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なぜまたビットコインが盛り上がっているのか?

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  • パジ
  • 2020/12/20 12:05
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今回は、ビットコインはなんだかこわい&あやしいという人向けに、「なぜまた最近ビットコインが話題になってきているのか」について、できるだけ専門用語を使わずにわかりやすく解説してみます。

私も3年ほど前までは、「食わず嫌い」で、ビットコインというフレーズを口にするのもためらわれるほど敬遠していました。しかしながら、ビットコインが生み出したブロックチェーンという最新技術や、いま起こっている事実に目を向けていくと、これまでになかった「まったく新しい概念」がとつぜん生まれてしまったのでは、と注目するようになりました。

3年前の私と同じく、「食わず嫌い」な人が、この記事を見て、これまでとは別の視点が見えてきたら嬉しく思います。

あらかじめ断っておくと、ビットコインは、株のように価格が上下するものなので、どうしても投資して儲かった・損したみたいなイメージになりがちなのですが、この記事はそういった内容ではなく、投資を勧めるものではありません。ビットコインが盛り上がっている現象について、分かりやすく解説し、経済や先端技術の仕組みをざっくりと把握してもらえたらと思います。投資はリスクのあるものです。もし投資を行う場合でも、自己責任でお願いいたします。
 

目次

#1 「コロナ禍で「お金」の価値が下がっている

#2 「お金」の行き場がなくなっている

#3 システムが安定している

#4 取引所の運用体制が安定してきた

#5 米国で活用事例が増えている

#6 資産と通貨の両機能を持ち合わせている

#7 国の通貨発行が適当になりつつある


#1 「コロナ禍で「お金」の価値が下がっている

お金の価値が下がるってどういうこと?と思われた方、それが普通の感覚ですので、いまから解説する内容をぜひじっくり読んでみてください。

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例えば、あなたが銀行に100万円の預金をしているとします。この100万円はいざというときは確実に1万円札100枚として預金をおろせますよね。そこで手元にある100万円は、100万円として使えるので、お金の価値は変わらないじゃないか、と普通は考えます。

でも、実は同じ100万円でも、時期やタイミングによっては、100万円で買えるものが全然かわってくることがあるのです。ずいぶん昔だと、ラーメンは300円や500円でも食べられるところが多かったと思いますが、最近だと1,000円近くしますよね。

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同じように、金、つまりゴールドは2000年に1g1,000円くらいだったのが、2020年のいまは5,000円近くになっています。2000年に5,000円で金を買うと、約5g買えました。2020年に5,000円で金を買うと、約1gしか買えません。これは、金の価格があがったともいえますし、円の価値が下がったともいえるのです。

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もうひとつ事例を出しましょう。人気のある音楽アーティストのライブのチケットが限定的だと、そのチケットはプレミアがついて、オークションサイトなどで価格が高騰してしまいますよね。これは、買いたい人がたくさんいるのに、売っているものが少ないときによく起きることで、需要に対して供給が少ない、ということで価格が大きくかわってくるんです。

実はいま、コロナ禍で、世界経済が大きなダメージを受けたので、ダメージ分をフォローするために、世界各国が国債という国が「お金」をいつもよりもたくさん刷って、世界中に「お金あまり」の状態が続いています。

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例えば、アメリカはコロナ禍のために300兆円分のお金を刷りましたし、日本は約100兆円分のお金を追加で刷りました。この金額は日本のGDP(≒経済規模)が550兆円と比較すると、とても大きな「お金」であることがわかると思います。

世界に「お金が余っている」という感覚がある人は、そこまで多くはないかもしれませんが、富裕層を中心に、「お金」がじゃぶじゃぶ余ってしまっているので、さきほどの音楽アーティストの需要と供給の話のように、「お金」のほうが価値が下がってしまっているのですね。

「お金」をそのまま持ち続けていると、額面は同じでも、さきほどの金の話のように、交換できるものが減っていき、「お金」の価値がどんどん下がっていくなら、早く別の価値の下がらないなにかに交換しておかないと損してしまいますよね。その交換先として、まっさきに動いたのは、「株」でしたが、実はビットコインも同じように選ばれだしているということなのです。


#2 「お金」の行き場がなくなっている

さきほど書いたように、コロナ禍によって国は国債を発行して、世界に大量に「お金」が発行されてしまったため、お金の価値が下がっていき、「お金」のままで持っていると損するため、早く価値が下がらないものに交換しようという動きが出ました。

交換先としては大きく分けて3つあります。「株」「不動産」「債権」です。このうち、不動産はコロナ禍で経済打撃をうけるお店やビジネスが多いので、先行きが不透明で「お金の交換先」としては不向きです。「債権」も、同じくコロナ禍で経済不況になっているので、債権を持っていても金利がほとんどつかずに、メリットがありません。そうなると、必然的にお金を「株」に買える動きが増えました。株は経済に直結したものですが、コロナ禍で逆に業績を伸ばした業界というのは少なからずあって、そうした業界への投資が一層加速したのですね。

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ただ、コロナ禍ではなく平常時であれば、こうした「お金」の交換先は「不動産」や「債権」にまんべんなく散らすことができるのですが、いまはコロナ禍でそのバランスが完全に崩れてしまっています。すると、「お金」の交換先が「株」にだけ集中してしまって、逆に、「株」の価値も高まりすぎてしまっているという状況になりました。

そこで、さらに「お金の逃し先」というので注目されたのが、金=ゴールドでした。「金」は地球上に埋蔵されている量が決まっていて、希少性があります。昔は通貨の信用担保に使われたくらい、安定した価値があるとみなされていて、「ネックレスなどで使われる貴金属」としても人気がありますよね。そうした世界中で認められている価値がある金にも「お金」が集まりました。

だけど、これでも「お金あまり」が解決されることがなく、「株」や「金」に匹敵するあらたな「お金」の交換先として再び注目されたのが、ビットコインだったというわけです。

このあとまた詳しく解説しますが、ビットコインはデジタル上に急にあらわれた金=ゴールドのような存在で、デジタル・ゴールドともいわれています。なぜかというと、金と同じように、ビットコインは埋蔵量に2,100万枚という上限があり、毎日掘れる採掘量も決まっていて、段々と採掘できる量が減っていくという仕組みになっているからです。

「株」や「金」が高騰しすぎたので、デジタル・ゴールドであるビットコインに着目された、というのがいまの盛り上がりというわけです。


#3 システムが安定している

デジタル・ゴールドという呼ばれ方をするようにビットコインはインターネット上のシステムでできています。難しい専門用語を使わないでざっくりビットコインを解説すると、ようは「インターネット上で世界中の人々がビットコインのやりとりを監視する」ことで、AさんからBさん、BさんからCさんにビットコインがやりとりされたことをみんなで知っているので、逆に改ざんができない、という仕組みになっているのです。

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しかも、このやりとりを監視するとビットコインがもらえるというメリットがあるので、ビットコインの価値があがると監視する人が増えて、より安全にビットコインのやりとりが行えるという、とてつもなく考えられた仕組みになっています。

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このやりとりの監視と同じように、ビットコインの発行量は2,100万枚という上限がきまっていて、4年に一度監視することの報酬が半減するというような、ルールも勝手に誰かがかえられないようになっているため、いまや金=ゴールドよりも希少性が高いとみなす人も多いくらいです。

なぜかというと、金=ゴールドはもしかしたら火星の地中に大量にうまっていたり、大きな隕石が落ちてきたときに、大量に金が見つかるなど、また、本当に錬金術が完成して技術的に金を創り出せる技術が出てきたりと、いま上限とされている金の埋蔵量が増える可能性がわずかにあるからです。

ビットコインはそういったことが起こりえません。もしシステムにバグがあれば、そこをついて、ルールを書き換えたりなどのリスクはあり、当初は懸念されていました。ただ、もう10年以上も世界中のセキュリティ企業や技術者によってビットコインのシステムの監査がされ続けていますが、そうしたバグをついてビットコインの仕組みが壊れるということが起こっていないのです。さらにピアツーピアという技術によって、仮に、もし世界戦争が起こって、どこかの国がインターネットが繋がらなくなっても、このシステムは破壊されることなく動き続けるのです。


#4 取引所の運用体制が安定してきた

ビットコインにあやしいイメージや怖いというイメージがついているのは、いくつか理由があるのですが、そのひとつが、数年前預けていた資産が盗難にあう被害が相次いでしまったことです。特に日本で2年前に起こった500億円を超える被害は、ビットコインではなかったのですが、ネガティブな大ニュースになりました。

実際には、あの事件も含めて、ビットコインの仕組み自体がバグがあって問題が起こったわけではないのですが、銀行でいう金庫のカギが悪い人たちに盗まれて、金庫の中にはいっていた「お金」を盗られたということで、「お金」自体の仕組みが原因ではなかったのです。

ただ、ビットコインを買ったり売ったりする取引所で、そうした問題が起こるなら、大事なお金を預けるのはとても怖いですよね。ということで、しばらくはビットコインをはじめ似たようなものはすべて怖い、あやしいというイメージが強くありました。いまでもそういう風に思っている方もいると思いますが、実はあの事件があってから、業界全体で信頼を取り戻すために、日本では金融庁やJVCEAなどの業界団体を中心に、ビットコインを取り扱うための取引所の管理体制について、大幅に強化することになりました。いまでは銀行並みのセキュリティや、当時問題になったホットウォレット/コールドウォレットと呼ばれる、ビットコインの管理方式について、より厳格さが保たれるようにになり、ここ1年は世界的に見ても大きなハッキング騒ぎなどは抑えられていて、より安全・安心にビットコインを取引できるように信頼を取り戻してきているのです。


#5 米国で活用事例が増えている

年月が経つにつれ、ビットコインのシステムも安定していることがわかってきて、「お金あまり」の状況にもなっていることで、めざとい米国の企業が、資産運用の一環として、400億円分相当のビットコインを大量に購入しました。

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この企業は、米国のマイクロ・ストラテジーという会社で、あやしい会社とかではなく、ちゃんと上場している会社だったので、世界中で話題になったのです。

これにならうように、世界的に有名な会社がビットコイン投資をして、利益を出す、といった投資活動をはじめています。これは、「お金あまり」の世界において、経済合理的に考えると、とても理にかなった行動といえます。

例えば、有名なマクドナルドは、ハンバーガーを提供する店舗の不動産を運用することで、不動産への投資も行って利益を生み出しています。最近だとソフトバンクグループが、米国の有名企業の株をたくさん購入して利益を出したていたりしますよね。企業はサービスを提供するだけでなく、株や不動産などの投資を通じても、利益をあげているのですね。「お金あまりのいま」、そうした投資先のひとつとして、ビットコインも対象になってきているのです。

最近だと、投資だけにとどまらず、さらに、ビットコインを活用した「決済」を行えるようにした「PayPal」という米国の超有名企業があります。「PayPal」は、日本でいうとSUICAやPayPayの元祖ともいうべき決済会社で、米国の最大手です。この「PayPal」を通じてビットコインを購入したり、商品と交換したりすることが今年できるようになったので、すでに6,000万人の人が「PayPal」を通じてビットコインを利用することになったのです。ビットコインが使われれば使われるほど、また使えるようになるサービスが増えて、利用価値があがってきているのです。


#6 資産と通貨の両機能を持ち合わせている

ビットコインには金=ゴールドの資産としての機能と、モノやサービスに換えることのできる通貨の機能の両方の機能が備わっていて、まったく新しい存在として、世界中で使われだしているといえます。かつては、金=ゴールドも金貨など通貨として使われていた時代がありましたが、金は持ち運びが不便で、強盗や盗難にもあいやすく、紙幣や硬貨にとって代わられることになりました。しかし、ビットコインはデジタルな存在なので、スマホでSUICAやPayPayを使うかのように、仮に1億円分の価値をもっていても、重くもなく盗難にあってもパスコードをかけておけば、かんたんには盗まれないという、利便性も備えているわけです。

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デジタル・ゴールドとして資産性があるうえに、PayPalがビットコイン決済にも対応したことで、もっと多くのモノやサービスに交換できるようになると、そもそも日本円や米国ドルなども不必要な時代がくるかもしれませんし、「銀行に預けている日本円の価値が下がる」くらいなら、できるだけビットコインに換えておいたほうが価値が下がらない、あるいは相対的に価値が上がると考える企業や個人が増えてきているともいえるわけです。

ビットコインは決済には使えないのではという声も多く聞かれますが、私はそういった存在がこれまでなかったからそうみなされているだけで、ビットコインが真に画期的なのは、資産としても価値を保存しつつ、決済にも便利に使えるという、新しい『デジタル金貨』が生まれたということを考えていったほうがいいのではと思うのです。世界から信用が高い日本円はよいとして、ジンバブエなど信用が低い国の通貨より、ビットコインのほうが信用が高いという国は少なからずあり、今後世界通貨として、もっと活用の幅が広がっていく可能性が高いと考えます。


#7 国の通貨発行が適当になりつつある

ここまで解説してきたように、ビットコインは世界中のみんなで仕組みやシステムを監視しているので、ある意味だとガチガチのルールによって、2,100万枚という上限や、4年にいちどビットコイン報酬が半減するといった仕組みは誰もかえることができません。

ビットコインをひとつの世界通貨だと考えてみると、いまの起こっている現象がより理解できると思います。例えば、日本やアメリカは、コロナ禍によって経済が大打撃を受けたので、「国債を発行して」、お金をたくさん刷ることで、世の中にある「お金の量」を、ある意味自由に動かせてしまいますよね。

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世界の経済の状況を見ながら、投票で決まった政治家や日銀が、こうしたお金の量をコントロールすることは一見するとよいことのように思いますが、ビットコインとくらべると、国はこんなにかんたんにお金を増やすことができてしまうと、すぐに世界を「お金あまり」にもすることがでいてしまうわけです。「価値」を維持するという観点からいえば、よっぽど金やビットコインのほうが、埋蔵量が決まっている分、厳格で、需要と供給のバランスが維持できそうに感じられますよね。

これが日本だけでなく、米国やヨーロッパなど世界中でお金の量をどんどん増やして、なんとかコロナ禍による経済的なダメージを減らそうとしているので、余計にビットコインの価値が相対的にあがってしまいます。

ビットコインは人が作ったシステムで動いていますが、絶対的ルールによって「お金を勝手に増やせない」仕組みになっています。このビットコインのシステム=ブロックチェーン技術を信用することができたら、私たちが持っている日本円と比べても、もしかしたら資産という意味ではもっとも信用が高いのかもしれないということが囁かれています。それに、資産としてためておいたあとに、PayPalのようにビットコインの活用が世界中に広がっていくと、あらゆるモノやサービスと交換できれば、ビットコインで生活ができていく時代になっていく未来も近いのかもしれません。


長文ご覧いただきありがとうございます。ブロックチェーン技術はビットコインだけでなく、社会のいろいろな課題を解決する可能性があるので、また機会をみつけて書いていきたいと思います。バイバイバーイのバイ!

 

 

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シリコンバレーで起業、日本が誇るオタク文化を世界に発信するTokyo Otaku Mode共同創業者。Facebookで海外2,000万人メディア、自社一気通貫で越境ECなどの事業創造を行なっています

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