(韓国の話題も出てくるので、釜山で食べたテジクッパを。グルメ記事に書こうかな)
台湾での仮想通貨・ブロックチェーンをめぐる法整備の動きは、これまでにも記事に書いてきましたが、いろいろな議論が展開され、コツコツと進められているのかなぁという印象です。
ただ、政治的な動きは外からは見えづらく、また、さまざまな要素が絡むために、なかなかスピーディに進めるというわけにはいかないようですね。
そんななかで、台湾の仮想通貨・ブロックチェーンに関する法整備のキーパーソンである立法委員の許毓仁さんの動きが、これまでにも増して活発になってきているようですので、少し書き留めておきたいと思います。
・許毓仁さんって?
・立法委員がユーティリティトークンを発行⁉︎
・韓国のSROとの提携を発表
・台湾内の法整備と国際的な連携
許毓仁さんについては、以下のページにこれまで記事にした内容をまとめましたので、読んでいただければ嬉しいです。
台湾のネットニュースサイト「Knowing新聞」が2018年8月22日に報じた記事によると、立法委員の許毓仁さんは韓国で開催された仮想通貨フォーラムに登壇し、自らの仮想通貨・ブロックチェーンに関する政策にコミットする権利を付与するトークンの発行を公表したそうです。
トークンは「One Crypto World(OCW)」と名付けられ、その特色は以下のように説明されたようです。
「One Crypto World」(OCW)是立法委員許毓仁推行的區塊鏈徽章暨政策認同幣,也定位成一種效能行代幣(Utility Token),而沒有證劵性質,未來也不會上交易所。雖然無法透過OCW直接獲利,但擁有OCW的人卻擁有權力可以向許毓仁委員表達政策建言,是一種支持證明(Proof of Support)的構想。
(One Crypto World(OCW)は立法委員の許毓仁が推し進めるブロックチェーンバッジであり政策アイデンティティトークンである。一種のユーティリティトークンとして位置づけられており、証券の性質はなく、将来的に取引所に上場されることもない。OCWから直接的な利益を受けることはできないが、OCWを持っている人は許毓仁立法委員に政策提言をする力を持つことができる。これはProof pf Supportという構想である)
「ユーティリティトークン」ということは、特定のサービスにアクセスするためのトークンという位置づけのものですから、このOCWは許毓仁さんの政策立案にかかわることができるということですね。
ただし、記事によれば、発行枚数は1千枚を予定、「串連世界上的區塊鏈領域的意見領袖(世界のブロックチェーン分野のオピニオンリーダー)」に配布することを考えているようですから、一般に広く配布するというよりは、政策立案に活かせる人材を対象にしようというもののようです。
その目的については、「提高國際對台灣推動法規和政策的關注,藉以打造台灣成為亞洲區塊鏈之島(台湾が推進する法規と政策に対する国際的な注目度を高め、台湾にアジアのブロックチェーンアイランドを建設する)」ということが語られたようですから、従来からの許毓仁さんの主張を実現するための一環として位置づけられていることがうかがえますね。
上記の計画が発表された韓国の仮想通貨フォーラムでは、もうひとつ、許毓仁さんが中心になって結成された台湾の立法委員超党派組織「TPCB」や仮想通貨・ブロックチェーン業界団体「TSRO」と、韓国の「ブロックチェーン産業促進会(KBIPA)」との提携が公表されました。
ちなみに、このフォーラムはKBIPAの公式ウェブサイトによれば、8月22日から23日の日程で開催された「BLOCKFESTA2018」というイベントのようです。
(ハングルが読めないので、詳細はわかりません。すみません…)
今回の提携の内容は、以下の3点と報じられています。
1.TPCB&TSRO將邀請KBIPA參加在台北舉行的亞洲區塊鏈SRO區域會議(日期待定)
(TPCB&TSROはKBIPAが台北で開催されるアジアブロックチェーンSRO地域会議に参加することを要請する、時期決定)
2. TPCB&TSRO將和KBIPA致力於共同開發區塊鏈的區域框架。
(TPCB&TSROはKBIPAとブロックチェーンを共同開発する地域的枠組みに尽力する)
3. TPCB&TSRO將邀請KBIPA共同開發新北市區塊鏈實驗區。
(TPCB&TSROはKBIPAが新北市ブロックチェーン実験区を共同開発することを要請する)
この内容を見ると、今回の提携は韓国の業界団体との間で結ばれたものですけれど、台湾/韓国間だけの動きにとどまるものではなく、アジア全域の業界自主組織(SRO)の動きにかかわる内容がいくつも含まれていることがわかります。
まず、「亞洲區塊鏈SRO區域會議(アジアブロックチェーンSRO地域会議)」の開催が予定されていること、
ブロックチェーンの開発をめぐる地域的な枠組みの構築を目指していること、
そして、台湾の新北市に設置される予定の「區塊鏈實驗區(ブロックチェーン実験区)」には国際的な企業の進出が期待されていることなどです。
なお、新北市の「ブロックチェーン実験区」の構想については、以下の記事に少しまとめています。
日本も含めたアジアの業界団体を台湾に集めて、アジアにおけるSROのハブとしての位置づけを狙っていく…
許毓仁さんが目指している、台湾の「區塊鏈之島(ブロックチェーンアイランド)」化に向けた動きが垣間見えてくる感じがしますね。
許毓仁さんは立法委員として、台湾における仮想通貨・ブロックチェーンに関する法令の整備を積極的に進めると同時に、業界団体の結成と発展に尽力しています。
こうした動きは、立法委員としては「当たり前」の仕事の範囲だと思いますが、そうした動きに加えて、国際的な舞台に積極的に出ていき、台湾の状況を発信するとともに、海外の仮想通貨・ブロックチェーン関係者を台湾に招いて、様々なイベントを開催することで交流の機会を常に生み出しています。
そうした動きを、「區塊鏈之島」というワンイシューで語り、ビジョンをはっきりと示して多くの人々を巻き込みながら、活動を活発に展開している印象があります。
まさに「Crypto Congressman」としての実質的な活動を展開しているといえますし、台湾の仮想通貨・ブロックチェーンの動きを見ていく上で、許毓仁さんの動向を外すわけにはいかないと思います。
これからの台湾の仮想通貨・ブロックチェーンの動向がどうなっていくのか…許毓仁さんの動向に注目しながら、これからもコツコツと情報を追いかけていきたいと思います!
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