一般社団法人ヒマラボ代表理事のモリタヤスノブです。
何かあるたびに論文を読みながらどうぶつの森をプレイする「なかなか進まないどうぶつの森」シリーズ。第4回です。
前回はどの地形の島にするかについて河川の流れと生態系との関係から決定をしました。
さあもう流石に飛行機のせろよたぬき(だんだん呼び方が荒くなっている)と思っていたら、これですよ。
おいおいおいおいおいおいおい。
まーだ問うのか、まーだ。
おいおいおいおいおいおい。
論文調べたろやないか、えぇ!!
お!これはどないやろか。
「討論の行き詰まりに対する話題展開 : 日本語母語話者と中国人日本語学習者の比較」(水野・柴田・俵山(2019)、名古屋大学日本語・日本文化論集 (26), 35-55)
え?討論の行き詰まり?これが何の関係があるのかって?
まあまあ。要約の書き出しがこれです。
本稿では、日本語母語話者と中国人日本語学習者の日本語での討論を比較し、討論が行き詰まった際にどのような話題展開が起こるのかを明らかにした。討論のテーマは、「1ヶ月無人島で生活する際に、持っていく最善の物3つを決める」というものであった。
あくまで実験の1テーマとはいえ、この流れだと読まざるを得ません。
・討論の行き詰まった箇所では、「笑い」「沈黙」「感動詞」「沈黙に耐えかねた発話」の4つの現象が起こっていた。
・「沈黙に耐えかねた発話」は日本人の討論のみに見られた特徴であった。
・日本人の討論では「条件すり合わせ」によって、中国人日本語学習者の討論では「持ち物募集」と「持ち物提示」によって行き詰まりを解消する傾向が見られた。
・共有されていた意見を再度確認する際には、日本人の討論では「条件確認」、中国人日本語学習者の討論では「持ち物確認」が行われていた。
・討論が行き詰まった際、日本人は条件について話し合うことで協調的な雰囲気を保ちながら討論を進めていくのに対し、中国人日本語学習者は、結論に直結する話し合いによって討論を進めていくと結論付けた。
なるほどー!論文本文中にどんなやりとりあったか書かれているので是非読んでいただきたいですね。無人島に持っていくものに「紐」とか「ライト」とか「布団」とか出てきますから。「暇だよねー、1ヶ月」なんてのんびりした会話も。水と食べ物以外にもどんどん出てきていて。
いやいや灯りとか布団とか、ましては暇つぶしとか二の次やろ、さてさてどんな選択肢が、
灯りと布団と暇つぶしばっちり入っとるやんけ。
ちなみに先ほどの論文内で例に挙げられていた対話だと中国人日本語話者は水や布団など現実的な解に近いものに向かい、日本人同士だと縄とか布とか暇とか言い出してるんですよね。少し笑いや関係ないことも言いたくなってしまっている。布団も。
このたぬき・・・なんとも日本語母語者的ふるまいを見せよる・・・。もしかして本題とは外れてふざけて聞いてるんじゃ・・・
やっぱりか!!!興味本位・・・だと・・・
調べて損したわ!と言いたいけど、面白い論文に出会えて良かったわ!
ったくもう。最後の最後まで揺さぶってくる。
島行くのにどのくらい時間が経ったであろうか。
ようやく、ようやくである。
到着すると無人島生活のはずなのに、もう2人も増えている。どういうことだ。
しかもこのハンナという犬っぽいのも
たいへいたというクマっぽいのも
示し合わせたようにこちらの行動を急かしてくる。
こちらに余計なことを考えさせないアプローチ。契約書にハンコを押させるのを急がせるようなイケてない営業マンの所作のようッ・・・・!!!!
怪しい。怪しすぎる。
さてどうしていきましょうか。
それはまた次の論文を読んで考えることに。
ではでは、今日もリサーチカルチャーを醸しましょう。
zzz自己紹介zzz
一般社団法人ヒマラボの代表理事です(Twitter:domino613)。福岡大学で教員もしています。ヒマラボというのは「ヒマな時間に研究しよう」から来ていまして、いわゆる研究者だけではなく、市民みんなで研究的な活動を楽しむ「リサーチカルチャーの醸成」を目指した法人です(HP: https://himalab.jp/ )。普段は、社会人や学生が自分の好奇心に沿ってテーマを設定してリサーチ活動を行う場を作ったり、その支援をしたりしています。設立背景などは↓です。よろしくお願いしますー!
(https://note.com/himalab/n/nc20c5aba2089)。
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