旅の4日目の朝、パンゴンツォのほとりの街メラクにある小高い丘を登って朝日を眺めます。
旅の初日の様子
旅の二日目の様子
旅の三日目の様子
小高い丘なのですが、すでに丘のふもとが標高4200メートルのために、丘のてっぺんまで行くだけで、息が切れてしまいます。
丘のてっぺんにはタルチョ(五色旗)に囲まれた小屋があります。
ここから朝日を見ます。
壮観です。
日が昇ったあと西側を見てみると、
やはり壮観な景色が広がっていました。
先ほど紹介したタルチョと言う五色旗は、チベット仏教で信じられている自然界の5つの元素、空(スペース)、風、火、水、地をそれぞれ表しているものです。
これは物理的な要素に限らず、宇宙の万物はすべてこの5つの性質を兼ね備えていると言う考え方です。
すべての根源は純粋なスペースである空、そしてその空の原初の振動が現れた時それは風の要素になる、その風が動きを強めるとやがて光を帯びるようになり、それが火の要素、その火(あるいは光)が濃縮していくと水の要素に、水の要素が固まると地の要素になる。
宇宙に存在するあらゆる物質、あるいは出来事、さらに人間の感情に至るまで、この5つの要素の割合で語ることができると考えられています。
この思想の起源は、チベットに仏教が広がる前から信仰されていたボン教と呼ばれるシャーマニズムにあると言われています。
自分自身は限られた時間の旅でしたが、これら自然の五つの要素を濃厚に感じ取ることができました。
こういった自然環境に住んでいる人々が五大元素の思想を抱くようになる過程がすごくよくわかる気がしました。
丘に登って朝日を眺めた後は、半日かけてニョマというさらに田舎の村に向かっていきます。
村の周辺以外は全く舗装されていない石ころだらけのガタガタ道を延々と進みます。
なんどもなんども車が大きく揺れて、時には飛び上がったりしながら進みます。
こんな風に揺れるからこそ、広大な大地が続いているという実感があり、地の要素を感じ取ることができました。
道中たくさんのインド兵にも出会います。軍隊は人間の行いの極みのようなもの。こういった人間的な営みも地の要素に分類されます。
前日のパンゴンツォでは水の要素を感じました。
どこにいっても燦々と輝く太陽に出会います。
火(光)の要素を感じます。
旅の道中本当に風が強くなることがあります。時には砂嵐になるくらい。そんな時は風の要素を感じます。
そして地、水、火、風、の四要素全ての根源に空があることを広大な空を眺めていると感じます。
ぼんやりと五大元素を感じながら、やがてニョマの村に到着。
ニョマも村はずれの丘の上にお寺があるだけの素朴な村。
ここでも民家にホームステイさせてもらいました。
タライとバケツを借りて近くの小川の水で洗濯をしながら、なんだか不思議な幸福感に浸っていました。