前回の記事でも書いたのですが、大規模な森林破壊が行われることによってジャライ族の生活環境が強制的に変わってしまい、大きな危機に瀕していました。
その変化にできるだけスムーズに対応するのをサポートするために多くの国際協力団体が援助に関わりました。自分たちの団体もその一つでした。
ジャライ族と活動するためには、まず彼らがどのように感じているのか、何を必要としているのかを知る必要があります。
そのために彼らの村で生活して、村の人たちにお話を聞くことから活動を開始しました。
カンボジア人(クメール人)のスタッフ2人と自分の計3人で毎回村を訪問して一週間くらい滞在します。
食事のことや、1日の生活リズム、価値観、お仕事の内容や家族構成、その他諸々を聞いた後、日常で困ってることや、今生活で改善したいことなど、とにかく雑談形式で色々聞きました。
ここで大きな問題は言葉の壁です。
この当時ほとんどのジャライ族はクメール語(カンボジア語)を話すことができず、ジャライ語のみを話していました。
そして自分のクメール語は日常の挨拶程度でほとんど話せません。
ということで通訳2人を介して話を聞くことになりました。
まず私が英語で話を聞きます。
それを一緒に同行したクメール人スタッフがクメール語に翻訳します。
そして現地のクメール語を話せるジャライ族がそれをジャライ語に翻訳します。
こうして通訳2人を介して初めて村人とコミュケーションをとることができました。
ものすごく回りくどいプロセスでしたが、何だかコントや伝言ゲームみたいな感じで、自分たちもジャライ族の村人もおかしくてクスクス笑いながらインタビューをしていたのを覚えています。
通訳2人を介して自分から村人まで質問が伝わり、その答えがまた通訳2人を介して自分まで戻ってくる中で、全くチンプンカンプンの回答が戻ってくることがしょっちゅうありました😅
例えばこんな感じです。
自分:「今日の朝ごはんは何を食べましたか?」
村人:「牛2頭と豚3匹、それとアヒルと鶏15羽」
自分:「.............(え、すごい食欲!?) 」
どこでどう質問が変わったのかわからないのですが、こんなことがたくさんありました。とても楽しい記憶です。
不思議と普段の日常のコミュニケーションは言葉が通じなくても身振り手振りでなんとかなっていました。
何度も村をおとづれながら、当時私たちが活動を担当していた3つのジャライ族の村ほぼ全家庭からお話を聞くことができました。
そんな中でジャライ族の人たちが共通して直面している、様々な問題点が浮かび上がってきました。
・近くの集落まで行くのに道が整備されていない。
・病気になった時に医者がいない。
・森林伐採が進んで焼畑農業ができない。
・村人がクメール人商人に騙される。
・文字が書けない。教育の機会がない。
・赤ちゃんがすぐ死んでしまう。
などなど。。。。。。
その問題点を簡単な絵に書くのです(この時は本当に自分の絵心のなさを痛感しました😭)
問題点を書いた絵を村人に見せて、それぞれの絵がどんな状況を表しているかを詳しく説明します。
そしてみんなで絵を見ながら話し合いを行います。
話し合いの最後に、参加した人たちそれぞれに石ころを10個ずつ持ってもらいました。
そして彼らが本当に深刻だと思う問題点を表した絵に石を置いてもらうのです。
10個の石の配分は彼らの自由です。
ジャライ語で1、2、3を表す、サー、トア、クラウ、の掛け声でみんな一斉に石を置きます。
紙の上に置かれた石ころの数によって、彼らの日常の中の優先順位みたいなものが把握できました。
このようなミーティングを数ヶ月かけて3つの村で各3回くらい行い、大まかではありますがジャライ族の人たちが日常的に感じている問題点を何となく把握することができました。
石ころ投票の結果などを次回紹介したいと思います。