コンピュータゲームは日本が世界に誇るサブカルチャーですが、たまには海外発のゲームで外国文化を味わうことも良いでしょう。それによってドメスティックな生活では気がつかない発想の違いを発見することができます。米国Sandlot Games Corporationの戦略アクション・ゲームMonster Mashから日本と外国の戦争観の違いを認識させられた。
Monster Mashは他の様々なゲームと共にインターネット上に無数にあるゲームのダウンロードサイトからダウンロードできます。海外のサイトからゲームをダウンロードして遊ぶことは英語の勉強にもなります。ゲームは有料のものが多いが、国際ブランドのあるクレジットカードがあれば決済も可能です。
Monster Mashは牧歌的な世界にあるCurly Valleyの村人をMonsterから守るゲームです。この説明だけでは日本でも似たようなアクション・ゲームがありそうに思えます。しかし、このゲームは村に侵攻するモンスターをPlayerが守る点が特徴です。
日本のアクション・ゲームのように敵を倒して進むゲームではありません。侵略するMonsterと戦うというゲームの性質に似つかわしくないメルヘンチックな画面やBGMもMonster Mashが日本のゲームでないことを強く印象付けます。
Playerは村までの道の各所に砲台を設置します。砲台は設置されると近付くMonsterを自動的に攻撃します。この砲台が全てのMonsterを攻撃すればクリアです。反対にモンスターが攻撃をすり抜けて村まで到達すれば村人が食べられてしまいます。
砲台を設置するには資金が必要であり、無制限に設置できません。資金はモンスターを倒すことで獲得できます。砲台の設置場所によってモンスターを効果的に攻撃できるかが変わり、いかに効果的な場所に設置するかが勝敗の分かれ目になります。このゲームのジャンルがStrategy(戦略)に分類される所以です。
Monster Mashの外敵から村人を守るために砲台を設置するという仕組みには海外の作品らしさがあります。悪を倒すために攻め込むゲームが多いという日本の傾向は、そのまま日本の戦争の歴史に重なります。日清戦争・日露戦争・第一次世界大戦・十五年戦争と近代日本の戦争は外に攻める歴史でした。
洋の東西を問わず、海外では城壁は市街地の外に作られ、城壁は都市の一般住民を守るためのものでもありました。これに対し、日本では後北条氏の小田原城総構などを除き、城壁は領主を守るためのものでしかありませんでした。日本の軍隊には人民を守るという意識が歴史的に希薄です。戦前の軍隊は天皇の軍隊でしかなく、国民に「一億総玉砕」を強いるものでした。彼我の社会的背景の相違を踏まえると、Monster Mashのようなゲームは日本では生み出されにくい作品と感じます。