台湾では、2019年4月18日に東部の花蓮市付近を中心に大きな地震が発生しました。
亡くなった方のご冥福をお祈りするとともに、1日も早く状況が落ち着くことを願っています。
また、2020年1月に投開票が予定されている総統選挙に向けて、世界的なOEM企業として有名な鴻海グループの会長である郭台銘さんが国民党の予備選に立候補することを表明したそうです。
これについてはまた記事が書けたらなぁと思っていますが、社会的・政治的な大きなニュースが続くなかで、地味ではありますが、ブロックチェーン・仮想通貨に関する動きもいろいろと報じられています。
今回は、ブロックチェーンスマホ「EXODUS1」を開発したHTCのキーパーソンが新たな動きを始めたということで、少し書き留めておきたいと思います。
(ちなみに、EXODUS1については、以下の記事を見ていただければ嬉しいです!)
・HTCの陳信生さんが投資基金を創設⁉︎
・ベンチャーキャピタル創設の目的って?
・HTCのグローバル戦略につながる?
台湾の大手紙「聯合報」のニュースサイトがテック系ニュースサイト「mashdigi」の記事を転載する形で2019年4月19日に報じたところによると、HTCのブロックチェーンリーダー(區塊鏈長)である陳信生(Phil Chen)さんが、投資家と共同でブロックチェーン専門のベンチャーキャピタル(創投基金)「Proof of Capital」を創設したということです。
記事には、ベンチャーキャピタルの共同創設者として、「500Startups」の楊珮珊さんと「Greylock Partners」のコミュニティマネージャーだったChris McCannさんの名前が挙がっています。
Proof of Capitalの公式ウェブサイトによると、まず、楊珮珊(Edith Yeung)さんはベンチャーキャピタリストとして、サンフランシスコに拠点を持つ投資会社である500Startupsの中国方面パートナーと紹介されています。
また、楊珮珊さんの個人サイトには「Silicon.news」の編集長や「China Internet Report」のクリエイターという肩書きが書かれています。
他方、Chris McCannさんについては、Facebook、LinkedIn、Airbnb、Dropbox、Coinbaseなどの初期投資者であると同時に、Bitcoin、Ethereum、Binance、0x、Stellar、Solanaなどへの投資経験もあるということです。
加えて、「StartupDigest」というスタートアップ関連メディアの共同創設者でもあると紹介されています。
こうした経歴を見ると、ブロックチェーン関連事業やスタートアップ全般への投資経験があるとともに、情報収集・分析・発信のハブとしての経験を持っている人々が参画していることがわかります。
このあたりは、陳信生さんが今回のベンチャーキャピタル創設に込めた意図と関わっているようです。
Proof of Capitalの公式サイトによれば、Proof of Capitalはアジア圏および新興国をフィールドとしたブロックチェーン専門ベンチャーキャピタルとして、特に以下の分野への投資を考えているそうです。
フィンテック(支払い、送金、カストディ、ウォレット)、インフラ(セキュリティ、アイデンティティ)、ハードウェア、ブロックチェーンエコシステムのコンシューマーレイヤー
(fintech (payment, remittance, custody, wallet), infrastructure (security, identity), hardware, and the consumer layers of the blockchain ecosystem.)
ブロックチェーン・仮想通貨普及の基盤となる技術の開発に焦点化されていることがうかがえますが、「聯合報」の記事によれば、こうした技術への投資によって、陳信生さんは以下のような将来像をイメージしているようです。
将来的に、Proof of CapitalはHTCと緊密に提携して関連する新たなネットワークの基準と相互モデルを構築し、HTCのスマホやハードウェアの核心技術をProof of Capitalが投資する企業と共有し、さらに、ブロックチェーンがコンピューティングを再定義し、コンセンサス、プライバシー、セーフティ、身分証明の基盤上に、新たなアーキテクチャを生み出すと指摘した。
(未來Proof of Capital將與HTC緊密合作來界定相關新網路的標準與互動模式,並且將HTC手機與硬體的核心技術分享給Proof of Capital所投資的企業,更指出區塊鏈會重新界定電腦運算,並且在信任、隱私、安全與身分識別的基礎上創造一個新的架構。)
ブロックチェーンスマホ「EXODUS1」を開発した陳信生さんのビジョンとして、HTCの持つブロックチェーン技術の公開・共有によって、その可能性を最大限に広げていくことで、ブロックチェーンの更なる活用を考えていることがうかがえますね。
実際に、Proof of Capitalは南米のブロックチェーンプラットフォーム開発スタートアップの「Ubanx」への投資を始めているそうです。
Proof of Capitalの公式Mediumの記事には、金融をめぐって深刻な状況にある南米だからこそ、将来的な成長が期待されるとして、伝統的な金融機関とブロックチェーンを結びつける技術を開発しているUbanxに投資することにしたということのようです。
技術面と投資面の経験が豊富で、情報分析にも長けている共同創業者が創設したベンチャーキャピタルとして、これからのスピーディかつグローバルな展開が期待されますね。
HTCはスマホ開発企業として日本でも知られていますが、ブロックチェーンスマホ「EXODUS1」やVRシュミレーター「VIVE」など、先進的な技術の開発・活用を積極的に進めています。
以下の記事の最後にも少し触れましたが、HTCの事業はなかなか紆余曲折あり、厳しい市場競争にさらされている最中でもあります。
そうしたなかで、新たな技術の導入・開発は、HTCの事業立て直し、成長へと向かうために欠かすことのできない動きだということができます。
今回のベンチャーキャピタル創設も、陳信生さんが前面に登場していますが、こうしたHTCの置かれた環境も今回の動きに影響しているのではないかと感じます。
ブロックチェーンの世界的な社会実装の動きのなかで、HTCが主導的なポジションを得ることができるかどうかの試金石ともなりそうな気がするのですが、果たして…
投資の拡大やHTCとの連携など、これからの動きをコツコツと追いかけていきたいと思います!