唐揚げにはレモンが供されることが多いです。レモンを絞って唐揚げにかけることが一般です。しかし、日本唐揚げ協会は「唐揚げを愛するカラアゲニストは、何も足さない純粋な唐揚げを最低でもまず一口目だけは外しません」と主張します。
通は素材の味を楽しみます。私は唐揚げとレモンを別に食べることが多いです。小説には「あ、私唐揚げにレモン、無理だから」との台詞があります(中西鼎『東京湾の向こうにある世界は、すべて造り物だと思う』新潮文庫、2019年、14頁)。
一方で『銀河英雄伝説』の二次小説では「唐揚げにレモンをかける国」が自由な国を意味する慣用句になっているとの設定があります(甘蜜柑『銀河英雄伝説 エル・ファシルの逃亡者(新版)』「第123話:分断の式典、小物の意地、地球の夢 804年11月9日~11月10日 ボーナム総合防災公園~最高評議会別館~宿舎」)。
現代の日本はレモンをかけることが強制される風潮があり、レモンをかけず、素材を味わう自由が大切です。しかし、レモンをかけずに素材を味わうことを権力が正統的なものとして他者に強制する社会では「唐揚げにレモンをかける国」が自由な国を意味する慣用句になるのでしょう。
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