JR東日本の観光特急列車「スーパービュー踊り子」号(251系)が2020年3月13日に営業運転を終了します。東京駅に停車中のスーパービュー踊り子には撮り鉄が写真を撮っていました。スーパービュー踊り子は「スーパービュー」の名前の通り、伊豆の海や山を眺めるための大きな車窓が特徴です。ハイデッカー(高床式)のため、見晴らしが良くなっています。
踊り子は首都圏と伊豆を結ぶ観光特急列車です。大宮駅からも湘南新宿ライン経由で発着します。川端康成『伊豆の踊子』に由来します。伊豆へ一人旅に出た青年が道連れになった旅芸人一座の踊り子に淡い恋心を抱きます。モーニング娘。の後藤真希主演のテレビドラマがありました。
スーパービュー踊り子は1990年に運行を開始したため、平成の30年間にほぼ重なります。平成2年に登場して、令和2年に引退します。国鉄が民営化されて日が浅く、JRの民間感覚を象徴する車両でした。後継はE261系サフィール踊り子です。サフィールは宝石のサファイヤのフランス語です。伊豆の海と空を美しく青く輝くサファイヤにたとえています。
伊豆方面の観光列車と言えば伊豆急行が競合です。2017年に運行を開始した観光列車「THE ROYAL EXPRESS」とは思想が異なります。「THE ROYAL EXPRESS」は水戸岡鋭冶さんのデザインですが、地域に密着した観光列車だからといって、デザインに地域性を反映することは特に考えないと言います。実際、「THE ROYAL EXPRESS」は同じ水戸岡デザインの京丹後鉄道「丹後の海」やJR九州「かわせみやませみ」と類似します。
また、伊豆急線はトンネルが多く、海が見える区間は少ないため、「海が見えなくても心地いい旅ができる車両」という自虐的な説明がなされています(小佐野景寿「伊豆に「豪華観光列車」を投入する東急の思惑」東洋経済Online 2016年11月24日)。スーパービュー踊り子とは対照的です。後継のサフィール踊り子は天窓も設けています。