痛い、辛い。
「ふふっ、なかなか音を上げないわね。感心だわ、あんまりすぐに屈服されてもつまらないしね。良い玩具は、滅多に壊れない。だから、より一層壊したくなるのよ!」 ビシっ、ビシっ。
「さて、順番にあなたの大事な物を取り上げてやるわ。そうね、序列の低い順から使い魔を貰っていこうかしら?」
「うっ、嫌よ。七十ニ柱の魔人は私がマスターから課された課題、崇高な使命達成の証、何人にも譲る訳にはいかぬ!」
ソローンは、ずたずたに切り裂かれたドレスを纏いながらも誇り高き貴婦人のように愚劣な要求を突っぱねた。
(ほほう、肉体の苦痛にはまだ耐性があるようね?
なら、別の方向で攻めましょうか)
女がひとしきり頷くと、どこかから端女《はしため》たちが現れソローンを湯あみ場へ連れて行った。
傷口を洗い流し、香油でマッサージを施すとソローンの青ざめた顔は薔薇色の輝きを取り戻した。
端女たちに、髪を櫛で丁寧に梳かされ改めて結い直され真新しいドレスに着替えさせられるとそこには、もう哀れな虜囚などはどこにも居なく、やんごとなき貴族か大商人の令嬢だと誰もが思うだろう麗人がそこにいた。
「ほ、本当によろしいので?」
「構いません。故あってこの方はさる貴族のご令嬢ですが、その筋については好奇心旺盛と言おうか、チャレンジャーと言うか。
まあ、いわゆる普通の恋愛関係では満足されませぬゆえ・・・・・・」
「ほ、ほう。と言うことは、お預かりしている間は手前どもの好きにさせて頂いてよろしいので?
例えば、高貴な血筋の方を手荒に扱ってみたいというお客様もいらっしゃいますが?」
「ええ、構いません。少々、傷つけてもうちには優秀な魔導師がいますのでたちどころに瑕一つ無い状態に戻せますゆえ・・・・・・」
狡そうな女郎屋の主人が結局首を縦に振ったのは、女が差し出した謝礼の額が桁外れだったからに違いなかった。
「それにしても、なんという美しさだ。この玉を客の前に出せばたとえ、貴族様だろうと文句を言わずに通常の三倍の金を払うだろう。
わたしだって、こんな商売でなけりゃ・・・・・・
この商売、商品である玉に手を出すのは三流以下、それだけで信用を失くす。そんなことはわかっちゃいるが。
なんとも、悩ましいが嬉しい悩みだわい・・・・・・
どれ、縄が肌に合うか、鞭の反応はどうか玉の検品くらいはしなくてはなあ」
(うっ。この屈辱、いつか晴らして見せようぞ ・・・・・・)
傾城の美女が高貴な姫様がとある事情で、値段も一晩百万霊子《レイス》からと高いが何しろ娼婦の質もサービスも絶品で、顔もスタイルも一流で、何だかあの青い恐怖に似ているらしい・・・・・・
この女郎屋に現れた新人娼婦ソローンの評判は、一か月後には国内と言わず隣の大陸にも知れ渡るほどの人気を博したのだった。
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ほんの少しエッチぽい画にしましたが・・・
どうなんだろう?
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