選挙がネットでできたら、デジタル化された免許証で身分証明ができたら、誰しもそんなことを考えたことをあるのではないでしょうか。今のシステムって紙ベースが多いので、手続きとかって面倒ですよね。
インターネットが普及してきた今の世の中、それぐらいIT技術でなんとかなるんじゃないかって思っちゃいますよね。
でも、インターネットでは誰でも簡単にコピーできたり、詳しい人ならハッキングできてしまったりと、なかなか難しんですよね。セキュリティをあげるのにめちゃくちゃコストがかかってしまうので、それなら今のシステムのままでいいかとなっちゃうんですよね。
しかし、今話題のブロックチェーンならこれらのことを実現できると言われています。というか、もう実証段階に入っている国もあるんです。
デジタル国家。ビットネーション。どうですか?なんだかこの響だけでもワクワクしませんか?
ブロックチェーンって難しくてどうすごいのかがわかりにくいです。でも、国家という概念を変えうるぐらいの半端ないポテンシャルを持っているのです。
そこでこの記事では、ブロックチェーンが国家という人類が2000年以上もかけて築いてきたシステムをどのように変えるのかについて考察していきます。
バルト三国の一つとして知られるエストニアは、超デジタル国家としても有名です。まだまだ紙ベースの日本からすると考えられないようなことが、当たり前になりつつある国なのです。
エストニアの首都タリンのオフィス街(wikipediaより)
エストニアでは、国民IDによる情報管理をすることで、様々な行政サービスのデジタル化を可能にしています。
具体的には、
医療や投票など、様々な分野でオンライン対応が可能なほど電子行政サービスを展開しており、税の98%が電子納付で行われています。政府の各データベースネットワークは、情報の改竄検知にブロックチェーン技術を活用し、データの安全に対する信頼性を向上させています。2014年には「e-residency」といわれる電子居住サービスを開始しています。
のうようなことが行われています。これらのすごいところは、すべてが電子データのためにスマホ一つで全部済んでしまうのです。
そして、エストコインというエストニア独自のデジタル通貨をブロックチェーンで発行する研究を計画していると明らかにしています。欧州銀行からは反対されているようですが。
ここまで、国家をあげてのプロジェクトを行なっている国は少ないのですが、分野ごとではどんどん活用が始まっています。
他の公共分野での具体例を見ていきましょう。
米国デラウェア州では、スマートコントラクトにより、会社登記や株主の登録・変更を行う仕組みを導入しています。
東ヨーロッパでに位置するジョージアや、スウェーデン、ホンジュラス、ガーナなどでは政府主導で土地登記でブロックチェーンを活用しています。
どちらも面倒だった処理がスマートコントラクトを使うことにより、自立してトラストレスに行うことができるので便利かつコスト削減に繋がります。
いつ登録したのか本当に登録したのかということが重要になってくるのでブロックチェーンの得意分野です。これから他の国でもどんどん導入されていくことでしょう。
ブロックチェーンは選挙の管理にも適しています。改竄できなかったり、二重支払いが不可能であることは公平な選挙で欠かすことはできません。
豪Flux社はブロックチェーンを用いた選挙の管理システムを開発しています。もうすでにプロジェクトが始まっているということは、実現する日も近いのではないでしょう。
これが、導入されると若者の投票率がぐんと伸びるのではないでしょうか。しかし、与野党からすると投票率の高い世代からの票を獲得するために頑張っているので、あまり望ましい結果ではないかもしれませんね。
こういった面からもよりよい国になるのではないでしょうか。
ブロックチェーンの特徴の一つに「非中央集権」がありました。詳細な特徴については以下を参照してください。
簡単にいうと、中央集権の国家を非中央集権にしちゃおうぜって話です。
その先を見据えて始まっているのが、従来の政府や自治体などの中央が組織をまとめる中央集権型を。ブロックチェーン技術を使い、ブロックチェーン上に自立分散型国家を作ろうという作ろうというプロジェクト「ビットネーション(Bitnation)」です。
現在ビットネーションは、行政がやってきたことをスマートコントラクトで公的認証サービスを自動執行したり、土地登記、婚姻届、出生届、死亡届、パスポートなどの記録をするものです。
そして、このビットネーションの国民には簡単になることができます。
上記のサイトから登録するだけで国民になることがきます。
そして、パンゲアとしているところが面白いですね。パンゲア大陸と呼ばれる巨大な大陸が地殻変動により、分裂することで現在の大陸構成になった(これは地理の知識)と言われています。それを逆戻りして、真にグローバルな国を目指そうということなのでしょう。
現状は、ただのwebサービスぐらいの認識ですが、これがどんどん世界を変えていく可能性は往々にしてあるでしょう。
もちろん、国家全てが置き換わることはすぐには起こらないし、起こるかもわかりません。しかし、エストニアの例にもみたように、技術的に可能なことはどんどん浸透していくことでしょう。
ここからは僕の妄想です。
そもそも、国家という概念が歴史上の昔話になってしまうかもしれないと考えています。現状では、宗教やコストの面から国家がたくさん存在しているのが最適化された状態です。
しかし、宗教や国家という概念を人間がそういった面を最適化するために作り出したパラダイムとするならば、パラダイムシフトが起こってビットネーションのような中央に政府を置かない自立分散型国家が当たり前になるのかもしれません。
一方で、どんどん新しいパラダイムが追加されていくと考えることもできます。日本国民でありながら、ビットネーションの世界国民でもあるみたいな。中央集権的な古来の国家とブロックチェーンによる自立分散型国家が並行して存在しているなんてことも考えられます。
以上は僕の妄想に過ぎないですが、いずれにせよ、国家・経済・通貨これらの概念がこれからどのように変化していくかが楽しみですね。
ここまでの話をみてきて、あれ日本って技術的に後進国だと思っていた国に負けていないか?と思った人もいるのではないでしょうか。
shutterstock.comより
こっこからは僕の個人的な意見なのですが、日本の技術はかなり遅れていると思います。というのも、例えば世界ではキャッシュレス化が進む中で、日本はまだまだ現金主義です。未だに、現金でしか決済のできない店は多く存在します。
この現状を迎えてしまった原因は二つあると思います。
一つは、文化的理由です。日本には伝統を重んじる文化が深く根付いています。そのため、全く新しい技術を取り入れることはできても、昔から使われてきた伝統的な方法(=貨幣・紙ベースの証明)を捨てることができないのです。それゆえ、実証実験は行われているとはいえ、まだまだ浸透には時間がかかることでしょう。
もう一つは、コスト面の理由です。日本は先進国と呼ばれ、経済的に早くからとても成長した国でした。そのため、社会のシステムやインフラはかなり整っています。これは今まではいいことだったのですが、ブロックチェーンという現在の基盤を破壊的に変えていく技術の導入には弱いのです。
一度築いたシステムを新しいものに変えるのはとてもコストがかかるし、それに従事していた人たちの職を奪いかねないからです。
その点、インフラ基盤が不完全だった国は導入が楽です。これから先進国を真似ようとしていたら、それよりもコストがかからないシステムが発明されたからそれに変更しよう、で終わりなんです。
情報がどんどんフラットになる中で、日本だけでなく世界に目を向けて情報にキャッチアップし、自分で考えていくことが重要でしょう。
そして、今まで以上に技術が急速に進歩しています。だからこそ情報についていけないと、すぐに時代遅れな人材になってしますのです。