この記事はThe University of Hong Kong(HKU)のIntroduction to FinTechに基づきます。
そもそも良質な通貨ってどういう機能のあるもののことをいうのでしょうか。
基本的には三つの主要な機能があります。
♢交換の媒体
♢価値の保存
♢計算単位(何かの価値を計量できる)
このうち暗号資産(仮想通貨)は上の二つを満たしています、ほかのものと交換可能であり、暗号資産を保持することは一定の価値を保持していることの証明になります。しかし、三つ目に関して暗号通貨はその価値の変動が激しすぎるためここに大きな問題があります。
お金の価値の変動制はボラティリティ(Volatility)と呼ばれますが、一般的に国家の発行する通貨に比べ暗号資産はこのボラタリティが高すぎます。
ステーブルコインはこのボラタリティの問題を解決するために登場しました。
ステーブルコインという技術・概念自体とても若く、まだ発展段階ではありますがこれまでの取り組みでは主に。
♢国の発行する通貨に担保する(Fiat-collateralised)
♢他の暗号資産に担保する(Crypto-collateralised)
♢ペグされている(Pegged-, uncollateralised)
最初のものは、一定量の暗号資産を銀行などの昔からある金融業者に担保して国の発行する通貨と固定した比率で交換する暗号通貨を発行するものでこれは銀行に頼っているので脱中枢化しているとはいいがたいです。
二つ目のものは担保先を銀行ではなくデプロイされたスマートコントラクトにします。暗号資産に担保しているのでその暗号資産との固定された比率での交換は不可能でむしろ市場に合わせて交換の比率を変更する必要が出てきます。この方法で担保先がスマートコントラクトであることから脱中枢的であるところもありますが、市場を見張らなければならなかったり運用コストや管理体制が難しいという問題があります。
最後のものは資産を担保に入れていません。その代わり通貨の価値が落ちてきたら流通量を減らし、通貨の価値が上昇すれば流通量を増やします。ステーブルコインを既存の暗号資産と紐づけるスマートコントラクトで二つの資産を管理する関数によって価格(交換するときの比率)を調整します。しかしこの方法では利用者のふるまいを強く仮定しています(交換の比率が悪い時には交換を行わず、比率が自分に有利なときに行う)。2019年の始まり地点ではこのようなコインの発行はありませんでした?今はあるんですかね?
そしてこの講義を担当したFeron教授のFeron研究室で開発しようとしているのがUnpegged, uncollaterallised のステーブルコインです。
この資産はほかの現実の資産や暗号資産にさえも依存していない、単一資産のモデルです。最初にアルゴリズム上の中央銀行(管理者はいない)がこの資産のシステムに安全な(損がないような)デポジットを求め、システムに過剰の流動性を作ります。このデポジットからの引き落としを資産の価値の減少と認識してアルゴリズム上の中央銀行は利率を上げることで資産をそのままキープしておく強いインセンティブを与えます。このようにして流動性を利用して新たな引き落としが起こらず元通りになるように設計されています。
この方法のほうが利用者のふるまいへの仮定激しくないですか?