健胃作用がある「春の七草」
ダイコン
(大根) Japanese Radish
◎旬=冬 ◎効能=消化促進(胃痛・胃もたれ・二日酔い)、気管支炎の改善、ガン予防
コーカサスからパレスチナ原産のアブラナ科の一年生草本。
日本には、インド、中国、朝鮮半島を経て1200年以上も前に伝播。『古事記』や『日本書紀』にも記載がある。
「春の七草」のスズシロはダイコンのこと。スズシロは「清白」(涼しいの意味)で、もともとは、女性の肌の美しさをいったものだ。
黒原益軒が、かの有名な『養生訓』の中で「(ダイコンは)野菜の中で最上のものであるので、毎食食べるのがよい」と述べているが、『本朝食鑑」にも「ダイコンには能く穀を消し(消化し、の意)、痰を除き、吐血、鼻血を止め、めん類の毒を制し、魚肉の毒、酒毒、豆腐の毒を制する」とある。
ダイコンは、デンプン分解酵素のジアスターゼ、タンパク分解酵素のステアーゼをはじめ、オキシダーゼ、カタラーゼなどの酵素類やビタミンCを多量に含んでいるため、健胃作用があり、食中毒や二日酔いに大変効果的である。
特にオキシダーゼは、こげた魚にできる発ガン物質のベンツピレンを分解するため、胃ガン予防に役立つ。
焼き魚に添えてあるゆえんである。またダイコンの辛味は、配糖体のシニグリンが分解されてイソ硫化シアンアリルができたためのもので、胃液の分泌を高め、消化を促し、便通をよくする作用がある。
さらに、ダイコンは鉄とマグネシウムの含有量が多く、粘膜の病気を癒す作用もあるので、風邪、気管支炎の咳止めや去痰などに奏効する。食物繊維のリグニンが種々のガン細胞の発生を抑制することもわかっている。
外観が白く、水分を多く含んでいる生のダイコンは、根も葉も含め体を冷やす作用があるが、天日で干した切り干しダイコン、おでんなど煮物にしたダイコン、干したダイコンを三杯酢に漬けたハリハリ漬けなど、外観の色が濃くなっているものには、強力な保温効果がある。
【民間療法】
食べすぎ・二日酔い……茶碗1杯のダイコンおろしを、噛みながら食べる。
咳・痰・喉の痛みを伴う風邪……コップ1/3ほどのダイコンおろしにショウガ汁を10~15滴絞り入れ、熱湯を加えて、1日2~3回、温飲する。
●鼻血……ダイコン汁を脱脂綿に付けて鼻の中に塗る。
咳・痰・声がれ……約50ccのおろし汁にハチミツや黒砂糖を適量加えて飲む。
扁桃腺炎・虫歯・打ち身・かゆみ……おろし汁を患部に塗布すると痛みやかゆみが軽減する。
「冷え性・婦人病・貧血・神経痛……干した葉(乾燥させたダイコンの葉)を湯船に入れて入浴する。
痔……排便後(洗浄機でよく洗う)や風呂上がりなど、1日2~4回、ダイコン汁にひたしたガーゼを患部に当て、痔パッド(薬局で購入できる)で押さえる。