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8.Story4/メイドイン富山高岡 北陸アルミニウム(株) TreaTray(トリートレイ)のストーリー        『浅いお皿の深い愛』

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  • ippeichan
  • 2019/03/23 06:13
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富山の工業製品といえば、アルミ。
アルミといえば富山。
業界のひとならなおさら、業界じゃなくてもそういえば聞いたことがあるのでは。

アルミ製品は私たちの生活に欠かせないものです。
きらきらぴかぴかしたアルミばかりがアルミではなく、
日常にさりげなく浸透しているのです。
鍋だって、サッシ窓だって。見回せばそこにアルミがアルのです。

そんなアルミといえば、の地で、ある女性の思いからトリートレイは生まれました。
生みの親は、北陸アルミニウムのいち女性社員で、ママでデザイナーです。
ここではママデザイナーさん、としておきましょう。
上品で、シンプルで、キレイな小物雑貨が好き、そんなごく普通の女性です。
でも実はそんな女性が魔女・・・、だったりはしませんが、トリートレイを生み出します。

ママデザイナーさんは想います。
鍋やフライパンは機能に徹したすばらしいアルミ製品だ。
でも、機能だけではなくて、持っていて楽しい、使って嬉しい、そんなアルミ製品を世に送り出せないだろうか。
「生活必需品」の枠を超えた、アルミ製品を北陸アルミニウムの技術とアルミという素材への深い理解で、
上品でシンプルでキレイで、そして新しいアルミ雑貨を作りたい。
北陸アルミニウムのハウスウェア製品の主力は鍋とフライパン。
決してキッチンから出て行くことはありませんよね。
でも、使って嬉しいものはキッチンを飛び越えるのじゃないかしら。
そんな発想から、キッチンでは食器だけれども、キッチンを飛び越えて使いたくなる「取り皿」、トリートレイが生まれます。

トリートレイを企画するにあたり、
持っていて嬉しい、使って楽しい、というハートの面からのアプローチだけではなく、
技術の面からも当然アプローチします。
それこそ、アルマイト加工、日本が誇る技術です。
それは、電解液によるアルミ酸化被膜表面加工技術です。

アルマイト加工はめっき加工とは違い、アルミ自体を電解液で酸化させることで保護膜を生成し、耐久性を向上させる技術です。
この繊細な加工技術により、美しくもやさしいゴールドや、深いながらもさわやかなグレーの表面色を表現するのです。
電解だとか酸化だとかいった、なんだか硬い言葉に反して、独特の滑らかな手触りと柔らかな風合いを表現することができます。
まさに技術が生んだ機能美、といってもいいのではないでしょうか。

だからなのか、僕は思います。
派手ではなく、清楚で品があって、柔和だけれども、しっかり芯のある女性のようなお皿だと。

使う技術はカタいかもしれませんが、トリートレイを使うシーンについてのママデザイナーさんの発想は柔軟です。
食器としてだけではない。アクセサリーを置いてみたり。玄関エントランスに鍵置きとして。
なにかモノを単純に置く、のではなく、愛をもって、「そっと置いてあげる」この感じ、
男ではできるものではありません。
何か取るに足らぬモノではなく、自分の周りにあるモノはすべて大事にやさしく扱う女性ならではの発想・感覚ではないでしょうか。

女性のやさしさ、と言ってきましたが、男性にだって使ってもらいたい。
使うシーンは女性とはまた変わるでしょう。
でも、心遣いは男性だって必須です。スマートに、ジェントルマンに、でも、キザではなく。
無言の心遣いをトリートレイに乗せる男性、いいと思います。

そしてまだまだ、ママデザイナーさんのきめ細やかさはとどまるところをしりません。
スクエアとオーバルは幅11cm、長さ22cm。つまり、11×22=いい夫婦、なのです。
高さもスクエアとサークルは8mm、末広がり、なのです。
ただ縁起がいいから、という設定ではありません。
この数字に込められた、使う人の生活が幸せでありますように、豊かでありますように、という心遣いなんだと思います。

ママデザイナーさんの心遣い・発想の数々について、僕は思います。
トリートレイは使う人の気持ちを女性ならではの愛で考えたら、この形になったのではないか、と。
トリートレイはモノを乗せる取り皿なのではなくて、
使う人の優しさを乗っけて、取り分けるお皿なのではないかと。
取り皿として差し出された人はそこに乗っかった優しさも提供されるのだと。
それが日常生活に溶け込んだ、お皿の本当の仕事だと。

トリートレイは浅いお皿ですが、深い愛に満たされていました。

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■なぜ「アルミといえば富山」なのか
 アルミ精錬には莫大な電気を消費します。
 戦後、北陸電力が全国でも安価に電気を提供していたことから、
 アルミ加工産業が北陸で栄えた、といわれています。
 また、富山県の伝統工芸品である高岡銅器にもルーツがあるといわれています。
 高岡銅器は精細な表現が可能で美術品としても高く評価されています。
 金属加工の素地があったところへ安価な電力、というアルミ産業の成長にもってこいの条件が
 整っていたのが富山県、ということが言えるようです。

■トリートレイ」のネーミングについて
 「treat」はとても広い意味で使われます。取り扱う、待遇する、扱う、等々。
 その中でも待遇する、つまり、「もてなす」がトリートレイらしさを表現していますよね。
 まさにそのとおりで、取り皿の仕事は誰かに取り分けることです。
 トリートレイは心遣いを尽くすことができるお皿だから、こんな名前なんです。

■「トリートレイ」に空いた穴の話
 アルマイト加工する際、製品を電解液に満たされた電解液槽に浸します。
 単にドボンと入れるのではなく、製品を一つ一つ吊るして浸すのですが、
 吊るすためにひっかかりとなる穴が必要になります。
 トリートレイに空いている穴はその引っ掛けるための穴、なのです。
 普通なら、この穴は後工程で取り去るのですが、
 トリートレイでは残しています。
 これもママデザイナーさんの心遣いでした。
 トリートレイがアルマイト加工を経た「あかし」を残すことで、
 アルマイト加工製品であることを奥ゆかしくも表現し、
 さらに、トリートレイを使うにあたって、トレイをフックに吊るして乾燥できたり、収納できたり。
 さらにこの穴が、なめらかなトリートレイを手に取る時の唯一のすべり止めになっていたり。

 この小さな穴にも深い愛が詰まっていたのです。

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