうここは一度探検に出せばいいにゃ。どうせ、駄目ですぐ帰って来るし。万が一上手くコンタクト出来れば儲けものにゃ。何とかとハサミは使いようにゃ、使いこなしてこそのご主人にゃ!」
うーん、まあ最悪この惑星の原住民がどうなろうと大勢に影響はないか・・・・・・
「わかった。下僕一号、上陸探検を許可しよう。だが、何か分かったらこちらに報告するんだぞ、勝手に戦争とか始めるなよ!」
「なんか、散々な言われようだけど。いいわ、私とアンで探検してきてやるわ」
「はい、マスターお供します」
「竜さんが、許可したなら仕方ないわね。下僕一号、惑星を勝手に破壊したりしないでね」
(ふふ、お手並み拝見といきますか。この星に降りるとは、ああ、おかしい・・・・・・)