これを読んでいるあなたは「フラッシュ動画」という言葉を聞いたことはあるだろうか。
「ある」と答えた人はおそらく僕と近い世代の人だと思う。
有名なアニメキャラをベースにしておもしろおかしく改造したキャラクターを1~3分程度に編集されたネタ動画。
2000年代初頭、このフラッシュ動画が物凄く流行ったのだ。
僕がフラッシュ動画と出会ったのは中学1年生の時。
僕の通っていた中学には「パソコン部」という部活があった。
部活と称しているが、活動は毎週金曜日の放課後のみ。
しかも、担当の顧問は部活にほとんど顔を出さないので、金曜日の放課後は完全な無法地帯と化していた。
厨二病をこじらせた僕にとって、金曜日の放課後はパラダイスだった。
そんな無法地帯もあって、部員は各々好き勝手パソコンを触っていた。
当時はWindows XPが主流で、HDDが30GB程度のノートPCが10万円するような時代だ。
まだパソコンが一般家庭に浸透しきっていない時代で、一家に一台パソコンという家庭は珍しかった。
そんな世の中で生きていた僕は、この週一回の活動が楽しみで仕方なかった。
僕はしばしば「オタク」と呼ばれる人たちとつるんでいた。
当時の「オタク」にはほとんど人権が無く、つるんでいた人たちは「気持ち悪い」などと罵られていた。
ある日、いつものように部活を楽しんでいるとオタクであるクラスメイトからこう言われた。
「『おもしろ フラッシュ動画』って検索してみて。」
これが全ての始まりだ。
聞いたことない言葉だがとりあえず検索してみた。
どうでもいいことだが、日本で検索といえば当時はYahoo! JAPANだった。
検索結果にはドラえもんとは言いがたいパクリの絵や変なものが沢山出てきた。
そこからオタクに「ギャバン」見てみてと言われた。
僕が人生で初めて見たフラッシュ動画がこちら。
今見ると何が面白いのかさっぱり分からない。
ただ、当時の僕はパソコン室に笑い声が反響するくらい大爆笑した。
そこからフラッシュ動画にはまっていった。
パソコン室に置かれているパソコン一台ごとにヘッドホンが繋がっている。
これで音を聞いていた。
笑い声がうるさいと、たまに来る顧問にこっぴどく叱られた。
今となっては良い思い出である。
この頃からだろうか。
"二次元"とか"オタク"とか"萌え"とか"エロゲー"という言葉が一般層の耳に入るようになったのは。
当時、ムッツリスケベだった僕は隠れながらもオタクの友だちの影響で二次元にはまっていった。
睡眠時間を削るようになったのもこの頃からだった。
睡眠時間を削るくらい何かに夢中にさせるキッカケを作ったフラッシュ動画黄金時代は、まさに僕にとっての青春時代だった。
そして下らない思い出を作ってくれたフラッシュ動画は、僕にとって青春そのものだ。
余談ではあるが、フラッシュ動画を見てゲラゲラ笑うことができたパラダイスは1年で幕を閉じた。
2年生になって顧問が真面目な人に変わり、タイピングをガチでやるようになってしまった。
楽しい時間というのはあまりに儚いものである。
タイピングの遅かった僕が、負けず嫌いの性格によって顧問すらも追いつけないタイピングマスターになった話はまた別にしようと思う。
それではノシ