インゲームとアウトゲームという言葉を知り、その概念について既存ゲームを分解した。そして、その手法を踏まえてDappsゲームのあるべき方向を分解した。その結果、もし理想的なDappsゲームを作る場合、ゲームの中身ではなく共有できる世界観と世界観間を渡り歩くことこそがDappsゲームではないかという考えに至った。
インゲーム、アウトゲームという言葉はゲームクリエイター業界で用いられる言葉である。
特にアプリゲームの台頭によって、インゲームとアウトゲームを分解して開発することで大規模共同開発において方向性や分業をスムーズにするために使われるようになった。
ではインゲーム、アウトゲームとはどういう意味か。
インゲームは実際にプレイするゲームそのものである。
例えば対人カードゲームでは人とカードゲームで遊ぶ、そのシーンである。
リズムゲームアプリではリズムに合わせてボタンを押す、演奏画面である。
アウトゲームはインゲームのための準備といえる。
例えば対人カードゲームではデッキを構築するシーンがそうである。
リズムゲームアプリでは演奏するキャラクターを選びバンドを組んだり、各キャラクターのレベルを上げたりするシーンである。
これを踏まえてゲームを分解すると、1. インゲームのみのゲーム, 2. インゲームとアウトゲームがあるゲーム, 3. インゲームとアウトゲームとさらにトレーディングと呼べる要素があるゲームに分けられます。
まずインゲームのみのゲームとは、例えばチェスや麻雀、トランプなど事前準備が不要なゲームです。
インゲームのみのゲームでは盤上以外で何か他のプレイヤーと差別化されるような要素がなく、ゲーム開始時点ではいずれのプレイヤーも突出してなく平等です。
次にインゲームとアウトゲームのみ存在するゲーム。
これはアウトゲームの準備が不要なゲーム、と言い換えてもよい。
アウトゲームがあるということはインゲームの事前準備が可能であることを指し、そのインゲーム用に準備、戦略立てることをセオリークラフトとも呼ぶ。
例えで挙げた「ハゲタカの餌食」は販売されているセットで遊ぶことができるが、実際のプレイ、インゲームを「数字カードの大きさを比較する」とした場合、「どの得点カードにどの数字カードを使うか決める」というのはアウトゲームに該当するかもしれない。
またこれは思いついたゲームだが各々53枚のトランプを持ち寄り、そこから13枚は使用せず、それぞれ40枚で山札を作る。その40枚から10枚引いてできた手札を使って大富豪をする。といったゲームもセオリークラフトになるのだろう。
7 Wonder(Duel)においても「どの七不思議カードを選択するか」をアウトゲームとして考えることで、この分類に分けることができる。
最後にアウトゲームのためにもう一つ外側が存在するゲームである。
これはでき方としてはゲームで使用する道具、カードなどにレアリティを設けて蒐集・交換することも目的にしたゲームである。
または元々は対人ゲームには用いらなかったコレクターズアイテムを対人ゲーム用にルール整備して産まれたゲームが相当する。
簡単な例としてはM:tGや遊戯王OCGに代表されるトレーディングカードゲームである。
他にもバーコードバトラーのように元々ゲームに使われていなかったものをゲームとして使うことで、バーコードに希少性やゲームでの価値が付けられたものもある。
このようなゲームでは、ゲームの準備であるアウトゲームをするために、さらなる準備が必要である。
大抵のアプリゲームもユニット、メンバー構築以外にガチャというキャラクターを入手するシーンが存在する。
ここでTCGを例に、ゲームの構成がどうなっているのか図に示す。
インゲームを対戦とし、そのアウトゲームにはデッキの構築が存在する。
そしてその外側にカード収集がある。
では理想的なDappsゲーム、つまりよく分散化されたゲームというものを考える。
その場合、中心に来るのはゲームでの対戦ではなく世界観になると考えた。
この世界観のためのカードゲームやRPG、また世界観を補強するために小説や漫画が作られる。
という状態がよく分散化されたゲームになるのではないだろうか。
では前のスライドで一番外側にあったものは何に相当するのか考える。
Dapps的な考えを元に、例えばその世界観、ゲームの構築がイーサリアムなどのプラットフォームであるとすると、他の世界観を中心に持つ円も同じプラットフォーム上に存在し、トークンやチェーンでやり取り可能である。
このことからDappsゲームの外側はそれを作っているイーサリアムのようなプラットフォームであり、他の世界観を持つDappsゲームに対しても行き来可能である状態になると考えた。
これはユーザーが、M:tGでいう多次元を行き来するプレインズウォーカーのような存在になるといってもよい。
以上のことから既存のゲームにおけるインゲーム/アウトゲームを、よく分散化されたDappsゲームについて当てはめると、既存ゲームにおけるインゲーム中心なゲームを作るのではなく、世界観を補強するためのゲーム作成つまり世界観を示すことがよく分散化された状態を目指す際に必要だと結論付けた。